日本人は世界一口が臭い!?目から鱗の口腔ケア新常識
「世界でも日本人の口臭は最も強烈だといわれています。健康への意識が高い他国と比べ80代で残っている歯の数は平均10本以下と少なく、寝たきりになってしまう人も多い。その原因に『歯磨き』が大きくかかわっているんです」
そう話すのは、京都・竹屋町森歯科クリニックの森昭院長。2016年8月に上梓され、6万部のベストセラーになった新書『歯はみがいてはいけない』(講談社刊)の著者だ。
歯を磨いてはいけない理由とは
1月29日、情報番組『ミヤネ屋』(日本テレビ系)がこの本の特集を放送すると、大きな話題となった。本当に歯を磨いてはいけないのか──森院長に聞くと、
「“1日3回、食後3分以内に、3分間歯を磨く”というこれまでの『歯磨きの理想』は、大きな間違いです」とキッパリ言う。
「食事の直後の歯は、歯の表面のカルシウムやリンが溶け出すことで少し軟らかい状態になります。そのタイミングで歯磨きをすると、歯ブラシで歯の表面が削れ、歯茎も傷ついてしまう。研磨剤入りの歯磨き粉をつけて磨くと、さらに歯が削られやすくなってしまいます」(森院長)
磨いてはいけない理由はそれだけではない。
「実は食後に軟らかくなった歯を元に戻す働きをしているのが唾液で、30~60分かけて元に戻すことがわかっています。しかも唾液には強い抗菌作用もあり、虫歯菌や歯周病菌などの口内細菌を除去してくれる。食後の歯磨きは大切な唾液を洗い流してしまうので、逆に口内細菌が増殖しやすくなるのです」(森院長)
口内細菌がさまざまな病気の原因になることも
虫歯菌や歯周病菌などの口内細菌が増えると、プラーク(歯垢)ができる。プラークが歯に残ると細菌が固まり、歯石に変化。この細菌が口内の毛細血管から血管内に侵入して全身をめぐり、さまざまな病気の原因になるというから怖い。
「歯周病菌は口臭の原因になるだけでなく、毛細血管を通じて血管中に侵入すると、細菌が炎症を起こして血栓ができ、脳卒中や心筋梗塞を引き起こします。また、歯周病菌は血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きを阻害するため、糖尿病になりやすくなります。さらに、歯周病によって歯を失い、物を噛めなくなると、脳への刺激が減って認知症にもつながります」(森院長)
むやみに食後すぐに歯磨きをして歯の表面を傷つけたり、唾液を洗い流して口内細菌を増殖させてしまうリスクはわかったが、ではどうすればいいのか。森院長に「正しい口腔ケア」の方法を聞いた。