親と同居するメリット・デメリット【体験談】子と親のリアルな声
高齢の親と同居する『親子同居』、コロナ禍で検討中の人が急増しているという。始めるきっかけでいちばん多いのは「経済的負担の軽減」。しかし実際にはトラブルや後悔も多いようだ。読者アンケートでわかった、同居のメリット・デメリット、その本音を紹介する。
高齢の親と同居する理由…親と子の本音は?
実家相続介護問題研究所代表の江本圭伸さんによると、「同居の主な理由として、親側は介護を、子供側は経済的な負担の軽減を期待しています。コロナ禍で経済状況が悪化すれば、同居世帯は増えるかもしれません」という。
でも、ちょっと待ってほしい。本誌アンケート(※)から、安易に親子で同居を始めたら後々、地獄を見たという声が続々と聞こえてきた。
本特集で同居のリスクを知ったうえでぜひ検討してほしい。
子供側の主な理由としては、「離婚による出戻り」「収入が少ないから」などが多かったのに対し、親側は、「夫が亡くなり遺族年金だけでは暮らせなくなったから」「病気のときに安心」などがあげられた。
つまり、親子ともに経済面と家事や育児、身の回りの支援を期待して同居を始めるケースが多いことがわかった。実際、こうした負担が軽減されてよかったという声もあったが、一方で、
「同居をしたら留守番の心配がないから、もっと自由に遊びに行けると思ったのに、娘が孫を預けっぱなしにしてくるのでウンザリ」(71才・主婦)
「義母が自分の家を提供するから同居をしようと提案してきたのですが、“あなたたちは家賃がタダなんだから”と、生活費を払ってくれません。夫に不満を言ってもらおうにも、ことなかれ主義の夫は何も言わず。コロナ禍でパート収入も減ったので家計は火の車です」(52才・パート)
といった声も。実の親子だろうと義理の親子だろうと、甘えられたり、依存されても、言いたいことが言えず、不満がたまるケースが多いようだ。
(※)『女性セブン』読者にインターネットアンケートを実施(2020年11月4~11日)。全国の20~80代女性660人が回答。
老いた親と同居してストレスやトラブルも…
また、40~50代の中年夫婦と70~80代の高齢の親とで、価値観が大きく異なることも、衝突の火種になる。親子同居にまつわる相談を受けている前出の江本さんはこう話す。
「例えば、いまの子供世代は、『親は親、子は子の世界がある』という認識が強いのに、高齢の親はその意識が低く、子供夫婦の生活に口を出してくるケースが多い。特にお嫁さんは気の毒で、自由にお金も使えず、ストレス解消に出かけることすらままならない。まさに地獄だと相談に来るケースも少なくありません」
プライベートを分ける意識が親子双方にないと、トラブルに発展しやすいという。こういった価値観の違いが少しずつ積み重なり、修復不可能な家族の亀裂に発展していく。
たしかに、金銭感覚や家事育児の価値観だけでなく、衛生観念や入浴、食事のタイミングなどの生活リズムの違い、ドアの開け閉めや足音の大きさなど、読者からあげられる不満はきりがない。同居する前は思ってもみなかった些細なことほど、気になってしまうようだ。
親と同居のメリット・デメリット
『女性セブン』が独自に調査した結果によると、現在、義理の関係も含めて親子で同居している人は49%と約半数にのぼった。実際に暮している方々のリアルな声をいただいた。親、子それぞれの立場だからこそ感じる、メリットとデメリットがはっきりとわかる。
●メリット
★親子だから気を使わないで済むし、癖や好みなどがわかっているから、一緒にいてラク。 けんかをしても禍根を残さない。(71才・無職)
★誰かが必ず留守番してくれるので、気兼ねなく出かけられる。(57才・パート)
★お互いの支えになれて、精神的に安定するし、病気のときに心強い。 (74才・主婦)
★家事は全部親がしてくれるので、時間を気にせず仕事ができる。(37才・会社員)
★親が認知症なので、安否確認に出向く手間が減り、見守りがしやすい。詐欺に遭わないように監視もできるようになった。 (61才・医療)
●デメリット
★掃除やゴミ出しなど、お互いのやり方やルール、生活のリズムが違うので、毎日一緒にいるとイライラして疲れる。(57才・パート)
★実の娘だからこそ、いろいろ口を出してくるので、ストレスがたまる。 (52才・パート)
★家事も支払いも、親がするのが当たり前だと思っていて何もしないし、感謝の言葉すらない。(57才・パート)
★実母なのでいつまでも子供扱いされ、説教されたり怒られたりしてウンザリ。私たち夫婦の寝室もチェックされているし、干渉され続けて、気が休まらない。 (53才・専門職)
★子育てに口を出されるのに腹が立つ。子供も私たち親より、祖父母の方が権力があると思っていてバカにしてくる。(39才・会社員)
★休日になるとここぞとばかりに用事を頼まれるので、夫や子供、友人らと気軽に出かけられないし、プライベートがない。(46才・看護師)
★義母の好き嫌いや病状に合わせた食事にしないとならず、作るのが大変だし、好きなモノが食べられない。(53才・介護)
取材・文/桜田容子 イラスト/ユキミ
教えてくれた人
実家相続介護問題研究所代表・江本圭伸さん
※女性セブン2020年12月17日号
https://josei7.com/