《「1日1万歩」は不要?》整形外科医が教える転倒・ひざ痛を予防する1分体操「片足で1分間立つ」だけで得られる驚きの効果
健康のためには運動することは大切だが、わかっていてもなかなか続けられなかったり、張り切り過ぎて、逆に体を痛めてしまったりすることもある。『動ける体が大復活する 1分体操』(アスコム)を上梓した、整形外科医の中山潤一さんも、「体は動かすほうがいい」が、「動かしすぎてもいけない」と話す。そこでけがなどをしにくく健康維持に役立つ、シニアにおすすめの運動法について教えてもらった。
運動をしていない人がいきなりウォーキングをするのは危険
健康のための運動として一般的によくすすめられるのが「歩くこと」だが、「ずっと運動してこなかった方が、いきなりウォーキングを始めるのは危険です」と中山さん。確かに歩くことは体にいいが、急にウォーキングを始めると、多くの場合足を痛めてしまい、買い物や趣味の外出など日常生活の中での「歩く」ことすらままならなくなってしまうためだ。
「『1日1万歩、歩くといい』とお聞きになったことがあるでしょう。そもそも日頃から動いていない方が一念発起したとしても、1万歩も歩くことなど無理な話です。『歩けなかった』と自信を喪失してしまうのが関の山。それだけならまだしも、きっと足腰を痛めます」(中山さん・以下同)
シニアにおすすめなのは「片足立ち」
そこで中山さんがすすめているのが「片足立ち」だ。中山さんによると、「片足で1分間立っていると、53分間歩いたときに匹敵する負荷が太ももの付け根の骨にかかる」というデータがあり、1分間の片足立ちは53分間のウォーキングに匹敵する効果があるという。
「片足で立てば、下半身の筋力が向上し、体幹が安定し、関節も安定し、平衡感覚が高まるので、転倒が予防でき、歩いたり立ち上がったりするのがスムーズになります。ひざまわりの筋肉も強くなることで、ひざの痛みが改善することも報告されています」
片足立ちでふらつくのは筋力不足と平衡感覚の衰えによるもの
片足立ちをすると、最初はふらついてしまう可能性が高いが、ふらつくのは下半身や体幹の筋力不足や、体のバランスを保つ平衡感覚の衰えによるもの。中山さんは片足立ちをベースにした体操をすすめているが、この体操を続けることで、筋肉が鍛えられ、筋力が安定するほか、平衡感覚も取り戻せるようになるという。
「筋力が安定してくれば、歩き方も安定して、歩く姿勢がよくなります。ひざ関節や股関節が柔らかくなり、ひざや股関節にかかる負担が減ります。そうなれば、今よりもずっと楽に、ずっと長く歩けるようになります」
基本となる「ゆる片足上げ」体操
片足立ちをベースに中山さんが考案したのが「ゆる片足上げ」体操。足を高く上げるほど、負荷がかかって効果的だが、そこまで高く上げなくても効果は十分に現れるため、少しだけ片足を上げればいいという意味で「ゆる」という名前を付けているという。
「ゆるいのに『片足』で立つことで、ウォーキングに勝る筋力アップと平衡感覚アップの効果があるのです。実際に、この『ゆる片足上げ』を、開始時点よりも10秒間長くできるようになったかたは、歩くスピードが0.8m/秒速くなった、というデータがあります」
1分でできる「ゆる片足上げ体操」
《ゆる片足上げ体操のやり方》
【1】背筋を伸ばして立ち、足を肩幅に開く。ひざを軽く曲げ、両手は楽な位置に下ろすか軽く開く。このとき、息をゆっくり吐いてお腹を凹ませる感覚で、おへそのあたりに軽く力を入れる。
【2】右足のつま先が5cmぐらい床から離れるように右足を上げる。そのまま1分間維持する。この間も呼吸は止めず、自然に続ける。その後反対側の足も同じように行う。
「【1】のポーズで両足をそろえて立ったり、ひざが真っすぐに伸びた状態だと、バランスがとりにくくなり、倒れやすくなります。足を上げてからも、ひざは軽く曲げたままにしてください。また、【2】のポーズで視線が上や足元を向いてしまうのも、平衡感覚を保てなくなり、ふらふらする原因になります」
ふらつくようなら「支え」を使う
少しでもふらつくようであれば、机に手をついたり、柱や手すりを持ったりして、支えを使うようにしよう。支えがある状態でも効果はあるが、慣れてきたら無理のない範囲で少しずつ支えを離していくのがおすすめだ。また、もし支えを使っても1分間が長く感じられるようであれば、まずは30秒ぐらいから始めるのがいいという。
「けっして無理をせず、続けることがなにより大事です。何セットやってもいいのですが、左右合計で2分間くらいすれば十分です。1日2セットが目安ですが、朝昼晩と3回できればさらにいいでしょう」
教えてくれた人
中山潤一さん/整形外科医
なかやま・じゅんいち。中山クリニック院長、医学博士。大阪医大(現大阪医科薬科大学)卒業後、神戸大学整形外科入局。基幹病院で臨床経験を積み、医学博士号を取得後、神戸逓信病院医長、神鋼加古川病院医長を経て、2011年に中山クリニックを開業。有床診療所として年間380件の手術を行い、介護事業も展開するほか、保存療法、再生医療、関節鏡手術、エコー(超音波)治療など幅広い症例を手掛ける。著書に『動ける体が大復活する1分体操』(アスコム)など。YouTubeチャンネル「医師 中山潤一『整形外科・消化器内科』/兵庫県明石市の中山クリニック」https://www.youtube.com/@nakayama-clinic
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