猫が母になつきません 第267話「はずしてみる」
固定電話、必要ですか? おうちによって事情は様々だと思いますが、うちの場合はほとんどが何かの勧誘や詐欺まがいの怪しいアプローチの電話しかかかってきません。困ったことに外からの刺激に飢えている母は話し相手になってくれるなら誰でもいいので、向こうの話に乗ってどんどん個人情報をしゃべってしまいます。あわてて電話をとりあげることいくたびか。「娘にかわりますねー」って、これで年老いた母と娘の二人暮らしであることはだいたい察しがつくでしょう。不用心極まりない(泣)。母はとにかく長電話が大好き、いつも固定電話の子機と携帯電話とノートパソコンをまわりにはべらせています。なので電話をとるのはいつも母。耳が遠いので電話の声が大きくて、すこしくらい離れた部屋にいても誰と話しているのかだいたいわかるのが救いですが、怪しい電話にイライラするのはストレス。もう電話線をはずしてしまおうと思い立ち、最初は「一時的に」というつもりでしたが、その快適さがクセになり、元に戻す気なんてさらさら無くなってしまいました。電話機は今まで通りの場所に置いたままにしていますが、それがまったく鳴らなくても、目の前の子機の電源が入っていなくても、コンセントが抜けていたって、母はまったく気がつきません。絶対必要だと思っていたけどもう要らないもの、まだまだありそうです。
【関連の回】
第254話「つかえない」
第219話「かんけいない」
第201話「くつくつさぎ」
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。