年金生活の高齢者は見直すべし!《物価高に負けない節約の基本》健康を守りながら賢く食費を抑える7つのコツを節約・家事アドバイザーが解説
物価高騰が続く中、ダイレクトに影響を受けやすいのが食費だ。とはいえ、買わないという選択肢はない。そこで、健康を維持しつつ、賢く節約するためのコツを節約・家事アドバイザーである矢野きくのさんに伺った。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
値上げが止まらない
あらゆるものが値上がりしている中、とくに影響があるのが食材の高騰ではないでしょうか。テレビの情報番組で、スーパーなどの前で買い物客にインタビューをし、年金生活をされているかたが困っているという声を取り上げている映像を度々見かけます。
年金生活のかたが食費の節約を成功させるためには、買い物の前後の行動や調理の工夫など、生活習慣全体を見直すことが効果的です。
今回は健康を維持しつつ食費を抑えるための具体的な方法を7点ご紹介します。
食費を抑えるための7つの方法
1. 在庫を「見える化」して管理を徹底する
冷蔵庫、冷凍庫、パントリーなどの食材の在庫を定期的に確認し、何がどれだけあるかを把握することが、無駄買いを防ぐ第一歩です。スマートフォンで写真を撮る、簡単な在庫リストを作るなどして「見える化」をしましょう。
見える化をしておくことで、すでに家にある食材と同じものを買ってしまう“二重買い”を防ぐことができます。 また、賞味期限が近いものを優先的に使って献立を組むこともできるようになり、食品ロスの削減にも直結し、節約効果が高まります。
2. 買い物はまとめ買いし、頻度を減らす
週に1~2回など買い物に行く日を決めてまとめ買いをすることで、スーパーに行く回数を減らしましょう。買い物に行く回数が減れば、「ついで買い」や「衝動買い」の機会が減り、計画的な購入につながります。重たいものを買うのが大変な場合は、ネットスーパーも有効です。カートに入れた段階で合計金額が確認できるため、予算オーバーを防ぎやすく、自宅まで届けてもらえる利点もあります。
3. 献立を事前に決めてから買い物リストを作成する
買い物に行く前に、1週間程度の献立を具体的に計画し、その献立に必要な食材だけをリストアップする習慣をつけましょう。「何を作るか」を決めてからリストに沿って購入すれば、不要な食材を買うことがなくなり、また、買った食材を使い切れずに捨てるリスクも減らせます。余った食材を翌日の献立に組み込むなど、柔軟な献立計画を立てることも食品ロス防止に役立ちます。
4. 冷凍食材と冷凍保存を積極的に活用。食品ロスの削減にも
肉や魚、野菜などの食材を特売日に購入し、新鮮なうちに小分けにして冷凍保存することで、腐敗による食品ロスを防ぎ、いつでも必要な分だけ使えるようになります。冷凍野菜、きのこ類などの冷凍食材は、下処理の手間が省けて調理時間の短縮になり、また、生の食材が手に入りにくい時や、価格が高い時期でも安価に栄養を補給できます。
冷凍野菜は少量ずつ使うことができるので、野菜室で買った野菜を使わないうちに傷ませてしまうということも防げます。節約のためにも食品ロス削減のためにも積極的に活用しましょう。
5. 調味料の種類を減らし、使い切りを意識する
多くの種類の調味料を揃えることは、初期費用がかかる上に、使い切れずに期限が切れてしまうリスクがあります。基本の調味料(醤油、味噌、塩、砂糖、酢など)に絞り、それらを活用した調理法をマスターしましょう。また、ドレッシングやタレなどは市販品を買わずに、基本の調味料を使って手作りすることで、費用を抑えることができます。
6.安価で栄養価の高い食材を日々の食事に取り入れる
鶏むね肉、卵、豆腐、きのこ類、旬の野菜、海藻類など、比較的安価でありながら栄養価の高い食材を積極的に献立に取り入れましょう。
例えば、高価になりがちな肉料理のボリュームを、豆腐やきのこでかさ増しする工夫は非常に有効です。旬の野菜は、旬ではない時期よりも価格が安く、かつ栄養価も高いため、季節の食材を意識して取り入れることは節約と健康の両立につながります。
7. 健康維持のために「削りすぎない」メリハリをつける
食費を削りすぎると、栄養バランスが崩れて体調を崩しやすくなり、結果的に医療費が増加するリスクが高まることも。
年金生活における最大の注意点は、健康を害する節約は避けることです。「健康のための投資」として、良質なタンパク質や野菜は意識して確保し、予算を削るのは嗜好品や過剰な外食、高級食材など「なくても困らないもの」に絞って、メリハリをつけて節約をしましょう。
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年金生活において、食費は健康を支える重要な支出であり、無理な削減は禁物です。今回ご紹介した「在庫の見える化」から「旬の活用」に至る7つの工夫は、健康を維持しつつ、無駄を徹底的に排除するための具体的な行動指針となります。
これらの習慣を取り入れることで、食費の節約効果を高めるだけでなく、計画的な生活リズムと食品ロス削減にもつながります。ぜひ今日から実践し、安心で豊かな食生活を送りましょう。
