猫が母になつきません 第233話「からだにわるい」
なにかというと「私はもうそう長くないから」と言う母。その一方で携帯電話を身につけることが「体に悪い」と気にするのはすごく矛盾しているように私には思えます。そもそも毎日のように長電話をし、インターネットを何時間も見ている母が電磁波を気にしているとは思っていなかったので、携帯ストラップを使わなくなった理由が意外すぎました。母からすればそれは別問題なのでしょう。携帯に限らずとにかく毎日なにかを探しているので電磁波を気にするよりも、失くさないほうを優先してほしいと思ってしまうのはこちらの都合。母は口では長くないと言いながらまだまだ生きる気満々で、小さなことからコツコツと日々健康には気をつけているのです。その内容は母が自分で見聞きした情報のつぎはぎなので実際は矛盾していたり、意味のないことだったりもするのですが、それはそれとして「健康に気をつけている」という本人の意識が大事なのでしょう。電磁波が体に悪いからと携帯を身につけるのをやめる母の健康志向を「今さら」と笑えるのは、母が80歳をすぎても日常的に服用している薬が全くないほど元気だからだと思います。一応ストラップを再装着してみましたが、きっとまたはずされてしまうと思います。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。