兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第126回 大規模修繕1か月前の不安】
ライターのツガエマナミコさんが、一緒に暮らす若年性認知症の兄との日々を綴る連載エッセイ、本年は最後の回になりました。症状が進む兄の排泄問題やマナミコさんのコロナ感染、ツガエ家は今年もいろいろとありましたが、目下の心配は、間近に迫るマンションの大規模修繕のこと。マナミコさんにとって悩み深き年の暮れとなりました。
「明るく、時にシュールに」、認知症を考えます。
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「どうぞご自由にお入りください」状態になってしまう!?
寒空にベランダの窓を開けたまま寒そうにリビングでテレビを観ている兄と同居しているツガエでございます。
真冬になっても兄の「ベランダでオシッコ」は止まることがなく、その度に窓を開けて御用を済ませ、閉めることなくリビングの玉座に鎮座されるので、わたくしが自室での仕事の手を止めて窓まで出向き閉めるわけでございますが、閉めても閉めても気づけば50センチほど開いている……。それはまるで意志を持った悪魔の窓のようでございます。
「窓が開いていたら寒いから、開けたら閉めてね」「うん、わかった」という会話が何度繰り返されたことか……。
先日、「寒いから窓、閉めてくれる?」とお願いしてみましたところ、イライラするほど懇切丁寧に誘導しなければ閉められませんでした。開けることは鍵がかかっていても簡単にやってのけるのに