高齢者が安心して食べられる<お餅>レシピをご紹介!「粉と豆腐で作る簡単アレンジ餅」を管理栄養士が指南
お正月の食卓に欠かせないお餅ですが、高齢者や介護が必要な人にとってとても危険な食材。お餅の原料となるもち米は、その性質から口の中でくっついたり、喉に貼り付いてしまったり、誤嚥のリスクが高いもの。そこで、お餅の代わりになる”お餅風お団子”の作り方を、管理栄養士の川鍋仁美さんに教えてもらいました。
教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん
管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/
お餅はその成分の特性から喉に貼り付きやすい
お餅が喉につまってしまう理由は、その原料の特徴によるものです。お餅は「もち米」を原料にしています。ちなみに、私たちが普段、白米として食べているのは「うるち米」です。
どちらもでんぷんが主成分ですが、お餅と白米では、そのでんぷんの種類に違いがあります。
「うるち米」(白米)のでんぷんの成分は、アミロースとアミロペクチンとよばれるものです。
一方、「もち米」(お餅)のでんぷんの成分は、アミロペクチンだけで構成されています。このアミロペクチンは、細かく枝分かれして絡み合った構造で、加熱によって粘り気やモチモチ感が生まれます。
このアミロペクチンの特性からお餅は、喉に貼り付いたり、詰まってしまったりする要因となるのです。
つまり、アミロペクチンを含まない、もしくは少ない粉を使って、お餅風のお団子を作れば、誤嚥のリスクを減らせるともいえます。
市販の粉でお餅を作るときのポイント
市販の粉を用いてお餅風のお団子を作る方法を紹介します。スーパーにはいろいろな粉が売っていますが、まずはその違いについて理解しておきましょう。
お餅風のお団子を作るための粉には、「上新粉」「白玉粉」「だんご粉」などがあります。それぞれ原料となるお米の種類が異なります。
・上新粉…うるち米
・白玉粉…もち米
・だんご粉…うるち米+もち米
高齢者向けにお団子風お餅を作るには、もち米を含まず、うるち米を原料とする「上新粉」を使うことで、粘りが少なく歯切れのよい食感に仕上げることができます。
一方、白玉粉やだんごの粉を使用すると、つるっとした食感に仕上がりますが、かまずに飲み込み込んでしまうなど、誤嚥につながるリスクもあるので、注意が必要です。
白玉粉やだんごの粉には、もち米が含まれるため、モチモチとした粘り気もあります。つるんとして食べやすく、適度なモチモチ感を生かすには、粘り気を抑えるために「豆腐」を混ぜるという方法もあります。
白玉粉と豆腐で作るお餅風お団子
豆腐は木綿でも絹ごしでもよいですが、粉と豆腐は1:1の分量で入れて、耳たぶの固さになるまでこねます。食べやすい大きさに丸めて茹でるだけです。
豆腐の水分量によってかたさがかわるので、パサつきやまとまりが悪いときは大さじ1くらいの水を足してください。
白玉粉と豆腐で作るお餅風お団子の作り方
<材料>
白玉粉…100g
木綿豆腐…100g(1/4丁)
・みたらしあん
水…大さじ3
砂糖…大さじ2
しょう油…大さじ1
みりん…大さじ1
片栗粉…小さじ1.5
<作り方>
【1】白玉粉と豆腐をよく混ぜ合わせながらよくこねる。
【2】耳たぶくらいのやわらかさになるまでこねる(まとまりにくいときは大さじ1くらいの水を加える)。
【3】白玉を食べやすい大きさに丸める(または四角に成形する)。
【4】大きめの鍋に湯を沸かし、【3】を茹でる。
【5】お湯から浮き上がって1分ほどたったら冷水に入れて冷ます。
【6】みたらしあんの材料をすべて耐熱皿に入れてよくかき混ぜ、ラップをして電子レンジ600Wで1分加熱。さらによくかき混ぜる。
【7】【5】の水気を切ってお皿に盛り付けて、みたらしあんをかければ完成。
お汁粉に入れても、お餅よりも歯切れ良いので食べやすいですよ。
お正月は家族そろってお餅を食べたくなるかと思いますが、お餅は窒息事故をおこしやすく高齢者にとって特に注意したい食材の1つです。誤嚥の心配がある高齢者は、お餅を食べることは控えましょう。
ご紹介したお餅風のお団子は、みたらしやあんこのたれをかけてそのまま食べたり、お雑煮に入れたりいろいろなアレンジも可能です。噛み切りやすいかたさではありますが、大きさは小さめのひと口サイズ程度にするとより安心です。
高齢者にはお餅好きのかたも多いので、日ごろのおやつに作ってみても喜ばれると思います。