音楽の力で認知症予防!注目の「若返りリトミック」教室に行ってみた
団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、国も自治体もすでに認知症対策に本腰を入れている。全国で開催されるさまざまな取り組みの中で、「音楽の力で心や体が元気になる」と人気を集める「若返りリトミック」教室を取材した。
人目を気にせず大声で歌い、心を開放
「若返りリトミック」とは、認知症予防や心身の活性化などを目的に、音楽を使って行うセラピー(療法)のひとつ。音楽療法のテクニックとレクリエーションの要素を組み合わせたもので、「国立(くにたち)音楽院」(東京都世田谷区)が開発。高齢者を対象に、全国で講座が開催されている。
今回取材したのは、「埼玉県県民活動総合センター(通称・けんかつ)」で開催された若返りリトミック教室。主催者の「公益財団法人 いきいき埼玉」は、高齢者の生きがいづくりなどを目的としたさまざまな活動を、28年前から行なっている。
「今年9月に若返りリトミック教室を開いたところ大好評で、『違う曲を使ったプログラムも楽しんでみたい』という方が多く、2回目の実施となりました。すでに、年内にもう一度開催することも決まっています」(いきいき埼玉・担当者)
「若返りリトミック」の講師を務めるのが、音楽療法士(※)の資格をもつ2人組「濱ちゃん・松っちゃんコンビ」こと濱田幸子さん、松島裕子さんだ。濱田さんが主にトークとリトミック指導を担当し、松島さんがピアノ演奏を務める。
90分間のプログラムは、2人の軽妙な自己紹介から始まった。
松島「お笑いコンビの浜ちゃんと松ちゃん、聞いたことあるでしょう? あちらは『ダウンタウン』だけど、こっちは『ダウン“ダウン”』ね!」
どっと笑いが起こる中、1曲目の『高原列車は行く』、2曲目の『丘を越えて』を参加者全員で歌う。濱田さんは、歌詞に合わせたアクションで参加者の気分を盛り上げる。歌詞の「山越え」の部分では腕を大きく回して山を作り、「谷越え」では手をすくい上げるように動かして谷を表現。「いざ行け」ではエイエイオーのように腕を高く突き上げる。松島さんの弾むようなピアノの伴奏にのって、参加者は周りの人を気にせず、自然に大きな声を出していた。