倉田真由美さん「300円のイヤリング」くらたまね~&らいふVol.16
漫画家の倉田真由美さんが暮らしの気になることを綴るエッセイ、今回は「アクセサリーのお値段」にまつわるエピソード。普段はあまり身に着けないが一番好きなのはイヤリングだという。最近SNSを賑わせた「500円のイヤリング」に関する発言も話題となり――。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
500円のイヤリング論争
少し前、某女性タレントの「500円のイヤリングは500円に見える。いいジュエリーをひとつ買うべき」という発言から、「安物イヤリング問題」が話題になりました。
これに対し、多くの女性が様々な意見を述べているのを見ました。「いいものは絶対必要」「母から娘へ、と受け継ぐようなものがいい」「手作りが一番」など、アクセサリーについて、それぞれこだわるポイントがあるのだなあと意見の多様さに感心したほどです。
実は私も、イヤリングについては少しだけ言えることがあります。
私は普段、ほとんどアクセサリーを身に着けません。あまり持っていないというのが最大の理由ですが、イヤリングだと耳が痛くなったり、指輪は指の違和感が気になったり、ネックレスは首がくすぐったくなったりしてしまうことがあるのも理由です。形状によっては気にならないこともあるんですが、特にダメなものはお蔵入りして二度とつけることができません。
とはいえ、たまに着けることはあります。一番好きなのはイヤリングです。顔周りがパッと明るくなったような感じがするので、「アクセサリーの着け甲斐がある」と思えるんですよね。それに、10代後半の頃ブドウの房の形のイヤリングを持っていたことがあって、それをとても気に入っていた記憶があるのも影響しているかもしれません。
500円どころか300円
そして私が持っているイヤリングは、500円どころかほとんどが300円です。そんな価格帯のイヤリングあるの?と驚く人もいるかもしれませんが、300円ショップにもあるし、メル◯リなどのネットショップには送料込みで300円という破格のイヤリングがたくさん出ています。
元々はもう少し値が張るものでも中古だから安いというものもあれば、ハンドメイドだからというのもあり、気に入ったものを3つ4つ一気に買ったりしたこともあります。何せ300円なので、ちょっとした大人買いも可能です。
安いと、「なくしても諦めがつきやすい」という利点もあります。イヤリングは割となくしやすいアクセサリーなので、緊張感なく気軽に着けられるのは私のようなアクセサリー初級者には大きなメリットです。
安くても、自分がかわいいと思うイヤリング。50代で300円のイヤリングってどうなの?と感じる人もいるかもしれませんが、私にはこれでちょうどいいのです。何も恥ずかしくありません。
姪の耳元で揺れるイヤリング
先日、25才の姪が彼氏にプレゼントされたというお高いイヤリングを見せてくれました。姪の耳元で重そうに揺れるイヤリングは、私が持っているアクセサリーにはない光沢で、金色に輝いていました。
「どう?かわいいでしょ」
「うん、変わった形だねえ」
「友だちに、めっちゃ羨ましがられた」
「そうなんだ。今の流行りなのかな。下世話だけど、いくらくらいなの」
姪が笑顔で教えてくれた金額に、「彼氏、無理したんじゃないのかなあ」と少し心配になりました。
ちなみにこの話を聞いて姪のイヤリングを見ても、ちっとも羨ましいとは思いませんでした。私の持っているイヤリングと交換したいと言われたらしますが、そしたらその場で私はそのイヤリングを売って現金にしてしまうに違いありません。
「私はこういうものを欲していないんだなあ」
ということを、しみじみ確認できました。
これは知り合いの30代女子に聞いた話ですが、「友だちのインスタが眩しすぎて見るのがつらい」ということがあるそうです。
「高収入彼氏の部屋で、ブランド物に囲まれていたり、高級店で食事していたり、羨ましくて苦しくなる」と。
若いせいもあるかもしれませんが、キラキラして見える友だちと自分を比べてしまうそうです。比較人生は、しんどいことでしょう。足掻いてもすぐに手に入る物は少なく、幸せを感じるハードルを無駄に上げてしまいそうです。
50代だから、ということでもないですが、私は300円のイヤリングを純粋に楽しめている自分でありがたいし、「本当は◯十万のイヤリングが欲しいのに!キイー!」とならずに平和に生きられていられて幸せなことだなあ、と思いました。
キラキラの映えライフとは違うけど、人が憧れたり羨ましがるようなセンスではないけど、他人と比べずに自己満足できるのって楽です。キラキラ映えライフは急には真似できませんが、地味地味自己満足ライフは今日からでも取り入れることができるので、おすすめです。
