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健康

こむら返りを防ぐカギは血流の改善  整形外科医が教える「ろっ骨を出した正しい姿勢」と「ろっ骨ウォーキング」

 年齢を重ねるとともに悩む人も増える「こむら返り」。しかし実は、こむら返りが起こりづらくなる体はつくれるのだという。こむら返りを防ぐ体づくりの方法を指南しているのが、『足の名医がついにたどりついたこむら返りと手足のつりリセット法』(アスコム)を上梓した、整形外科医の北城雅照さん。どんなことをすればいいのか、詳しく教えてもらった。

教えてくれた人

北城雅照さん/整形外科医

 きたしろ・まさてる。日本整形外科学会認定整形外科専門医、医療法人社団円徳理事長。2009年北里大学医学部卒業、2011年慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局、2017年慶應大学院医学部医学科博士号取得。再生医療やリハビリテーションに力を入れ、最新の医療技術を取り入れた治療を提供しているほか、理事長を務める足立慶友整形外科・リウマチ科では、整形外科外来も担当。

こむら返りが起こりにくい体づくり

 こむら返りはそもそも、血流が悪くなり、筋肉のセンサーが誤作動を起こすことで発生する。血液がスムーズに流れ、筋肉に十分な栄養が届くことで防ぐことができるという。

 また、血流がよくなり全身に酸素や栄養がしっかりと運ばれると、筋肉や内臓の働きがスムーズになるため、冷えやむくみが改善され、日々の体調にも変化が表れる。血糖値や血圧の安定にもつながるため、生活習慣病の予防効果も期待できるという。

「つまり、こむら返りを防ぐ体づくりは、毎日を軽やかに、そして長く元気に過ごすための土台づくりでもあるのです」(北城さん・以下同)

ポイントはろっ骨を出すこと

 ちょっとしたウォーキングやストレッチなどでこむら返りを防ぐ体が作れると北城さんは話す。そのポイントは「ろっ骨を前に出すこと」だ。ろっ骨を前に出すことで、「骨盤の後傾」という、多くの人が陥っている悪癖を改善することができるためだ。

 骨盤が後ろに傾くと、太ももの裏側にある「ハムストリングス」が常に収縮し、緊張し続けている状態になる。それが続くと、筋肉がこわばって血流が悪くなり、ふくらはぎにも疲労がたまりやすくなる。

「つまり骨盤後傾とは、筋肉のバランスを乱し、血流を悪化させ、こむら返りを誘発する、『土台の歪み』なのです」

正しい姿勢で骨盤を安定させる

 本来あるべき正しい姿勢を取るためには、まずろっ骨を前に出すように意識すること。それによって、自然と腰が立ち、ひざも伸びる。さらに、頭の上から糸でつられているイメージで立つと、全身のバランスが整い、見た目にも美しい姿勢になる。

「この姿勢を保てるようになると、ひざ関節がしっかりと伸びた『伸展位(しんてんい)』をキープできるようになり、ハムストリングスやふくらはぎも、ゆるやかに伸びてくれます。つまり、筋肉が『縮む』『ゆるむ』という自然なリズムを取り戻し、血液もスムーズに流れ始めるということです」

「歩くこと」でこむら返りが起こりにくい体に

 こむら返りが起こりにくい体をつくるためにまずやるべきは、「歩くこと」だ。筋肉の「ポンプ作用」で血流がアップしたり、血管が広がって酸素や栄養が体のすみずみまで届くようになったり、心臓が強くなって、血液を全身へ送る力が強くなったりと、歩くことにはメリットが多い。

「だから私は、患者さんから『こむら返りが起こりにくい体にするにはどうすればいいですか?』と聞かれたとき、必ずこう答えます。『まずは歩きましょう。それが一番手軽で、一番効果がありますよ』と」

ウォーキングの効果を引き出す「ろっ骨ウォーキング」

 ただ歩くだけでも効果はあるが、ウォーキングの健康効果を最大限に引き出す方法がある。それが「ろっ骨ウォーキング」だ。

 やり方は簡単で、普段のウォーキングに「ろっ骨を前に出す」姿勢を取り入れるだけ。それだけで、姿勢が整うため、腕がよく振れたり、腰が回って足が自然と前に出るようになったり、歩幅が広がって血流がアップしたりと、さらなる効果を得ることができる。

「ろっ骨を前に出す。ただそれだけの意識が、姿勢・腕の振り・腰の回転・歩幅へと、全身の動きを自然に変えていきます」

ついでの動きではなく「ろっ骨ウォーキング」をすること

 日常生活のなかで結構歩いている、と感じている人もいるかもしれないが、目的地に行くため、用事を片付けるための「ついでの動き」と、「歩くこと自体を目的としたウォーキング」とでは、効果がまったく違うそうだ。

「ろっ骨ウォーキングをするときも、いつもより少し歩幅を大きめに、背筋を伸ばしてキビキビと歩くことを意識しましょう。歩き終えたときに、『ちょっと疲れて気持ちいい』と感じるくらいが理想的です」

隙間時間にやるなら「ろっ骨足踏み」

 隙間時間に屋内でサッとやりたい、というときには「ろっ骨足踏み」がおすすめだ。姿勢やフォームは「ろっ骨ウォーキング」と同じで、歩く代わりにその場で足踏みをするだけ。ポイントは、腕をしっかり振って、股関節を意識して太ももを上げ、ひざは90度前後にすること。そして、ウォーキングのように大きな動きを心掛けながら、1セット・10分は続けることだ。

「ろっ骨を意識して、リズムよく足踏みを続ければ、ふくらはぎや太ももの筋肉が使われることで筋ポンプ作用が働き、血流が促進されます。筋力アップに加えて、とくに中高年の方には、バランス感覚の維持・向上にも効果的です」

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