医療費削減に画期的な新薬か 薬とのつき合い方見直しに注目の意外な薬とは?【医師監修】
厚生労働省のデータによると、75才以上の4人に1人は7種類以上の薬を服用しているという。コロナ禍で病院に足を踏み入れづらいいまだからこそ、薬とのつき合い方を考えるべきではないだろうか。実はいま、意外な薬の売り上げが伸びているという。専門医に話を聞いた。
いま売り上げが伸びている意外な薬とは?
コロナ禍は深刻さを増し、医療従事者への負担は増すばかりだ。そんな最中でも、持病のある人は変わらず治療を続けなければならない。特に中高年女性の多くが悩まされている糖尿病や脂質異常症、高血圧に骨粗しょう症といった病気の治療は、長期間の服薬が基本となる。すでに薬袋が手放せない、という人も少なくないはずだ。
そんな中、意外な“新薬”の売り上げが伸びているという。
「それは薬効成分をまったく含まない見せかけの薬である『偽薬』です。
多数の薬を長期にわたって服用し続ける人が多い高齢者施設で投与したところ、それでも症状が改善されたというのです。
『偽薬』は新薬開発の過程で薬効を確かめるのに使われるものですが、服用した精神的な安心感によって症状が和らぐことがある。これを『プラセボ効果』と呼びますが、決してバカにできません。むしろ副作用の心配もないうえ、将来的には医療費削減も視野に入る画期的な“新薬”だという声も上がっています」(都内の内科医)
75才以上の4人に1人は7種類以上の薬を服用
しかしこの福音は裏を返せば、それだけ薬ののみすぎで悩んでいる人が多いということの表れでもある。在宅医療で患者と向き合いながら減薬に取り組む、たかせクリニック院長の高瀬義昌(高ははしごだか)さんが指摘する。
「厚生労働省の調査によると、1か月に1つの薬局から受け取る薬剤の数が5種類以上にのぼる人の割合は、40才から64才は4人に1人、65才から74才は3人に1人といわれています。75才以上になれば4人に1人は7種類以上もの薬を受け取っている。
高齢になると身体の機能が変化し、薬の有害事象の影響を受けやすくなることに加えて多剤併用によって薬同士が影響し合って効き方が変化したり副作用が生じることがある。
厚労省もこの事実を問題視し、2018年5月に『高齢者の医薬品適正使用の指針』というガイドラインを作成して国をあげて不要な薬を減らす取り組みを推し進めています」
しかし医療のリソースの大部分が新型コロナウイルスに割かれている現在、その取り組みも充分とはいえない。いまこそ、医療従事者だけに頼らず、私たち一人ひとりが薬の服用量を見直す時期にきているのだ。
教えてくれた人
たかせクリニック院長/高瀬義昌さん
※女性セブン2021年1月28日号
https://josei7.com/
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