《これからの健康維持は酸素がカギ》大塚製薬が共同研究で発見した「ケンフェロール」の作用
大塚製薬は2月25日、新製品「/zeroz(ゼロズ)」の核となる植物由来成分「ケンフェロール」の研究説明会を開催した。説明会には、大塚製薬株式会社 先端科学研究所所長・池田泰隆氏と宇宙生体医科学センター所長と、ミックゴーワン再生医療研究所副所長/ピッツバーグ大学 外科学教授、計算・システム生物学教授のAfshin Beheshti(アフシン・ベヘシュティ)氏、TAZ Inc. 代表取締役社長、ジーンクエスト 取締役ファウンダーの高橋祥子氏が登壇し、13年に渡る研究によって「ケンフェロール」が細胞内のエネルギー産生を担うミトコンドリアに作用し、エネルギー産生効率を高めることを、世界で初めて確認した研究について紹介した。
研究を発展させたアプローチの転換
発表会の冒頭で「身内の葬儀に参列した際、同じ年齢で亡くなった方でも、寿命で亡くなられた方を見送るときは笑顔の方が多く、病気の末に亡くなられた方を見送る際には悲しんでいる方が多いように、周囲の感情の動きが大きく異なることに衝撃を受けました。一分一秒でも長く健康な時間を生み出すことに意味がある」と語ったのは、研究の指揮を執った池田氏。
しかし、長年の研究の中で池田氏は1つの限界を感じたという。
「従来の学術的なやり方、つまり細胞や生理学のミクロな世界だけを見ていては、生活者の健康に本質的に貢献できないのではないか」という考えで、人を“個別の事象”ではなく“環境に適応する1つのシステム”として捉えるアプローチへ転換したことが研究の発展につながったと話す。
「栄養」から「酸素」へ
健康維持において重要と考えられてきた「栄養」。しかし、池田氏は「栄養というガソリンがあっても、酸素という火花がなければエネルギーというエンジンは回らない」と強調する。それは、現代人が体内の低酸素状態に陥っている現状から推測されるという。
「1995年の研究データによれば、血液中の酸素を100とした場合、実際に細胞に届いているのはわずか24.1%、運動時には2.7%まで低下します。さらに、加齢や喫煙、飲酒、さらには日常的なマスク着用も体内の低酸素化を加速させ、細胞が本来の役割を果たせない環境を作り出しているのです」(池田氏・以下同)
そこで、この酸素の活用こそが健康維持のカギを握るのではないかと考え、メキシコやケニアの標高2000mを超える低酸素環境に居住しながらも高いパフォーマンスを発揮する高地民族の食生活に着目した。海外のトップ研究チームとの共同研究も経て、世界各地から集めた341種類の高地食材を分析し、ケンフェロールにたどり着いた。この成分は植物が生成するフラボノイドの一種で、アブラナ科の植物や雑穀、豆類、茶葉などにも含まれ、特に西洋わさび葉に豊富な成分だという。
「Apple Watch」を活用した臨床試験でわかった効果
被験者に厳しい制限を課さない「リアルワールド」での検証を行ったことも今回の研究のもう1つの特徴だ。長野県茅野市で行われた臨床試験では、参加者に普段通りの生活を送ってもらい、ウェアラブルデバイスで24時間の活動を計測した。
その結果、ケンフェロールを摂取したグループには、以下の顕著な変化が見られたという。
【活動量の増加】
1日の歩数が増え、GPSデータでも移動範囲が拡大。
【睡眠の質向上】
睡眠時間は変わらないものの、睡眠中の心拍数が下がり、深いリラックス状態を維持。
【心拍数の安定】
あらゆる活動強度において心拍数が低下。一生の心拍数は約30億回と言われる中、この心拍数の安定は4〜5年の健康寿命延長に相当する可能性を示唆している。
「/zeroz」が大塚製薬の大きな転換点に
説明会の最後、池田氏はこのプロジェクト以前に9つの研究テーマを提案し、その多くが形にならなかったことを明かした。
「しかし、それがあったからこそ、細胞の環境を変えるという今の視点にたどり着けた。この『/zeroz』は、大塚製薬が世の中の人々に本当の健康を届けるための、大きな転換点になると確信しています」
