終の住みか「介護が必要な自分を想定して選択を」と識者
愛着のあるわが家、安心できる病院や施設、にぎやかな子供の家──人生の後半戦を過ごす場所、つまり「終の住みか」の選択肢が多様になってきている。
では、終の住みかを選ぶ時、まず何を考えるべきか。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんはこうアドバイスする。
「100才まで生きると仮定し、今の元気な自分ではなく、介護が必要になった80代、90代の自分を想像しましょう」
“こういう暮らしをしたい”という理想が先走ると、立ち行かなくなる可能性が高いからだ。
終の住みか、高齢者のリアルな声とは
終の住みかについて真剣に考える年齢となった高齢者たちからは、こんなリアルな声が聞こえてくる。
「夫が先に死ぬとは限らない。計画はあらゆる可能性を考慮に入れるべき」
「寿命90才を想定し、65才で有料老人ホームに入居。ところが現在92才。お金が足りず終の住みかのはずのホームを退去せざるを得なくなった…」
「『夫が死んだら一緒に住もうね』と女友達と約束。一緒に計画を立てています」
「万一の時、誰かが1分で駆けつけてくれる環境を整えるべき」
「どう生きたいかが大事。家はあくまで手段」
「必要なのは、お金より情報」
いちばん困る問題を想定しておく
既婚女性であれば、夫が先に亡くなるとは限らないし、90才で老々介護をしている可能性もある。
予想外のことが起きても対応しやすいよう、いちばん困る問題を想定しておくのがいいと言う。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんもこう語る。
「自宅で最期を迎えたいと思っても、介護施設や病院にお世話になる可能性もあります。となると、その分のお金は残しておかないといけません。注意しないといけないのは、田舎に移住するケース。最初はよくても、年を重ねて不便になり、結局都心に戻るケースも。住みかを転々としていると、いざという時、資金不足になりかねません」
※女性セブン2017年11月9日号