『はぁって言うゲーム』をデザインしたゲーム作家が解説!今、話題のカードゲーム5選とその楽しみ方
新型コロナで休校やイベントの自粛、デイサービス閉鎖…。家族みんながモヤモヤ気分になりがち。そんな中、再び注目を集めているのがカードゲームだ。「毎日ゲームで遊んでいる(仕事だもの)」という有名ゲーム作家の米光一成さんが、家族で楽しく遊べるカードゲーム5つを紹介してくれた。
1「はぁって言うゲーム」演じて当て合うて家族で大笑い!
最初に、自分がデザインした『はぁって言うゲーム』を紹介する。『ぴったんこカン・カン』や『モヤモヤさまぁ〜ず』などテレビ番組でも取り上げられ、『You Tube』やイベントなどでも大人気、たくさん遊んでもらえてほんと嬉しい。
お題のひとことを、声と表情だけで演じて当て合うコミュニケーションゲームだ。たとえば、お題「はぁ」なら以下の8種類。
まずは、アクトカードで、自分が演じる「はぁ」が決められる。
演じると言っても、たったひとこと、声と表情だけで表現して当ててもらわねばならない。簡単そうにみえて、あんがいむずかしい。
「うーん、おどろきのはぁだと思うんだけど、ぼうぜんかもしれないなー」と推理していたのに、「なんで? のはぁ」だったときの衝撃!
小さい子がめちゃくちゃ演技派だったり、おばあちゃんが照れ照れだったり、お父さんがヘタすぎてぜんぜんわからなかったり。友達や家族で遊ぶと、その人の意外な一面が見えてくる。
「はぁ」「すき」「なんで」「がんばれ」といった一言を演じるお題や、「寝顔」「振り向いて」「早口言葉」「自己紹介」などお題も、めちゃくちゃたくさんの候補から30種類を厳選。
ひとに気持ちを伝えるということを、楽しくバカバカしく遊びながら学べるといいなーと思って作った。「あんがい間違って伝わるんだ!」っていうことが遊びの中で実感できると、無駄に落ち込むことが減るよ。
【データ】
『はぁって言うゲーム』(幻冬舎)
対象年齢:8才以上
プレイ人数:3-8人(勝敗を気にしなければ2人でも遊べる)
プレイ時間:約15分
2「ナンジャモンジャ」おかしな生き物に名前をつけるゲーム
全世界で30万個突破の大人気ゲーム『ナンジャモンジャ』。なにしろルールが簡単で、すぐに遊べるのがいいのよー。
手足が生えた大きな頭のナンジャモンジャ族が描かれたカードが60枚。1枚めくって、出てきたナンジャモンジャに名前をつける。どんな名前にするかは、めくった人の自由。
たとえば、黄色くて鼻の大きなコイツが出ていたら「はなっぷり」でも「マッシュルーム」でも「ディーン鼻岡」でもオーケー。
連想しやすい名前をつけて覚えやすくしてもいいし、むずかしい名前にして意地悪してもいい。みんな、つけられた名前を覚えていく。
順番にどんどんめくって、どんどん名前がつけられていく。すでに名前がつけられたナンジャモンジャが出てきたら、誰でもいいからいちはやく名前を叫ぶ。
「ディーン鼻岡!」
一番はやく名前を言った人が、いままでめくったカードを獲得。こうやって、一番たくさんのカードを取った人が勝ち。
勝手な名前をつけるのが楽しいし、カードをめくる瞬間の緊張感もいい。
リーベディバ・アリョーナ考案、フェドトヴァ・ナヂェズダ作画。想像力と記憶力を刺激するロシアのゲームだ。
【データ】
『ナンジャモンジャ』(すごろくや)
対象年齢:4才〜
プレイ人数:2-6人
プレイ時間:約15分
3「もしバナゲーム」人生の最期の希望をゲームで
人生の最期に向きあうのは、なかなかむずかしい。それを語り合うのも、むずかしい。「縁起でもない」なんて思っちゃう。大切なことなのに。
でも、カードを使って、ゲームとして遊ぶなかで語り合えるとしたら?
そんな「人生の最期にどう在りたいか」を語り合うのが『もしバナゲーム』だ。
36枚のカード。それぞれのカードに、重病のときや死の間際に「大事なこと」として人がよく口にする言葉が書いてある。
たとえば、「痛みがない」「大切な人とお別れをする」「家族と一緒に過ごす」「ユーモアを持ち続ける」「あらかじめ葬儀の準備をしておく」などなど。これらのカードを、それぞれが5枚持ち、自分の番がきたら交換する。
全員が、この5枚で「よし!」となったら、5枚のカードから特に大切な3枚を選び、その理由を考える。そして、ひとりずつ選んだカードを披露して、あれこれ考えを話し合う。
このゲームは、在宅医療・緩和ケアに従事する3人の医師が、アメリカで医療者と患者さんが対話する際に使われているカードをベースに許可を得て、日本語版として改めて作ったもの。
ちょっとした儀式のようにやってみてもいいし、気軽にプレイして語り合うのもいいかもしれない。
【データ】
『もしバナゲーム』(iACP)
プレイ時間:語り合う時間にもよるが30分ぐらい
4【ito(イト)】で家族の意外な価値観がわかるかも?
『ito』は、みんなで協力して、カードを出すとクリアとなるゲーム。
どうやってカードを出すかというと、まずテーマを決める。たとえば「生き物の大きさ」。
配られたカードには数字が書いてある(カードは1から100までの100枚!)。自分の数字を見て(数字は言っちゃダメ)、テーマに沿ってその数字を表現する。
「ぼくはカバぐらいかなー」「わたしはネズミかなー」「微生物かなー」
誰の数字が小さいのか、探りながらワイワイと話す。好きなタイミングでカードを出すのだけど、数字の小さい順に出さないとアウト。ちゃんと小さい順に出せるとステージクリア、次のステージに進む。ステージが進むと、手札が1枚増えて、どんどん難しくなる!
「言われて嬉しい言葉」「強そうな言葉」「おにぎりの具の人気」「こわいもの」などテーマもいろいろ。
ゲームデザイン、イラストは、326(ナカムラミツル)。そのひとが持っている価値観や想像の幅が分かる楽しいゲームだ。
【データ】
『ito』(アークライト)
対象年齢:8歳から
プレイ人数:2-10人
プレイ時間:約30分
5【ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分】新たななぞなぞ作り
『ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分』は、新たななぞなぞを作れるゲーム。
前半の50ページには「なぞなぞ」の上の句、後半の50ページには下の句が書いてある。てきとうに開いて、上の句と下の句をつなげて、なぞなぞを生成すればいい。
たとえば、こんなふうに。
「ネバネバの」「震えるものな〜んだ?」
「世界で一番」「臭いもの、な〜んだ?」
「四角い部屋で」「ひとりぼっちな〜んだ?」
なぞなぞができたら、答えを思いついた人が挙手して回答。出題者が「いい回答だな!」と思ったら「正解!」になるシンプルなゲーム。
豆本スタイルなので、どこでもいつでも気軽に遊べる。
【データ】
『ドロッセルマイヤーさんのなぞなぞ気分』(ドロッセルマイヤー)
対象年齢:何歳でも
プレイ人数:何人でも
プレイ時間:何分でも
【まとめ】こんな時だからカードゲームで笑おう!
いまカードゲームは、ちょっとしたブーム。たくさんの新作、意欲作が誕生している。トランプやUNOしか知らないよーってのは、もったいない。
年齢も、立場も関係なく、ゲームの世界ではみんな平等なライバルになる。フラットな場で、人と人が出会って、わいわいと話しながら、笑って、遊ぶ。そういった人が集まる場はとても大切だし、いま、改めてその素晴らしさを思い出すべきだろう。
ぜひ、いろいろなゲームで遊んでみてほしい。
構成・執筆・撮影/米光一成 (よねみつ・ かずなり)
ゲーム作家。代表作『ぷよぷよ』『BAROQUE』『はぁって言うゲーム』『記憶交換ノ儀式』など。デジタルハリウッド大学教授。池袋コミュニティ・カレッジ「表現道場」の道場主。