介護費用Q&A|いくらかかる?公的介護保険だけで大丈夫?
2025年には4人に1人が75才以上の高齢者という超高齢社会を迎える。自分や家族の介護は決して他人事ではない。その日を迎えたときに困らないためには、備えをしっかりしておくことが重要だ。とくに、介護のお金については今から準備しておきたい。(法改正後記事更新)
* * *
公的介護保険制度は3年に1度、見直すことになっており、2018年に改正された。
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんは、「15年度から、要介護者よりも軽い要支援の人向けのサービスが公的介護保険の対象から外され、市区町村の事業に段階的に移されるなど、サービス縮小の流れはすでに始まっています。今後、利用者は公的介護保険でまかなえない部分は民間サービスを利用しなければならなくなると考えられます」と指摘する。
Q:介護の費用は一体、いくらかかるの?
A:介護にかかる費用は平均で自己負担額を含めて月々7.9万円(※1)だ。介護期間は平均4年11か月(※1)となり、同期間のトータルで約466万円の費用がかかる計算だ。
在宅介護の場合は、手すり設置などのバリアフリー化の費用、訪問介護や配食サービスなどを利用すればその費用もかかり、医療費やおむつ代も必要となる。施設に入所する場合は、居住費などの負担もある。
「公的介護保険の利用限度額内に収まればいいですが、それ以上のサービスを受ける場合、継続的にそのサービスにかかる費用を支払うことができるかどうかなど、資金計画をしっかり立てることが大切です」(太田さん)
Q:介護リフォームの費用はどれくらい?
A:公的介護保険では要介護度に関係なく、上限20万円まで住宅改修費が支給される。
対象となるのは、手すりの取り付け、段差の解消、扉の取り替え、洋式便器への取り替えなどと、その付帯工事となる。
「車椅子での生活を余儀なくされた場合などは、大幅リフォームが必要で費用は膨らみます。自治体によっては独自に介護の住宅改修に助成金を支給しているところがありますので、事前にサービスの有無や利用方法を問い合わせてみるといいでしょう」(ファイナンシャルプランナー・吹田朝子さん)
玄関など屋内に面する段差の解消
42,400円
浴槽のまたぎを低くする工事
495,400円
開戸を引戸・折戸に変更
149,400円
和式トイレを洋式に取り替え
348,400円
Q:施設に入所すると費用はどれくらい?
A:施設に入所した場合の月々の平均介護費用は約12万円(※1)だ。しかし、ひとくちに施設といってもさまざまな種類があり、費用も大きく異なる。
「例えば、比較的低コストで入所できる特別養護老人ホーム(特養)なら、入所一時金は不要で月々5万~15万円くらいです。こうした公的な施設では所得によって費用の軽減措置があります。ただ、入所待ちする人が多く、待機期間は数年に及ぶこともあります。
民間が運営する有料老人ホームは、入所一時金や敷金も必要です。月々の費用は10万~40万円が目安となります。介護サービス付きの場合、初期費用0円のところや1億円のところなどさまざまです」(太田さん)
高額な施設に入所したもののあとで費用を払えなくなるケースもある。太田さんは、施設選びには情報収集が欠かせないと付け加える。