猫が母になつきません 第194話「きにする」
さびのツメは固い。わびに比べると大きいし。このツメがついた前脚で起き抜けに顔をさわられると驚いて「イタッ」と声を出してしまうことがあって、さびはそのあとシュンとしてしばらく近寄ってきません。テレビの前で丸まって呼んでも反応なし。でもさびがここに居るときは私に何か訴えたいことがあるとき。かなり気にしている。「ごめん、ごめん、大丈夫だから」と抱っこするとぎゅーっとハグしてくれますが、ツメが肩に…しかし、私の痛みよりもさびのいじらしさが一万倍くらい勝っているので気にしません。「気にしい」という言葉がありますが、私はどちらかといえば「気にしい」で、さびも「気にしい」です。よくいえば「繊細」ですが、つまりは神経質、心配性ということ。母はまったく逆でかなり大雑把、細かいことは気にしない。日々の暮らしで「気にしい」が泣きを見ることが多いのは必然です。「気にしい」仲間がいてよかった…。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。