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暮らし

室内で凍死も?「低体温症による死者は8割が65才以上」高齢者は特に注意したい体温の調整や対策を専門家が解説

 1月~2月にかけてグンと気温が低下するため、注意したいのが「低体温症」だ。とくに高齢者は低体温症による死者数が圧倒的に多いという。夏場の熱中症ほど注視されていないが、実は冬場の凍死も危険――。適切な体温を保つための対策について、介護経験をもつ社会福祉士の渋澤和世さんに解説いただいた。

この記事を執筆した専門家/渋澤和世さん

在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。

高齢者は低体温に要注意「室内の凍死も」

 高齢者施設に勤務する友人と会った際、「夏は熱中症、冬は凍死も心配なんだよ。高齢者は気を付けないと…」という話になりました。凍死と聞くと、雪山で遭難とかを思い浮かべますが、実は低体温症などの「凍死」は高齢者が圧倒的に多く、屋内で起きているといいます。夏の熱中症の危険性は広く認知されていますが、冬の低体温症については、あまり注目されていません。

実例/75才の義父が凍死?低体温症で急逝

 A子さんの75才になる義父が昨年の冬、自宅のリビングで意識を失った状態で倒れていたとのこと。救急車を呼びましたが残念ながら亡くなってしまいました。

 医師の話によると、暖房をつけていなかったので「おそらく低体温症だったのでしょう」とのこと。また、テーブルにはビール瓶が転がっていたそうで、酔ってそのまま寝てしまったのかもしれません。アルコールは判断能力を低下させるため、体温が低下していることに気づかなかったとも考えられます。

低体温による死亡者数「65才以上が8割超」

年|総数(人)|65才以上|65才以上の割合
2020年|1054人|856人|81%
2021年|1245人|1044人|84%
2022年|1450人|1230人|85%
2023年|1354人|1153人|85%
2024年|1394人|1207人|87%

高齢者は低体温症になりやすい?

 皆さんはご自身の平熱をご存じでしょうか。筆者は若いころから平熱が低く35度台が当たり前でした。特に今まで大きな問題もなかったため、平熱に関して無頓着でしたが、最近の健康診断で「平熱は36度台になるといいですね」と医師から言われたばかりです。

 医師によると、平均体温が低いと感染症にかかりやすくなるほか、寒さを感じにくいため冬の低体温症や転倒のリスクも高まるとのこと。アラカン世代の筆者もそろそろ対策が必要な世代になりました。

 一般的に、低体温症は「直腸などで測定する深部体温が35度以下」とされています。普段の生活の中で深部体温を測ることは難しいですが、目安としては、脇の下で測る皮膚体温が34度台になると、震えや手足の冷え、体のだるさ、集中力の低下などの危険なサインが現れるとされています。

 高齢者に低体温症が多い理由は、寒さに鈍感になり自覚症状がないまま体温がゆっくり下がってしまうことや、加齢で筋力が低下することで熱を生み出しにくくなることなどが考えられます。そもそも慢性的な疾患を抱えている場合、低体温症のリスクが高いともいえます。

低体温症を防ぐ対策

 高齢者はとくに気をつけたい低体温症の注意ポイントや対策を確認しておきましょう。

【1】室温を20度以上に保つ

 WHOのガイドラインでは、健康を守るために冬季の室温を18℃にすることを推奨しています。しかし高齢者や慢性疾患を抱えるかたが暮らす住宅では、これよりも高い温度に設定する必要性も述べられています。通常、高齢者施設では、20~22度が保たれていますが、食堂などのリビングだけでなく、居室の温度管理も大切になってくるでしょう。

【2】重ね着をする

 重ね着は体温調節がしやすいので手軽な防寒方法でもあります。厚手の服を着こむよりも薄手の衣類を何枚か重ねると空気の層ができて暖かさを保つことができます。

【3】加湿器で乾燥を防ぐ

 湿度が低いと体感温度が下がるため、湿度は50%くらいに保ちたいところです。湿度を適切に保つことで、低体温症だけでなく冬場はインフルエンザなどのウイルス感染のリスクを下げることにもつながります。

筆者が介護中に実践していた「3つの温活」

 筆者は実母を在宅介護していましたが、母も平熱が低かったので医師から低体温症に注意するようにといわれていました。部屋の温度などの基本的なこと以外で行っていた比較的取り組みやすい対策をご紹介します。

【1】首とお腹を温める

 首、手首、足首とお腹を温めると熱を逃がさないといわれます。冬はマフラー、アームウォーマー、レッグウォーマー、腹巻を活用して身体を温めることを意識していました。

【2】しょうが紅茶を飲む

 しょうがは身体を温める効果があります。すりおろすのが面倒なので市販のしょうがチューブを活用するのが手軽です。暖かい紅茶にしょうがチューブを5グラム、はちみつを適量入れたら完成です。

【3】お風呂上がりのマッサージ

 指先やふくらはぎを軽く揉むと血流がアップするので基礎体温の底上げなります。お風呂上がりに身体が温まった状態で軽くマッサージをするのがおすすめです。

離れて暮らす高齢の親の体温も気にかけて

 同居人がいるなど人の目があればまだ良いのですが、一人暮らしの場合、特に気温が下がる1、2月は注意が必要です。低体温で動けなくなり発見が遅れると重症化することも懸念されます。

 ご近所さんやケアマネジャーなどの協力も得ながら、すぐに気づけるよう見守りの体制を整えることも大切です。電気代が高いからもったいないと暖房をつけない高齢者は多いようです。低体温症の怖さを知ってもらうことから始めてみてください。

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