88才料理家小林まさるさん”1日1万歩”が目標!「健康は誰かが与えてくれるものじゃない」
「特別な運動はしていないけれど、日によっては1万2000歩くらい歩いているよ」と、88才にして現役料理家の小林まさるさん。撮影現場でもいつも元気でパワフルなまさるさんの健康の秘訣と、シニアにおすすめのお手軽レシピを教えてもらった。
料理の心得3か条 誰でも「手軽に作れる」がモットー
まさるさんが作る料理は、野菜の旨味や魚や肉のだしなど、素材のおいしさをしみじみと感じる。素朴な味わいでシニア世代にも食べやすいのが特徴だ。
そんなまさるさんには、「料理の心得」が3つあるという。
1.手に入りやすい食材で、誰でも簡単に手早く作れる。
2.調味料はいろいろ使いすぎず、素材の味を生かしてシンプルに。
3.分量はキリのいい数字にすると覚えやすくて、作りやすい。
「この3つは、俺が料理を作るときに、いつも心がけていること。簡単に手早く作れて、ウマイのがいちばん! レシピを見た人が作りやすいように、調味料や分量も工夫しているから、誰でも簡単に作れるよ」
今回教えてもらうのは、ランチにぴったりの焼きうどん。味付けは明太子だけと、とってもお手軽。忙しいときでもサッとすぐに作れるうえ、シンプルだからこそ明太子の旨味が生きる一皿だ。
■明太子とチーズの焼きうどん
【材料】(2人分)
明太子…1腹(50g)
万能ねぎ…1/3袋(30g)
しょうが(みじん切り)…小さじ1
ごま油…大さじ1
ゆでうどん…2袋(400g)
水…大さじ2
塩…少量
粉チーズ…適量
【作り方】
【1】明太子は薄皮を取り除く。万能ねぎは2cm長さに切る。しょうがはみじん切りにする。
【2】フライパンにごま油、しょうがを入れ、強めの中火で熱し、香りが出るまで炒める。うどん、水を入れ、うどんをほぐしながら炒める。
【3】火を止め、明太子を加えてなじむまで混ぜる。仕上げに万能ねぎを加え、強めの中火で炒め合わせる。味見をして、必要なら塩で味を調える。
【4】器に盛り、粉チーズを振る。
ポイント1「明太子が調味料代わり!」
「今回はごま油としょうがを効かせて、味付けは簡単に明太子だけ。仕上げに粉チーズをたっぷり振るから、味付けはこれで充分なんだ。最後に味見をして足りない人は、塩で味を調えてね」
ひと口食べると、ピリ辛の明太子と濃厚な粉チーズがマッチ! 粉チーズでまろやかになった明太子をまとったうどんが、至福のもちもちの食感に。コクのあるごま油とさっぱりしたしょうががいい隠し味になって、バランスも絶妙だ。
「最初にごま油でしょうがの旨味を引き出すと、味がキリッと引き締まるよ。炒めすぎてうどんがグチャッとならないよう、手早く作るのがおいしく仕上げるコツ!」
買い物&犬の散歩で、1万2000歩を達成!
忙しい料理撮影のときも、食材の買い出しのときも、ピンと背筋を伸ばし、元気にシャキシャキと歩くまさるさん。80代とは思えない元気な体を維持している。その秘密は?
「特別な運動はしていないけれど、強いていうなら、とにかく毎日よく歩いているよ。1日1回、スーパーに買い物に行くのが俺の仕事。365日あったら300日はスーパーに行っているかな(笑い)。歩いて片道20分くらいの距離で、往復で大体7000歩。いまは携帯電話を持っていると歩数も計ってくれるから便利だよね」
さらに、日本盲導犬協会からボランティアで預かっている犬・ヴァトンちゃんの散歩もまさるさんの大事な仕事だ。
「ヴァトンの散歩は1日1時間くらい。買い物と合わせると、多い日は1万2000歩ほど歩く日も。ヴァトンはとっても利口だから、一緒に歩くのが楽しいんだ。歩くことが自然と毎日の日課になっているね」
1日で1万2000歩を歩くというのは、若い世代でもなかなか難しいもの。しかし、まさるさんは特別なことをしているわけではなく、買い物や犬の散歩など、日々の生活の中に歩くことを上手に取り入れている。
「歩くことが習慣になれば、ムリせず自然と続けられるでしょ。健康は誰かが与えてくれるものじゃない。だから年を取れば取るほど、自分自身の努力は必要だと俺は思うね。元気に長生きするためには、健康にいいと思うことを“毎日”続けることが大切だね」
プロフィール
小林まさるさん
1933年生まれ。料理研究家・小林まさみの義父。定年後70才から小林まさみの調理アシスタントを務め、78才でシニア料理研究家としてデビュー。長年料理をしてきた経験から、冷蔵庫の中にある食材でパパッと作るアイディア満載の家庭料理やおつまみが得意。著書に『人生は棚からぼたもち!』(東洋経済新報社)、『小林まさみとまさるのさわやかシニアごはん』など。2021年に公式YouTubeチャンネル『小林まさる88チャンネル』を開設。
撮影/菅井淳子 取材・文/岸綾香
●88才現役料理家・小林まさるさんの生き方哲学「年寄りだからこそ、前へ前へ!」