高齢の親とは「同居」より「近居」がおすすめ|親子同居でもめない私たちルール
親子が年齢を重ねると、いずれ同居して一緒に住みたいと考えている人も多い。親子同居することで関係が悪化したり、トラブルになったりする例もある。親子同居について、『女性セブン』読者にインターネットアンケートを実施(2020年11月4~11日)し、全国の20~80代女性660人が回答してくれた。
親子同居でもめないための「わが家のルール」
実際に同居をしている方に、関係がうまくいくための“ルール”を教えてもらった。
●「お互いに干渉しない」(41才・主婦)
●「平日の料理は母、片付けは娘の私で家事分担する。土日はなるべくひとりの時間を作る」(43才・会社員)
●「意見があれば、そのときにすぐ言う」(52才・パート)
●「子供たちの教育やしつけには口を挟まない」(50才・主婦)
●「プライベートな時間や空間を保ちつつも、食事だけは可能な限り一緒にする」(41才・団体職員)
●「出かけるときは早めに言っておく」(64才・無職)
●「家事の役割分担を決めたら、体調が悪いなどの理由がない限り手伝わない」(47才・専門職)
●「話をしなければ衝突もしないので、無理してコミュニケーションを取ろうとしない」(57才・看護師)
●「必ずあいさつをし、お礼を言う」(53才・主婦)
●「自分のことは自分でやる」(31才・会社員)
読者からあがったルールはいずれも、「礼儀とプライベートを守る」といった内容が多く、わざわざルールにしなくてもいいのではと思われがちだ。しかし、当たり前のことこそ、言語化し肝に銘じておかないと、日常生活の中でなあなあとなり、もめる発端になるのだ。
→親と同居するメリット・デメリット【体験談】子と親のリアルな声
同居を決める前に。おすすめは「近居」
専門家によると、まずは、「同居が合うかどうか」を見極めるために、近所に住むことがおすすめだという。
いきなり同居をするよりもハードルが低く、お互いにメリットを感じやすい“近居”。おすすめの理由をさらに教えてもらった。
親が元気なうちに期限を決めて「お試し同居」
リビングや水回りが別であればまだ逃げ場がある。だが、経済面をアテにした同居となると、片方の家にもう一世帯が入るケースがほとんどで、建てるのにお金がかかる二世帯住宅は少ない。実際、読者も単世帯住宅で同居する世帯が約9割だった。こういった同居の住居形態も踏まえ、実家相続介護問題研究所代表の江本圭伸さんは、こう警鐘を鳴らす。
「同居は結婚と同様で、一度始めると解消が難しい。それだけに、始める前に親子間で同居のイメージをすり合わせ、シミュレーションをする必要があります。可能ならば、親が元気なうちに期限を決めて“お試し同居”をするか、あるいは徒歩10~15分程度の距離に住む“お試し近居”をすることがおすすめです」
近居には同居同様のメリットが
「近居であれば、経済面はアテにできませんが、それ以外の家事・育児の援助や、親の様子を見守れる安心感などのメリットは、同居同様に享受できます」(実家相続介護問題研究所代表・江本圭伸さん、以下同)
これまで盆暮れにしか顔を合わせない関係だったからこそ嫌な面にも気づきにくく、相手にやさしくできた。しかし、顔を合わせる機会が増えれば、少しずつ違和感を覚えるようになる。この違和感こそ、同居するかを決める判断基準になるのだ。
「とはいえ、離婚による出戻りやリストラ、急病などにより、急遽同居を始めざるを得ないかたもいるでしょう。その場合は、『生活を立て直すまでの2年間』などと期限を決めておくとベターです。期限を決めない場合は、10年、20年先を見据えて、介護や相続の問題も視野に入れ、シミュレーションをしておくこと。なし崩しで同居を始める人ほど、トラブルが起きやすくなります」(江本さん)
取材・文/桜田容子
教えてくれた人
実家相続介護問題研究所代表・江本圭伸さん
※女性セブン2020年12月17日号
https://josei7.com/
●毒蝮三太夫がこども新聞で呼びかけた高齢者に対する「3つのかける」とは?【連載 第33回】