朝食を抜く、糖質制限、猫を飼う女性…データで見る死亡リスクを上げる生活習慣
自分の選んできたライフスタイル――。「一人暮らし」か「家族と同居」か。ペットは「犬」か「猫」か…。
暮らし方が、実際に健康にどんな影響を与えているのか、把握している人は少ない。普段、何気なく行う習慣が、どれだけ体に悪いことか具体的に知り、改善することが長生きの秘訣かもしれれない。 古今東西の研究データの総まとめをお伝えする。
→死亡率上がるor下がる「食べ物・食べ方」一覧|古今東西の研究データまとめ
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データで知る長生きのための生活習慣
※()は、調査者/調査対象/調査発表年
■たばこを1日1本以上吸う人:死亡率、死亡リスク/64%アップ↑
継続的に生涯にわたって喫煙した人は、1日平均1本未満でも、非喫煙者と比べて早く死亡するリスクが64%高かった。また、1日1~10本喫煙した人は、非喫煙者より死亡するリスクが87%高かった。35才以下で禁煙すれば喫煙による健康リスクはほぼ帳消しにでき、50才以下でも、禁煙にかかわる疾患リスクは半減するという。(米国立がん研究所<NCI>/多くが60~70代の白人/2016年)
■睡眠時間が1日6時間以下の人:死亡率、死亡リスク/2.5倍↑
睡眠時間が1日6時間以下の人は、7~8時間の人と比べて死亡率が2.5倍高い。睡眠時間が短いと免疫力が低下し、睡眠中に成長ホルモンの分泌が低下して老化が進むという。また、脂肪や糖の代謝が悪くなり、交感神経の緊張が続いて血圧も上がると考えられている。(自治医科大学の研究チーム/日本人男性4419人/2004年)
■不眠、夜更かしなどで毎日「夜型」の生活をしている人:死亡率、死亡リスク/10%アップ↑
完全な夜型の人と完全な朝型の人を平均6.5年追跡調査したところ、夜型の人の方が朝型の人より全死亡リスクが10%高かった。夜更かしすると、飲酒や喫煙、間食など不健康な行動が避けにくいことなどが関係しているようだ。(米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部神経学准教授のKristin Knutson氏/38~73才の男女43万3268人/2018年)
■夜中に4回以上トイレに行く人:死亡率、死亡リスク/3.6倍↑
高齢者が夜中にトイレのために起きる平均回数と死亡率を約5年間調査したところ、回数が2回の人で1.59倍、3回で2.34倍、4回で3.6倍になるという結果が出た。この原因は、そもそも多尿の原因が心不全や糖尿病、高血圧などにあるからとされる。(東北大学の中川晴夫講師らの研究チーム/宮城県仙台市内に住む70才以上の高齢者784人/2011年)
■慢性的に便秘の人:死亡率、死亡リスク/12%アップ↑
便秘または便秘薬の使用の有無と、全死因死亡率との関連を約13年間追跡調査したところ、便秘の人は便秘でない人に比べて死亡リスクが12%高かった。「便秘になると腸内細菌異常が生じ、悪玉菌が作り出す有害な代謝産物が腎臓を傷つけて尿の排出を悪くします。それにより、大腸がんのほか腎臓も悪くしやすい。心筋梗塞や脳卒中になる率も高いです」(江田クリニック院長・江田証さん)。(米テネシー大学ヘルスサイエンスセンターの住田圭一氏らの研究チーム/米国の退役軍人335万9653人(平均年齢59.8才、93.2%が男性)/2018年)
■1日11時間以上座っている人:死亡率、死亡リスク/40%アップ↑
座位時間と総死亡リスクについて、3年間行った追加調査によると、1日に座っている時間が4時間未満の人に比べて、11時間以上の人の死亡率は40%高った。また、国立がん県有センターが45~74才の日本人男女を対象に7~8年間行った追跡調査でも、座っている時間が1日3時間未満の人と比べて、1日8時間以上の人の死亡率は18%高かった。(オーストラリアのシドニー大学の研究チーム/22万人以上の成人/2012年)
■肥満指数(BMI)19以下のやせ型の人:死亡率、死亡リスク/61%アップ↑
肥満指数(BMI)は、22が最も健康的とされ、25以上を「過体重」、30以上を「肥満」としている。BMIと死亡リスクとの関連を平均13年間追跡調査したところ、BMI23~25を基準にした時、女性の死亡率はBMI19.0~22.9のやせ型の人が17%、BMI19未満のかなりやせ型のは61%も上昇した。一方、BMI 27~29.9の太り気味の人の死亡率は8%、BMI30以上の肥満の人は37%だった。(国立がん研究センター/日本の7つの研究、35万人以上のデータをと統合して解析/2011年)
■朝食を食べない人:死亡率、死亡リスク/87%アップ↑
17~23年間にわたり年齢や性別、人種などで調整して解析・追跡調査したところ、朝食を全く摂らない人は、毎日摂る人に比べて死亡リスクは19%高く、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患により死亡するリスクは87%高かった。朝食を食べず絶食状態が長く続くと、肥満や糖尿病の発症につながったり、高血圧やコレステロール値の悪化につながることが要因とされる。(米アイオワ大学の研究チーム/40~75才のアメリカ人男女約6550人/2019年)
■糖質制限ダイエットを行っている人:死亡率、死亡リスク/31%アップ↑
総カロリーに占める糖質の割合をスコア化し5~26年間追跡したところ、心疾患や腎臓病を含む総死亡率は、高糖質の人と比べて低糖質の人の方が31%高かった。米ハーバード大学が45~64才の男女を対象に25年間にわたり行った追跡調査でも、最も死亡率が高いのは、食事に占める炭水化物の割合が3割以下の人である。(国立国際医療研究センター/男女27万2216人/2013年)
■握力が強い女性:死亡率、死亡リスク/40%ダウン↓
握力は筋肉の量を意味し、握力の強さが健康のバロメーターになる。握力の強さを4つのグループで分けて、20年間追跡調査を行ったところ、握力が最も強いグループ(男性47kg、女性28kg以上)は、最も弱いグループ(男女39.5kg、女性23.5kg未満)に比べて死亡リスクが男性は3割、女性は4割低かった。(厚生労働省/福岡県の40才以上の男女2527人/2014年)
■貧乏ゆすりをする人:死亡率、死亡リスク/37%ダウン↓
1日5~6時間座り、貧乏ゆすりを頻繁にする人は、ほとんどしない人に比べて死亡リスクが37%低かった。1日7時間以上座っている人は、5時間以下の人に比べ、死亡リスクが1.3倍になるが、7時間以上座っていても貧乏ゆすりの頻度が「中」~「高」の人は、死亡リスクは増えなかった。「貧乏ゆすりで体を動かすことが、リポ蛋白リパーゼという酸素の活性化につながり、高脂血症や肥満、糖尿病の予防につながるからと考えられる」(銀座医院医師・齋藤吉由さん)。(英ロンドン大学の研究チーム/37~78才のイギリス人女性1万2778人/2015年)
■週に3時間半以上、読書をする人:死亡率、死亡リスク/23%ダウン↓
「まったく読書をしない」「読書を週3時間半以下」「読書を週3時間半以上」という3つのグループを12年間追跡調査したところ、読書時間が週3時間半以下だった人たちは17%、3時間半以上だった人は23%、死亡リスクが低下した。学歴や所得などの条件は調査済みであり、ほとんど体を動かさない読書で寿命が延びたことになる。(米イエール大学の研究チーム/50才以上の3635人/2016年)
■猫を飼っている女性:死亡率、死亡リスク/2.85倍↑
18年間の追跡調査によると、猫を飼っている女性は飼っていない女性に比べ、肺がんによる死亡率が2.85倍高かった。ペットが鳥の場合は2.67倍、犬の場合は1.01倍。一方、理由は不明だが、男性ではペットの有無と肺がんに関連は見られなかった。(米ジョージアサザン大学の研究チーム/19才以上の1万3725人/2019)
■ひとり暮らししている人:死亡率、死亡リスク/32%アップ↑
平均7時間の調査によると、「社会的孤立」によって29%、「孤独感」により26%、「ひとり暮らし」では32%、それぞれ死亡リスクが高かった。米シカゴ大学の研究チームが2014年に行った調査でも、「極度の孤独は高齢者の早期死亡を14%増加させる可能性がある」としている。(米ブリガム・ヤング大学の研究チーム/平均年齢66才の340万7134人/2015年)
■嗅覚を感じなくなった人:死亡率、死亡リスク/46%アップ↑
嗅覚低下と総死亡率などの関係を調査したところ、嗅覚が不良な高齢者は、嗅覚が良好な高齢者に比べ、10年後の総死亡リスクが46%高かった。嗅覚低下は、日常の安全や栄養状態、生活の質に影響を及ぼし、アルツハイマー病やパーキンソン病などの初期症状の1つという研究もある。(スウェーデンKarolinska研究所の研究チーム/―/2019年)
■歩くペースが遅い人:死亡率、死亡リスク/1.44倍↑
男女それぞれ3グループに分けて、平均5.1年間追跡調査したところ、歩く速度が遅い高齢者は、速く歩く高齢者に比べ死亡リスクが1.44倍高かった。豪シドニー大学の研究でも、60才以上の人は、ゆっくり歩く人に比べ、速足の人で53%全死亡リスクが低下した。(フランス国立保健医学研究所の研究チーム/65才以上の男女3208人/2009年)
※女性セブン2019年9月12日号
●死亡率上がるor下がる「食べ物・食べ方」一覧|古今東西の研究データまとめ