花粉症を予防 緩和する最強食品20|肉より魚を食べるべし!
気象庁によれば、2020年は暖冬の影響で、花粉の飛翔時期も早まる見込みだという。「まだこんなに寒いのに」と侮るなかれ!“ヤツら”はもうすぐそこまで来ている―専門家に聞いてわかった「食べる花粉症予防」誌上総選挙、開幕です。
今から食べればまだ間に合う。今だからこそNGの食材も
花粉症シーズン目前。ドラッグストアには抗アレルギー薬やマスクがずらりと並び、耳鼻科では治療薬を舌の下に投薬する「舌下免疫療法」を受け始める患者もいる。
だが、専門の医師たちは、そろって「食事」の大切さを指摘する。アレルギー専門医で花粉症に詳しい水嶋クリニック院長の水嶋丈雄さんが言う。
「もちろん、病院で受ける専門の治療は効果的です。しかし、日常で口に入れるものに気を配って症状を緩和することも、充分に可能です」
代官山パークサイドクリニック院長の岡宮裕さんも「今から食生活を変えればシーズンに間に合う」と断言する。
「花粉症が悪化するのは、免疫力が下がることが大きな要因。体にいいものを摂り、免疫力のある状態をつくれば、例年よりも症状が緩和されます」(岡宮さん)
では、一体何を食べるべきか。今回も専門家への取材で明らかになった、花粉症を防ぐ「最強食品」を紹介する。
取材した専門家
以下、26の「食と健康のプロ」に「花粉症を予防・緩和する食べ物」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。
愛葉香さん(スーパーフード研究家)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、宇多川久美子さん(薬剤師/管理栄養士)、永吉みねこさん(管理栄養士)、大久保公裕さん(医師/日本医科大学耳鼻咽喉科教授)、大谷義夫さん(日本アレルギー学会専門医)、岡田明子さん(管理栄養士)、岡宮裕さん(医師/代官山パークサイドクリニック院長)、小倉朋子さん(トータルフードプロデューサー)、片村優美さん(管理栄養士)、金子あきこさん(管理栄養士)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、工藤孝文さん(医師/工藤内科副院長)、佐々木欧さん(日本アレルギー学会専門医)、済陽高穗さん(医師)、柴亜伊子さん(皮膚科医)、伊達友美さん(管理栄養士/ダイエットカウンセラー)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、西田元彦さん(内科医)、堀知佐子さん(管理栄養士)、増田美加さん(医療ジャーナリスト)、松村眞由子さん(管理栄養士)、水嶋丈雄さん(医師/『ぜんそく・アトピー・花粉症がスッキリ治る知恵とコツ』著者)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)、藤岡智子さん(フードライター/栄養士)
【花粉症を予防・緩和する食品ランキング(1位~8位】
【1位】ヨーグルト 67点
「ヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌によって腸内環境が整い、花粉症をはじめとするアレルギー疾患への効果が期待できる」(佐々木さん)、「多く含有する善玉菌が腸内の悪玉菌を減らし、添加物をはじめとした不純物の排出をサポートしてくれる」(小倉さん)、「乳酸菌のエサになるオリゴ糖の多い食品と一緒に摂ると効果的」(松村さん)、「1つの銘柄を3週間続けるのがおすすめ。体に合っていれば、お腹の調子がよくなって体が軽くなり、肌もきれになる」(中沢さん)、「一度に大量に食べてもあまり意味がなく、食べ続けることで効果が期待できる。毎日の習慣にして腸内環境の改善を目指してほしい」(片村さん)、「乳酸菌には血液中のリンパ球を増やす効果もあり、花粉のアレルゲンが減少する」(済陽さん)。
【2位】納豆 31点
「善玉菌を多く含み、腸内環境を整えて免疫力アップに。同じ発酵食品であるみそなどに比べても手軽にたくさん食べられる」(増田さん)、「納豆に代表される大豆製品は定期的に摂取することでアレルギー疾患のリスクが減るとの報告がある」(佐々木さん)。
【3位】青魚全般 17点
「血液をサラサラにするDHAやEPAが豊富。これらの成分は、花粉症の原因とされるヒスタミンというアレルギー物質の働きを抑え、花粉症の症状を抑えてくれる」(小倉さん)、「EPAやDHAは花粉症による炎症を悪化させているアラキドン酸の生成を抑える働きも」(堀さん)、「青魚が含む良質な油である“オメガ3系”はヒスタミンの働きを抑えてくれる。刺身など油が流れていかない食べ方を」(愛葉さん)。
【3位】しそ 17点
「しその葉や茎の部分にはポリフェノールの一種であるロスマリン酸が含まれ、アレルギーによる炎症を抑える働きがあるといわれている」(伊達さん)、「“オメガ3系”と呼ばれるアレルギーを抑える働きを持つ良質な油を含む。しそエキスもおすすめ」(工藤さん)、「漢方でも用いられるほどその効果は高く、アレルギーの原因であるTSLPやlgEと呼ばれる物質の産生を抑える」(水嶋さん)
【5位】玉ねぎ 15点
「ケルセチンにはヒスタミンによる炎症を抑制する効果が。特に皮の部分に多いため、煮込み料理に皮ごと入れて、食べる時に取り出すのがおすすめ」(堀さん)、「血糖値を下げる効果のあるジスルフィド酸と、血小板疑集を抑えるピラジンの相互作用でアレルギーの原因であるTSLPの産生を抑制する」(水嶋さん)。
【6位】えごま油 14点
「ふんだんに含まれるαリンレン酸には、アレルギー反応を起こすロイコトリエンを抑える働きがあるといわれている」(伊達さん)、「えごま油は“オメガ3脂肪酸”が豊富。オメガ3脂肪酸は花粉症など過剰な免疫反応を和らげるともいわれています。オメガ3脂肪酸は熱に弱いので、サラダにかけるなど常温で摂って」(永吉さん)。
【7位】ごぼう 13点
「たっぷりの食物繊維に加えて、腸内の善玉菌のエサになるオリゴ糖が多く含まれており、免疫力上昇が期待される」(宇多川さん)、「食物繊維たっぷりで、強い整腸効果が。特に冷え症かつ花粉に苦しむ人には効果が高いといわれている」(西田さん)
【8位】れんこん 11点
「水溶性、不溶性の食物繊維の両方を含み、腸を整えてくれるうえ、粘膜を守り、ストレス軽減に役立つビタミンCが豊富」(藤岡さん)
ヨーグルトは3週間食べ続ける
アンケートの結果、2位以下にダブルスコアの大差をつけ、ぶっちぎりのトップに君臨したのは、ヨーグルトだった。
日本アレルギー学会専門医で秋葉原駅クリニック内科医の佐々木欧さんが解説する。
「ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌には腸内環境を整え、花粉症をはじめとするアレルギー疾患を和らげる効果があることが、研究報告されています」
ただし、ヨーグルトなら何を食べても効果が出るというわけではない。管理栄養士の中沢るみさんは、「同じ製品を3週間食べ続けること」がポイントだと話す。
「ヨーグルトは非常に多くの製品が販売されており、含まれている菌もさまざま。その中から、自分の体質に合ったものを見つけることが大切です。1つの銘柄を3週間食べ続けてみて、お腹の調子がよくなった、体が軽くなった、肌もきれいになったといった実感があれば、自分の体に合っている証拠。そうしたヨーグルトに巡り合い、花粉症の症状が改善されたという人は少なくありません」(中沢さん)
同じく腸内環境を整えるという理由で、2位には本企画の常連である納豆がランクイン。それに迫る形で、3位には青魚全般が、加えて9位にはいわしが単独で票を集めた。今回、肉類が1つも順位に入っていないのとは、対照的である。
「さば、さんま、あじ、いわしなどの青魚の脂肪には、血液をサラサラにする効果のある、オメガ3脂肪酸のDHAやEPAが含まれています。これらが花粉症の原因とされる、ヒスタミンというアレルギー物質の働きを抑えるため、症状を抑えてくれるのです」(トータルフード代表の小倉朋子さん)
花粉症の「特効薬」ともいえる「オメガ3脂肪酸」は6位のえごま油にもふんだんに含まれている。管理栄養士の松村眞由子さんが言う。
「えごま油は、オメガ3脂肪酸の前駆物質(ぜんくぶしつ)(であるαリノレン酸を多く含みます。ただし、αリノレン酸は熱に弱いので、加熱しないで摂ること。ドレッシングの一部として野菜にかけたり、おひたしやみそ汁などに小さじ1杯程度かけるのがおすすめです」
野菜類では、7位のごぼう、8位のれんこんなどの根菜類が善戦。食物繊維が多く含まれているため整腸作用があり、腸内環境を整えてくれる。だが、理由はそれだけではない。
「れんこんに含まれるポリフェノールの一種、タンニンにはヒスタミンを抑制し、のどや鼻の炎症を改善し、のどの痛みや鼻水を抑える作用があります」(水嶋さん)
ごぼうには食物繊維に加えて、腸内の善玉菌のエサになるオリゴ糖が多く含まれており、強い整腸効果と、免疫力アップが期待される。食物繊維由来の野菜の中で奮闘した玉ねぎを推すのは、管理栄養士の片村優美さんだ。
「玉ねぎが含有するケルセチンは、別名“自然界の抗ヒスタミン剤”。花粉症の症状を緩和することが期待されます。ケルセチンは熱にも強いので、調理中の損失は少ないと考えられています。玉ねぎは長期保存が可能で使いやすいので、普段の料理はもちろん、おろしてソースに使うなど、積極的に取り入れましょう」