人気イラストレーターが「いらないもの8割捨てられた」 すぐできる”断捨離”の心得5つ
イラストレーターのなとみみわさんが1か月で挑んだ「断捨離」の挫折と成功を綴ったコミックエッセイが発売後たちまち重版され、話題を呼んでいる。「断捨離」提唱者やましたひでこさんの指導を受けながら実践した部屋はすっきりシンプルに変貌。「断捨離」を成し遂げた、なとみさんに心得を教えてもらった。
好きなものに囲まれて暮らす幸せ
「『断捨離』をしようにも、片付けられない、捨てられない私に、やましたさんが言ったのが、『朝起きたら大好きなものに囲まれて、クローゼット開けたら自分の好きな服しかなくて、自分の好きな食器でお茶飲んで…それって最高じゃない?』って。本当にそうだなって思いました」
1か月かけて「断捨離」を終えたイラストレーターのなとみみわさんのお宅を訪ねると、やわらかい日差しが差し込むリビングはすっきり広々。愛犬ジャックラッセルテリアのりくちゃん(10才)も伸び伸びとくつろいでいる。いらないもの8割を捨てたという「断捨離」の秘訣を聞いてみた。
1.今日はここだけと小さな「範囲」を決める
「『断捨離』を教わったやましたさんのご自宅に伺うと、リゾートホテルのよう。リビングが広くて家具や雑貨も素敵なものばかり…。パントリーを開けてみると空間があってストック食材もひと目で見渡せる。
大好きなものに囲まれて暮らすってこういうことなんだなぁって。
それにひきかえ、私の部屋はどうしてこんなに好きじゃない物に囲まれているんだろうと。『断捨離』を始めるわけですが、いざ片付け始めると、面倒になってもういいやって。
挫折してばかりだった私に、やましたさんがまず教えてくれたのが、まずは『範囲』を決めて実践してみることでした」
今日はこの引き出しだけ、引き出しの中のひとつの仕切りだけ、と範囲を小さく決めるのだという。
「小さな枠を決めておけば、捨てる物も判断もしやすいんです。1日10分だけとか、時間を区切ってやってみるのもいい。ここだけと場所を決めて整理や片付けできると、小さな達成感を得られるんです。目の前のゴミひとつ拾うのだって『断捨離』なんですって」
2.家の中で過ごす時間が多い場所から
「家族と暮らしていて、夫や子供の物は捨てられないという主婦で、長くいる場所がキッチンなら、そこから始めるといいんです。キッチンの冷蔵庫だけやってみるとか。冷蔵庫なら賞味期限切れの食材は処分するとか、捨てる目安もわかりやすいですよね。
私は仕事する部屋が一番長い時間を過ごす場所なので、パソコン周りから始めました。以前は、消しゴムどこだ?あのペンはどこだ?って、探す時間が本当にストレスでしたが、今はすっきりして、余分な物を買い足さなくてよくなりましたね」
3.テーマを決めて取り組む
「『断捨離』に取り組むにあたり、自分がどうなりたいのか”テーマ”を決めると成功しやすいんです。
離婚してひとりになって、部屋も散らかって生活がすさんで落ち込みがちだった私は、自分のためにもう一度幸せになりたいと思ったんです。だからテーマは”幸せ”。
たとえば『1度しか着ていない洋服は、似合ってないし、自分を幸せにしてくれる物ではないから、捨てる』と判断していく。新しく買うにしても、自分が”幸せ”を感じないなら要らないと、決めたら余計な物も増えなくなります」
「断捨離」を始めると、自分にとって大切な物が見えてくるという。
「大好きな漫画と気に入っている食器は捨てませんでした。ここの棚にある漫画たちは、私はもう棺桶に入れてほしい物しかないんです。究極のところ、棺桶に入れてほしいかどうかと考えると、ほとんどの物が要らないともいえます(笑い)。
そんな風に好きな物と不要な物を判断していくと、だんだんと捨てる決断が早くなっていく。やましたさんいわく、片付けの筋力が鍛えられていくそうなんです」
4.誰かのためではなく自分軸で考える
「捨てる判断や決断力がついてくると、自分にとって大切な物がはっきりしてきて、自分軸で物を考えられるようになりましたね。
長年子供のために、夫のために、親のために、と育児や家事、介護など、誰かのために行動してきた人は、『自分のため』を忘れちゃってるかも。だから、『断捨離』することで自分にとって大切な物がわかってくると、物だけでなく、行動や人づきあいまで、本当に大切なことだけを選べるようになると思うんです。
人生の中で時間は有限。だから、大切な人や大切なことに使いたいじゃないですか。
50代手前でひとりになって、ずっと孤独だと思っていたんですが、孤独を埋めるのは、物や人ではなくて、自分なんだって気がついた。心に空いた穴は、自分を好きになって最高の自分を入れる。『断捨離』をしてみてそんな風に思えたんですよ」
5.一度や二度の失敗であきらめずコツコツと
すっきりした仕事場で大きな笑顔を見せてくれたなとみさんの『断捨離』成功の秘訣は、もうひとつ。
「とにかくあきらめないで!! 『断捨離』が1度や2度うまくいかなくても、『や~めた!もうやらない!』ってならないで欲しい。少しずつでもいい、間があいてもいいのでちょっとずつ続けることで、探さない生活の快適さや、ストレスのない生活の心地よさを実感できると思うんです。私はその感覚を一度味わったら、二度ともとの散らかった部屋には戻れないと感じたもので(笑い)」
すぐに実践できる「断捨離」の秘訣が詰まった『コミックエッセイ 1ヵ月でいらないモノ8割捨てられた! 私の断捨離』。挫折しながらも「大切な自分」に気づいていくなとみさんの奮闘ぶりに、元気をもらえる1冊だ。
教えてくれた人
なとみみわさん・イラストレーター
義母の介護経験を綴った『ばあさんとの愛しき日々』(イースト・プレス)、『毎日があっけらかん―高齢になった母の気持ちと行動が納得できる心得帖。』(つちや書店)など著書のほか、女性誌やウェブメディアで活躍中。やましたひでこさん監修の『コミックエッセイ 1ヵ月でいらないモノ8割捨てられた! 私の断捨離』(講談社)で人生初の「断捨離」に挑戦。ブログ「あっけらかん」http://akkerakan.blog.jp/ インスタグラム @miwasowmen
撮影/北原千恵美 構成・文/介護ポストセブン編集部
※「断捨離(R)」はやましたひでこさんの商標登録です。