瓜実条虫(サナダムシ)が寄生!? 原因はノミ|人もペットも怖い病気
梅雨から夏にかけて気温が上がる季節には、ノミなどの寄生虫による病気が増える。自然界に生息しペットに寄生する瓜実条虫(通称、サナダムシ)やネコノミと呼ばれるノミには、ペットだけでなく人にも被害が…。この時期注意したいノミの被害や瓜実条虫症について、獣医師に解説いただいた。
→ダニから感染する怖い病気|梅雨に増える「マダニ感染症」人も猫も危険!
ノミからうつる怖い病気
気温が上がるこれからの季節に注意したいのがノミによる病気だ。
ノミは、動物にとって最も一般的な外部寄生虫。日本では、主に“ネコノミ”という種類のノミが、犬や猫の体表に寄生する。気温18度以上、湿度70%以上を好み、発生のピークは梅雨どきから秋口ごろだ。
目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問の獣医師・佐藤貴紀さんが、解説する。
「ノミが原因で起こるペットの病気として多いのが、
1.アレルギー性皮膚炎
2.瓜実条虫(うりざねじょうちゅう、通称サナダムシ)による病気があります」
1.ノミの唾液によるアレルギー性皮膚炎
「ノミに咬まれたり、吸血されたりすることで、ノミの唾液がアレルゲンとなりその部分があとから激しいかゆみに襲われます。
ペットも人も同じようなかゆみが現れます。ひどい場合は水ぶくれのように腫れることもあります」
2.瓜実条虫(サナダムシ)が寄生する病気
「瓜実条虫とは“サナダムシ”のことで、犬や猫がグルーミングをした際に体内に入り感染する。
瓜実条虫が小腸に多数寄生すると食欲不振、下痢、出血性腸炎などがみられます」
また、人がペットについていたノミをつぶしたときにノミの体内にいた瓜実条虫が体内に入ることで人に寄生することも。
人間の場合は、ほとんどが無症状だが、幼児には下痢や腹痛が見られることがあるという。
犬や猫などペットのノミ予防策5
ノミの予防には、定期的な駆除薬の投与は効果的だ。さらに薬だけに頼らず、日頃からできるミの予防策もある。
1.散歩から帰ったら、虫が付着していないかボディチェック
2.サロンでの定期的なシャンプー(夏場だけでも)
3.こまめにブラッシングする
4.ペット用のおもちゃ、ベッドはこまめに洗う
5.電化製品や絨毯の下なども念入りに掃除をしてノミを繁殖させない
*
ノミが媒介する病気は、梅雨から夏にかけてじわじわと増えてくる。
「ペットがしきりに体をかいていたり、異常にかゆがっていたりする場合は、体にノミなど虫が付着している可能性が高いです。ペットは言葉のかわりに仕草や行動でSOSのサインを出しています。いつもと違うと思ったらすぐにかかりつけ医に相談してください」
教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん
麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問(https://mamec.wolves-tokyo.com/)。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…)にて配信中。
取材・文/鳥居優美
●ウイルスから家族を守る健康掃除術|5つのNG!病院清掃のプロが伝授