猫が母になつきません 第232話「ちょうどいい」
寒い季節にはソファにいることが多いさび。お尻をこっちに向けて丸まっている姿は大きなおはぎのようです。ぎちぎちに丸まっているので寒いのかなと思い膝掛けをかけてやるのですが、いつも脱いでしまう。よけいなお世話でしたか、申し訳ございません。膝掛けを丸めてお尻のまわりに土手を作ってやるとちょうどいいらしく、ずっとそのままで気持ちよさそうに寝ています。囲まれていると安心感もあるのでしょう。先日友人が「冬は猫の水をぬるま湯にしてやるとよく飲むよ」というので試してみましたが、うちの猫は水が冷たくないことに気づくと飲むのをやめてしまいました。「ちょうどいい」も猫それぞれ。母は冬場に上着をたくさん着ているのに裸足でいたり、大寒波到来!みたいな日に限って庭の落ち葉を集めはじめたり。寒さをちゃんと感じていないようです。じつは低体温症で亡くなる人の数は熱中症の倍以上なんだとか。とくに高齢者は熱中症と同じで電気代の節約や「このくらいの寒さは我慢できる」と暖房を活用しない人が多い。しかし自分の体が冷えていることを自覚しにくい。母もどてらとこたつさえあれば冬を乗り切れると思っています。母の「ちょうどいい」はもう「ちょうどよくない」。ここは「人それぞれ」というわけにはいかないのです。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。