猫が母になつきません 第193話「てまひまかける」
庭にキンカンの実がなりました。母は毎年自分で甘露煮にしていたのに、私に「どうやって煮るの?」と聞いてきます。なぜか母の記憶では去年も私が煮たことになっている(第135話_あじみする)。私はキンカンが苦手ですが、今年は新型ウィルスの影響で習い事やイベントが軒並み中止で手持ち無沙汰な母と一緒にキンカンを煮ることにしました。インターネットで作り方を調べると「切れ目を入れる」「アクを抜く」「種をとる」など母がやっていなかった下ごしらえがいろいろ。下煮をしたキンカンの切れ目から竹串で種をほじくり出すのはけっこう大変。しかし時間だけはいっぱいあるので、そのほうがいいのです。「種って何個あるの?」「さあ」「一個とればいいの?」「一個じゃだめだよ」いつしかそんな会話もなくなり無言で種をほじくる…そうしてできたキンカンの美味しいこと。手間暇かける、こんな時は家で何かしらそういうことをしてみるのもいいかもしれません。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
●親の介護認定 申請は「早く」判定日は「立ち会う」~介護の始まり