介護施設で僕が深く傷ついた言葉|老人ホームで嫌われる人の特徴3つ
介護士として働いた経験を持つブロガーのたんたんさんこと、深井竜次さんは、ある介護施設で利用者に言われた言葉に深く傷ついたという。介護職員に嫌われてしまう人の特徴とは…。老人ホームなど施設で良いケアを受けるために知っておきたいことを、実例を元に紹介する。
介護士ブロガーのたんたんと申します。僕は5年間介護施設での経験を元に「介護士の幸せな働き方」を目標にブログにて情報発信をしています。これまで介護士をして得た貴重な体験や学びを記事にしてきました。
今回は「介護施設でこんな利用者は介護職員に嫌われる」ということをテーマに選びました。
僕が介護士として現場で働いていたとき、「この人の介護をするのは嫌だなぁ」と思ったことがありました。
もちろんお金を払って自分の働いている施設でサービスを受けているお客様ではありますが、それでも「この人は介護職員をなんだと思っているのか?」と感じたことも…。
お客様とはいえ、利用者さんと介護職員の立場は対等だと思うのです。介護施設で良いサービスを受けるためには、介護職員との関係を良好に保つことです。
僕が経験した実例と合わせて、介護施設を利用する際にどんな風にすれば介護士との関係が良くなるかを解説します。高齢の親が施設に入居しているご家族をはじめ、これから利用するかもしれないシニア世代の人たちへ、介護士との接し方や発言について知っておいてほしいことを書いてみたいと思います。
介護職員に嫌われる人の特徴3つ
介護職員が「この入居者はなんか嫌だな」と感じる人の特徴は、大きく3つあると考えます。
1.「お客様は神様」という考えを強く持っている人
2.他の施設や家族と常に比べてケアに批判的な人
3.暴言や暴力などで介護職員を傷つける人
この3つの特徴について掘り下げて解説していきたいと思っています。
1.「お客様は神様」という考えを主張する人
サービス業では「お客様は神様」という言葉を聞くことがあります。僕も上司からそのように教えられたことがありました。
しかし、客側が「お客様は神様だ」という態度でいるのはちょっと違うのではないでしょうか? 僕は実際に利用者から「こっちはお金を払っているんだ。お客様は神様だろ」と言われたことがあります。
そもそも「お客様は神様」という言葉は「お金を払った人が偉い」ということではなく、サービスを提供する側が良いパフォーマンスを発揮するための意識です。
サービスを提供する側をマウンティングして責めるためにこの言葉を使う人は、お客様ではなく、悪質のクレーマーになってしまいます。
利用する側も、相手が気持ちよくサービスを提供できるようにある程度の配慮をするのがマナー。「お金を払っている」という主張をする利用者は介護職員から「この人は面倒だな」と思われてしまいます。
「お客様は神様」と強く思い込み、常に上から目線の利用者には、介護職員も良いサービスを提供する気になりません。
介護職員も自分たちにできる限り、良い介護をしようと努力をしています。気持ちよく仕事をさせてくれない利用者は、介護職員から嫌われると考えていいでしょう。
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2.他の施設や家族と比べたり批判したりする人
過去に家族や他の介護施設で介護を受けていた利用者が、「昔の介護のほうが良かった」と言うことがあります。
特に家族から手厚い介護を受けていた人は、「家族はこれほどしてくれたのに、お前らは!」などと言うことがあります。
しかし、介護施設では多くの入居者が生活をしていますし、1人にずっと付きっきりで介護ができるわけでありません。介護職員は他の施設とのケアを比べられても困るのです。
「そんなに嫌だったら以前の施設に戻られたほうが…」と言いたくなります。今いる介護施設でのルールやり方について理解した上で利用して欲しいと思います。
また、手厚い介護にはお金がかかります。
手厚いケアをするためには、職員数や設備を充実させないといけません。もちろん施設側の力不足もあります。しかし、ケアの質は上を見ればキリがありません。
事あるごとに施設や職員を批判していたら信頼関係が壊れてしまいます。
利用者と介護職員の信頼関係が壊れてしまうと、受けられるケアの質も下がってしまう。つまり、嫌われるような態度や言動は、自分に返ってきてしまうのです。
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3.態度や言葉で介護職員を傷つける人
「男性の介護職員はどうしようもない人ばかり。あなたの言うことも聞かないわよ」
「あなたは田舎者だからあなたの介護は受けない」
「あなたなんて死んだほうがマシだ」
これらは、僕が介護施設で働いていたときに、実際に利用者さんから言われて傷ついた言葉です。
暴言や暴力の被害にあった介護職員は多く、それが原因で仕事を辞めてしまった人もいました。こういった発言には、「嫌われる」以前に、「人としてどうなのか?」と感じてしまいます。
介護施設側も大切な職員が傷つけられて、離職ししまうのは大きな損失です。暴力や暴言がひどい入居者は、退去に追い込まれることもあります。もちろん認知症などの病気が原因ということもあるかもしれませんが、暴言や暴力を振るう人の対応はとても難しく、介護職の手に負えないことも多い。
利用者からのハラスメントの対応マニュアルが確立されていない介護施設も多く、被害にあった介護職員は泣き寝入りするしかないというケースもあるのです。
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良い介護を受けるために必要なこと【まとめ】
介護職員と良好な関係を作るには、「どうすれば気持ちよくサービスを提供できるのか?」と相手の立場になって考えることが大事です。
介護を受ける必要がある人は、体の不調も抱えているので自分のことしか考えられなくなっているかもしれません。
とはいえ、職員が困るような理不尽なことを言うのは考えもの。ロボットが介護をするならそれでいいかもしれませんが、介護職員も人間です。「この人には親身な介護をしたくない」と感じてしまいます。
僕は介護職員と利用者はパートナーだと考えています。お互いが協力しあってこそ良いケア、納得のいく介護ができるはずです。
介護職員に寄り添って信頼してくれたとき、その気持ちに精一杯応えたくなる。介護職員に愛される利用者は、より良い介護サービスを受けられると思うのです。
文/たんたん(深井竜次)さん
島根県在住。保育士から介護士へ転職し、介護士として働いた経験を持つ。主に夜勤を中心に介護施設で働きながら介護士の働き方について綴ったブログ『介護士働き方コム』(https://www.tantandaisuki.com/)を運営。著書『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(KADOKAWA)が話題に。
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