寒い時期は特に注意!危険な「ゴースト血管」 簡易的に自己チェックする方法【医師解説】
“人は血管から老いる”と言う研究者もいるが、老化どころか死に直結する可能性すらある。脳卒中から新型コロナウイルスの重症化まで、あらゆる病気と関連することが最新研究で次々と明らかになっている。
冬場の「ゴースト血管」に注意
冬は心臓にとって最も厳しい季節である──これは循環器系の病気の治療にあたる医師たちにとって半ば常識だ。実際、豊橋ハートセンターの統計によれば、冬季の院内死亡率は春季の2倍にのぼる。
サクラクニック院長で循環器外科医の野田泰永さんが言う。
「寒さで血管が収縮しやすくなるのがその理由です。そもそも1年をとおして心臓病や脳卒中などの『血管死』で亡くなる人は、実は国民病といわれるがんよりも多いとされており、その数は年間で16万人にものぼります。
原因は血管内に脂肪のかたまりであるプラークが増えて血流が滞ったりつまったりすることにある。つまり血管の中をいかに健康な状態に保つことこそが、元気に長生きできるかどうかを分ける重要なファクターなのです」
恐ろしいのは血管内部のつまりだけではない。大阪大学微生物病研究所情報伝達分野教授の高倉伸幸さん(高=はしごだか)が指摘するのは、血管そのものがもろくなり、やがて消えてしまう「ゴースト血管」の危険性だ。
「これは全身に張り巡らされた毛細血管の血流が滞ることで機能しなくなり、消滅する現象を指した言葉です。毛細血管のゴースト化が進めば、全身の血流も停滞し、酸素や栄養が行き渡らなくなり、免疫細胞の力も弱くなってしまいます。
全身に大きな影響があり、免疫も大幅に落ちるため新型コロナウイルス感染による重症化やがん、認知症リスクが大幅に上がることが懸念されます。恐ろしいのは、痛みや異変など自覚症状がないこと。知らないうちに血管が蝕まれて、ある日突然に病に倒れる可能性もあるのです」(高倉さん・以下同)
「ゴースト血管」の見分け方
ゴースト血管を正確に見分けるには「毛細血管スコープ」と呼ばれる特殊な顕微鏡による検査が必要だが、間接的に自己診断する方法もある。
「親指の爪の根元を反対の親指でぐっと押さえて圧迫し、白くなったらパッと離す『爪床(そうしょう)圧迫テスト』である程度の診断が可能です。
すぐに元の爪色であるピンク色に戻れば問題ありませんが、白い状態のまま、なかなか戻らなければ『ゴースト血管』で血流が悪くなっている可能性がある。白目とまぶたの裏側を覆っている粘膜の『結膜』が濁って黄色っぽくなっている人も要注意。毛細血管の働きが鈍くなって血流が滞っているサインです」
食生活で血流や血管の質は変わる
こうした“血管力”の低下は加齢に比例しているのも事実だが、生活習慣によって改善することが可能だと野田さんは話す。
「なかでも重要なのは、食生活の改善です。食べるものによって血流や血管の質は変わります。積極的に摂るべき食品と避けるべき食品を知ることは、血管力を上げる近道になります」(野田さん)
教えてくれた人
野田泰永さん/サクラクニック院長で循環器外科医
高倉伸幸さん(高=はしごだか)/大阪大学微生物病研究所情報伝達分野教授
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
●足のむくみ「患者の9割に”抜け道血管”」足湯や着圧ソックスは逆効果【医師解説】