暮らし

防災の専門家が勧める備蓄品の準備「食品は食べ慣れているもの」「薬は体質にあったものを」

 何かあってからでは遅いのが防災準備。防災のプロである山村さんは「常日頃から対策をとることが大切」だと話す。とはいえ、何をどのくらいどのように準備すればいいのか? そこで、山村さんの防災対策を伺ったのでご紹介する。

日常頃の対策を入念にするのが要

「防災は8割が段取りで決まるので、事前の対策が大切」

 と断言するのは、防災システム研究所所長の山村武彦さんだ。この言葉通り、山村さんは家を避難場所と決めて災害に強いマンションを選び、3か月は自宅で避難生活ができるよう備蓄品を用意。

 備蓄品の収納には、専用の収納スペースのほか、家のデッドスペース、マンション内のトランクルームも利用している。

食品は条件を決めそれに満たしたものを揃える

 山村さんが防災食品を選ぶ際は、「食べ慣れている」「栄養バランスや消化吸収がよい」「簡単に調理できる」「コスパがよくておいしい」「長期保存できる」などの条件を満たしたものにしているという。

「食品を購入したら、賞味期限を大きく書きます。わが家では3か月に1度、備蓄点検をするので、賞味期限が迫っているものは、そのときに食べます」(山村さん・以下同)  

 在宅避難には、災害を最小限にする工夫も必要だ。

「家具は倒れないように複数箇所を固定。ガラスには割れても飛散しないように飛散防止フィルムを貼り、玄関ドアも防火扉にしています」  

 また、持ち出し袋や携帯ポーチも準備。風邪薬ひとつとっても、自分の体質に合ったものを備えているという。

「いまは100円均一ショップなどでも防災用品が売られていますから、携帯にはそうしたものから選んでもいいでしょう」

 時には2、3日ライフラインを止めて、避難生活を体験してみるのもおすすめだ。

家での備蓄リスト

□ 米10~15kg 
□ パックご飯(越後製菓)100食 
□ レトルトカレー(カレー職人/江崎グリコ)60食 
□ 牛丼の缶詰30食 
□ 携帯おにぎり100食 
□ 具だくさん防災食(アイリスフーズ)30食 
□ マ・マーパスタセット(日清フーズ)30食 
□ ライススープ100食  □ パンの缶詰60食 
□ ジュース120本 
□ 水(2Lを120本+500mlを120本) 
□ 非常時トイレ900回分 
□ トイレットペーパーかなりの量
エボルタ乾電池(パナソニック)単1・単3・単4各120本 
ポータブルラジオ 
□ モバイルバッテリー  など

★POINT:トイレはできるだけ多めに用意 

 高速処理で排泄物をサッと固めて、消臭効果も高く、長期保管が可能なものを選ぶ。

★POINT:10年間長持ちする乾電池を

 被災時にはさまざまな場面で乾電池が必要となるので、できるだけ長くもつものを備蓄している。

★POINT:ポータブルラジオは貴重な情報源

 USBケーブル充電、乾電池充電、手回し充電、ソーラー充電などができるタイプを選ぶと便利。

持ち出し袋リスト

□ 携帯ラジオ 
□ 筆記用具 
□ 着替え 
□ 薄手のウインドブレーカー 
□ 厚手の靴下 
□ スリッパ 
□ 軍手 
□ 小判毛布 
□ 使い捨てカイロ 
レジャーシート 
□ ビニール袋(大・中・小) 
□ 給水袋 
□ ファスナーつき保存袋 
□ トイレットペーパー 
□ 歯磨きセット 
□ タオル 
□ ウエットティッシュ 
□ 万能ナイフ 
□ 老眼鏡 
□ 充電器 
□ 乾電池 
□ 体温計 
□ 消毒薬 
自分に合った薬 
□ 食料や水(2日分) 
□ 健康保険証や身分証明書のコピー 
□ 3万円くらいの現金  など

★POINT:持ち出し袋は車中にも

 持ち出し袋に入れている備蓄品については、車の中にも同じものを用意している。

★POINT:ウインドブレーカーが役に立つ

 薄手のものを入れておくと雨具になるだけでなく、避難所などでも着てそのまま横になれる。

★POINT:レジャーシートはクッションつきを

 防水性にすぐれていて、クッション性の高いレジャーシートなら寝具としても使える。

★POINT:医薬品は自分で管理する以外にない

 持病の薬はもちろん、自分に合った胃薬や風邪薬などは支給されないので自ら準備しておくこと。

携帯リスト

□ 携帯ラジオ 
□ テレビチューナー 
□ 懐中電灯 
□ 充電器 
□ 命の笛 
□ 携帯トイレ 
□ 使い捨てカイロ 
□ ポンチョ 
□ マスク 
□ 体温計 
□ のみ薬 
□ ばんそうこう 
□ 飴やチョコレート 
□ 診察券 
□ お薬手帳 
□ 健康保険証のコピー 
□ 現金少々  など

★POINT:携帯ポーチの総量は1.2㎏まで

 縦14cm、横18cm、高さ7.5cmの大きさで、クッション性のあるポーチに入れて携帯している。

教えてくれた人

山村武彦さん/防災システム研究所所長

実践的防災を掲げる危機管理の第一人者。報道番組での解説や各地での講演、執筆活動などを通じ、防災意識の啓発に取り組む。企業や自治体のアドバイザーも歴任。3人家族。

取材・文/上村久留美

※女性セブン2021年12月9日号
https://josei7.com/

●防災のプロ国崎信江さんが常に携帯している7つのアイテム「黒いビニール袋」の使い道

●防災の専門家が自宅で備えているグッズ「水はサイズ違いを用意、レインコートは色つきのものを 」

●大地震に備える!本当に役立つ防災リュックの中身

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