「肉は控えめ“野菜”たっぷり」は高齢者には間違い?「高齢者こそたんぱく質を!」効果的な摂り方を管理栄養士が指南
介護施設などで高齢者向けの栄養サポートや栄養相談を行っている管理栄養士の川鍋仁美さんによると、「野菜をたっぷり摂っているが、お肉は食べ過ぎないようにしている」という高齢者が多いという。正しい栄養の摂り方を改めて考えてみよう。
教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん
管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/
高齢者に多い栄養の誤った考え方を改めよう
管理栄養士の仕事で、病院や施設などで栄養相談を受けることがあります。高齢のかたほど「野菜を食べよう」という意識が高いのですが、「たんぱく質」が豊富な肉や魚などに関しては、「食べ過ぎてはいけない」と考えているかたが多いようです。
もちろん野菜は体にいいのですが、高齢者にこそ摂っていただきたいのが「たんぱく質」です。
冬場はとくに体が冷えるので、しっかりたんぱく質をたっぷり摂ってほしいものです。改めて、体を温める食事の摂り方について考えてみましょう。
身体を温めるための効果的な食材と食べ方
私たちが食事を食べると身体が温かくなります。これは食べ物を体内で代謝する過程で発生する「食事誘発熱産生」と呼ばれる働きによるものです。この時に発生する熱は、「いつ食べるか」、「どんな種類の栄養素」を、「どのように摂るか」で変わってきます。
いつ食べるのがいい?「朝食は体を温める効果が高い」
朝食を食べることで発生するエネルギー(熱)は、昼食や夕食時よりも高くなります。冷えを感じやすい人ほど、朝食をしっかり摂ることで体の内側から体温を上げやすくなります。
どんな種類がいい?「熱の発生には“たんぱく質”」
食べるものによっても食後の体温変化に違いがあります。栄養の種類でいうと、たんぱく質>炭水化物>脂質の順に、発生するエネルギーは大きくなります。
中でも、たんぱく質は、脂質や炭水化物を代謝するときに発生する熱の3倍以上のエネルギーを生み出すといわれています。たんぱく質を多く含む食品を食べた時は、それ以外のものを食べた時と比較すると圧倒的に体を温める働きが高いのです。
たんぱく質、脂質、炭水化物、それぞれ栄養素を多く含む食品をあげると以下のようなものがあげられます。
たんぱく質:肉、魚、卵、乳製品、大豆製品
脂質:油、バター、マヨネーズなど
炭水化物:ごはん、パン、麺類、いも類
摂り方のポイントは?「噛むことで熱量が高まる」
よく噛んで食べることで、発生するエネルギー量も多くなるといわれています。噛む力・飲み込む力に問題がない高齢者のかたの場合には、具材をやや大き目に切って噛む回数を増やすのもいいでしょう。歯や嚥下機能に問題がない元気なかたは「よく噛む」ことを意識してほしいですね。
朝からしっかりたんぱく質を摂って体を温めよう
前述のように、栄養相談を受けると、高齢のかたほど野菜重視で、たんぱく質が豊富な肉や魚を控える傾向にあります。
たんぱく質摂取の推奨量は、65才以上の男性は1日に60g、女性は50gとなっています。1食あたり「手のひら1枚分くらい」を意識しておくとよいでしょう。
たんぱく質たっぷりスープ2選
朝食で摂るには、体を内側から温めるスープがおすすめです。たんぱく質が豊富に含まれた手軽な市販のスープを活用するのもいいでしょう。
健康を考えたたっぷりたんぱく質のポタージュ
永谷園と日本調剤による共同開発で生まれたポタージュ。1食あたりたんぱく質10gを配合。「コーン」「ポテト」「きのこ」の3種の味が楽しめる。
価格:2160円(9食入り)
販売:日本調剤オンラインストア
https://store.nicho.co.jp/products/OS202206270001
クノール(R)たんぱく質がしっかり摂れるスープ ポタージュ
1食あたりたんぱく質8.0gが摂れるポタージュ。
価格:2138円(送料別)(15本入り)
販売:味の素
https://direct.ajinomoto.co.jp/nutricare/knorr_potage/
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高齢者こそ効率よく栄養を摂って寒い冬場も元気な体をキープしましょう。