40代から要注意!スマホが原因の怖い病|ばね指、関節症、巻き肩…とその対処法
コロナ禍での外出自粛中、スマホの動画やゲーム、電子書籍にハマる人が急増。あるアンケート(※)によると10~50代男女のうち、スマホなどのデジタル機器の接触時間が1日あたり5時間以上増えた人は全体の22%いた。そして、そんな長時間使用の弊害がいま、少しずつ出てきている。とりわけ手指の痛みは、放っておくと大変なことになるという。知らず知らずあなたも“スマホ病”になっているかも!
(※)ロート製薬による「コロナ禍における暮らしの変化」に関するWEB調査(10~50代男女562人)。
スマホの長時間使用で親指や小指を酷使
通話やメールはもちろん映画やテレビ、読書、ゲーム、情報検索、そして支払いや買い物…これらすべてがスマホ一台で完結する時代。コロナ禍中は、特にその恩恵にあずかった人が増えた。しかし便利な半面、健康上の問題を訴える人が出てきている。
人気経済評論家・勝間和代さんも、自身のブログで、
<左手の肘の外側が痛くて、調べてみたところ(中略)スマホやタブレットの持ちすぎでもなるそうです>と発信。
実際に手指の悩みを抱える患者は多いと、富永ペインクリニック院長・富永喜代さん(「 」内、以下同)は言う。
「ひじの痛みだけでなく、左手の小指が変形してしまった、親指が痛いなどの症状を訴える患者さんもいます」
小指でスマホの底部を支えるようにして持っている人は、スマホの重みで小指が変形してしまう。同様に、タブレットの底部を親指1本で支えていたり、スマホの操作を同じ親指だけで何度も行っていると、腱鞘炎(けんしょうえん)を起こしてしまうというわけだ。
「特に指は腱や関節が細くて弱い。それなのに長時間負荷をかければ形は変わってしまいます。放置すれば痛みが生じ、動かせなくなります」
指が変形するヘバーデン結節や、指の腱鞘炎であるばね指が悪化すると、痛みが激しくなり、缶ジュースのプルタブやペットボトルのキャップがあけられなくなったり、フライパンなどの調理器具も持てなくなり、日常生活に支障をきたす。最悪、手術が必要になることもあるという。
こういった症状は、女性ホルモンの減少も影響しているため、男性よりも30~50代の女性に多い。さらに骨が細く、筋肉量が少ない点も、女性が発症しやすい原因の1つになっている。また、スマホだけでなくパソコン(以下PC)でタイピングする機会の多い人もなりやすい。というのも、日本語は「A」を多用する言語。左手の小指を酷使しやすいのだ。
「指もひじも痛みの原因は、酷使とねじれ。持ち方だけではなく、スマホを見るときの姿勢自体も原因になります。最悪なのは、寝転んでひじをつき、片手でスマホを持つ姿勢(下記イラスト参照)。これは、手やひじの痛みだけではなく、肩こりや腰痛の原因にもなります」
1時間に1回5分程度画面から顔をあげよう
また、手指だけでなく目の痛みや疲れ、乾き(ドライアイ)を訴える人も増えていると、みさき眼科クリニックの石岡みさきさんは言う。人間の目は、近くを見るときに緊張する。そのため、スマホなどの電子機器を至近距離で見続けていると、かなりの疲労が蓄積されてしまう。
通勤をしていれば、無意識に窓の外や人の動きを見る。会社に行けば、会議室への移動などで必然的に遠くを見るようになり、これが目の疲れ対策になっていた。しかしステイホームでは、遠くを見る機会がないため、眼精疲労が助長されるという。
「対策としては、1時間に1回5分程度、画面から顔をあげて、遠くを見ることです。眼鏡をかけている人は、けがをしない範囲内で、眼鏡を外して生活するのもおすすめです」(石岡さん)
見えすぎるのも、疲れ目の原因になるからだという。ほかにも、スマホの長時間利用による病気はまだあり、スマホを見ていないと不安を感じたり、不眠になる“スマホうつ”の人も増えている。スマホは便利なモノだからこそ、“用法・用量”を守って正しく使用したい。次のページではスマホを見続けることで患う病気と、その対策をまとめた。参考にしてほしい。
→スマホ超初心者のための用語、使い方解説|シニア世代向け!デジタル悩みをわかりやすく解消
PC&スマホのやりすぎで患う手と心と目の病と対策
■母指CM関節症
親指の付け根の「CM関節」の軟骨がすり減り痛みが発症する病。加齢や女性ホルモン減少の影響もあるが、スマホの重みによる負荷の蓄積により発症しやすい。
●対策
対処法としては、人差し指の骨と親指の骨が交わるV字地点を出発点とし、人差し指の骨の際を指先方向へ押していく、途中にあるコリコリした部分を走る橈骨神経浅枝(とうこつしんけいせんし)の周辺を10秒間、前後に強めにさすって刺激する。
■ヘバーデン結節
指の関節が変形し、曲がって痛む病気。第1関節が曲がるとへバーデン結節、第2関節の場合はブシャール結節という。いずれも、無理に指を動かすと痛みやしびれが悪化し、箸が持てなくなったり、キーボードが打てなくなる。更年期の女性に多く箸が持てなくなることも…。
●対策
対処法としては、指の第1関節、第2関節の両脇を爪を立てて挟み、縦に10秒程度こするとよい。
■ばね指(腱鞘炎)
指を何度も曲げ伸ばしすると起こり、悪化すると手術も必要に…。 指を曲げ伸ばしするのに必要な“腱(けん)”は、トンネル状の腱鞘の内側を通っている。手指を使いすぎると腱と腱鞘がこすれて炎症を起こす。これを腱鞘炎といい、特に指の付け根で起こると“ばね指”と呼ばれる。スマホを使いすぎると親指がばね指になるケースが多い。
●対策
対処法としては、手首の親指側にある骨・橈骨の上を上下に10秒間さすって刺激する。
■スマホ巻き肩
肩こりやストレートネックの原因に! 両手持ちで予防を。スマホを眺めていると、頭が前に出て猫背になり、肩が内側に丸まる。この姿勢を続けると、肩こりの原因に。
●対策
対処法は姿勢を正すこと。スマホはわきを締めて両手で持ち、目線と同じ高さで見るとよい。
■スマホうつ
スマホを長時間続けていると、眼精疲労や光の刺激で自律神経が乱れ、頭痛やめまい、不眠、食欲不振などの症状が出る。ゲームやSNSへの依存で不眠や食欲不振の原因にも。
●対策
「コロナ禍の不安から現実逃避するため、ゲームやSNSに依存する人が増えています。対処法は、スマホの使用時間を決め、あとは見られないようにするのがおすすめ」(新宿ストレスクリニック統括院長・渡邊真也さん)
■スマホ眼病(疲れ目・ドライアイ)
画面を凝視していると、まばたきの回数が減るので、目が乾きやすくなり、疲れ目とドライアイを引き起こす。寝ても目の疲れが解消しない場合は病院へ!
●対策
対策は、まぶたを閉じて、眉の付け根にあるツボ「攅竹(さんちく)」を10秒程度押す。
教えてくれた人
富永喜代さん/富永ペインクリニック院長、石岡みさきさん/みさき眼科クリニック、渡邊真也さん/新宿ストレスクリニック統括院長
イラスト/尾代ゆうこ
※女性セブン2020年9月3日号
https://josei7.com/
●スマホを見る姿勢・うつぶせ寝などの習慣が招く「猫背」で老人体形に!?