高齢者を狙う特殊詐欺が巧妙化【アポ電詐欺、還付金詐欺】防犯対策を専門家が指南「自分は大丈夫の考えが危ない」
シニア世代を狙った犯罪は、年々巧妙になっている。2024年の特殊詐欺の件数は2万件を超え、被害総額は約721億円と過去最多を記録(令和7年警視庁調べ*)している。そこで今すぐに始められる防犯対策を防災士&家事アドバイザーの矢野きくのさんに教えてもらった。
*警視庁「令和6年の犯罪情勢」より。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/kikakubunseki/r6_jyosei.pdf
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
「うちは大丈夫」の考えは今すぐやめる
近年、シニア世代を狙った犯罪は多様化そして巧妙化しています。「自分は大丈夫」「うちは盗られるものなんてない」という油断こそが、犯行グループにとって最大の隙となるものです。
大切な資産や健康、そして何より平穏な暮らしを守るために、今回は、今すぐ実践できる防犯対策をまとめました。
巧妙化する「特殊詐欺」への対策
現在、シニアが最も被害に遭いやすいのが、電話やメールを使った特殊詐欺です。犯人は心理学を駆使し、パニック状態に陥らせて冷静な判断力を奪います。
「固定電話」を使っているご家庭はとくに注意
多くの詐欺の入り口は自宅の固定電話です。以下の対策を徹底しましょう。
●常に留守番電話に設定しておきましょう
犯人は声を録音されるのを嫌います。「ただいま留守にしております」ではなく、「防犯のため録音しています」というメッセージが流れる機種やアダプターを導入しましょう。
●知らない番号には出ない
登録していない番号からの着信は無視するのが鉄則です。本当に必要な用件なら、必ず伝言が残されます。
還付金・サポート詐欺に注意
「市役所ですが、保険料の過払い金があります」「パソコンにウイルスが見つかりました」といった言葉はすべて疑ってもいいほどです。
ほかにも、以下のような言葉には注意しましょう。
「ATMに行ってください」
「プリペイドカードを購入してください」
ATMへの誘導の言葉があれば、それは100%詐欺といえるでしょう。また、コンビニでプリペイドカードを買わせるのは、現代の詐欺の常套手段です。
住まいの「物理的防犯」を強化する
空き巣や居直り強盗(忍び込み)を防ぐには、外から一目瞭然で「侵入に時間がかかる家」と思わせることが重要です。
1.玄関・窓のダブルロック
泥棒は侵入に5分以上かかると諦めるというデータがあります。
●補助錠の設置
サッシの上下に付ける簡易的な補助錠だけでも効果は絶大です。
●防犯フィルム
窓ガラスを割って鍵を開ける「ガラス破り」を防ぐために、厚手の防犯フィルムを貼りましょう。
玄関周りに防犯アイテムを設置
●防犯カメラ+シールで対策を
まずはやはり防犯カメラは設置しているだけでも、犯罪者から敬遠されます。防犯カメラを設置し、さらに「防犯カメラ録画中」というシールを目立つところに貼っておくのがおすすめです。
●人感センサーやライトの導入を
犯人は「光」と「音」を嫌います。 人感センサーライトを玄関先や家の裏側に設置しましょう。ソーラーライトであればホームセンターなどで手軽に買えますしランニングコストがかかりません。
●砂利を敷き詰めて防犯対策に
踏むと大きな音がする防犯砂利を家の周囲に敷き詰めると、夜間の接近を察知しやすくなりますし、そもそも砂利が敷かれている家は犯罪者に敬遠されます。
「アポ電」と「訪問者」への対応
「点検」や「アンケート」を装って、家の中の状況や資産状況を探る「アポ電詐欺」も増えています。先に電話で個人情報などを入手し、後日訪問したり・強盗に押し入ったりするケースも。
留守電にしておくことはもちろん、突然の訪問者はドアを開けないのが鉄則です。
●インターホンでの対応を徹底
宅配便を装うケースもあるため、まずはインターホンで対応し、送り主の名前を確認。心当たりがなければドアチェーンをかけたまま対応するか、きっぱり断りましょう。
●突然の訪問で点検・修理は家に入れない
「屋根が壊れていますよ」「ガス点検です」「近所のお宅の修理に来たついでに点検で回っています」など、突然訪問してくる業者は、高額請求や強盗の下見の可能性もあります。管理会社や警察に確認するまで家に入れないでください。
●シールによって威嚇
インターホンの下に無用な訪問者を断るシールを貼っておくだけでもある程度の効果はあります。
日常生活で意識すべきポイント
日頃の何気ない習慣が、防犯意識の高さをアピールすることに繋がります。
●個人情報の管理を徹底する
シュレッダーなどを活用し、住所・氏名が載った郵便物、公共料金の明細などは必ず細かく裁断してから捨てましょう。
SNSの投稿に注意しましょう。 「今日から旅行です」といった投稿は、不在を知らせる合図になってしまいます。
また、春のシーズンに目立つのが、孫の卒業、入学が嬉しくて、孫の顔写真、名前、学校までSNSに投稿してしまっているものです。これは非常に危険なことです。ご自分の防犯だけでなく、家族の防犯も考えてください。
●地域コミュニティとの繋がりを大切にする
近所の人と挨拶を交わす習慣は、不審者にとって最大の脅威です。「顔を見られるかもしれない」「この地域は周囲の“目”がある」と思わせることが、最高の防犯になります。
もし「怪しい」と思ったら?
少しでも違和感があったら、ひとりで抱え込まないことが大切です。
●警察相談専用電話「#9110」
事件になる前の不安や相談を受け付けています。
●消費者ホットライン「188(いやや)」
悪質な勧誘や契約トラブルの相談窓口です。
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防犯対策に「完璧」はありませんが、「面倒くさい家」にすることは可能です。「うちはお金がないから」ではなく、「自分の命と尊厳を守るため」に、今日から一つずつ対策を始めてみてください。まずは、ご自宅の電話を「留守番電話設定」にすることから始めてみませんか?
