「寝たきりになる人・ならない人の」生活習慣5つのNG事例を専門家が解説
高齢化が急速に進む日本。2025年には日本の人口の5人に1人が75才以上になると言われている中、病気や加齢による筋力低下で寝たきりになる人が増えている。寝たきりになる人とならない人を分ける生活習慣は何か。その違いを専門家が解説する。
教えてくれた人
角田亘さん/医学博士
国際医療福祉大学医学部教授。著書に『リハビリの名医が教える 寝たきりにならない最高の方法』(エクスナレッジ)ほか。
中村育子さん/在宅訪問管理栄養士
名寄市立大学保健福祉学部栄養学科准教授。著書に『冷凍食品・市販品・レトルト・缶詰をフル活用 70歳からのらくらく家ごはん』(女子栄養大学出版部)。
上村理絵さん/理学療法士
リハビリ専門デイサービス「リタポンテ」取締役。近著に『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)。
不規則な生活や不摂生は寝たきりになりやすい
「朝起きてどうするかから、その違いが出てきます」
と国際医療福祉大学医学部教授の角田亘さんは言う。
「毎日定時に起きて寝て、食事もきっちりと3食摂り、体を動かす人は、活動的で筋力もあり、寝たきりになりにくい。なりやすい人はその逆の生活をしていると言えます。これまで定時で働いていた人が定年退職後、不規則な生活になり、外出をあまりしなくなった場合などは特に要注意です」(角田さん)
在宅訪問管理栄養士の中村育子さんは「特に気をつけたいのが食生活」と言う。
「食の乱れは生活習慣病を招き、脳卒中など重篤な合併症を引き起こしかねない。私は長年、病院で栄養指導をしてきましたが、夜遅くにラーメンを食べ、朝は食べないなどの乱れた食生活は、糖尿病をはじめとした生活習慣病に直結します。糖尿病は進行すると脳卒中のほか、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの合併症を引き起こします。これらが進行すると、まひなどの後遺症につながる可能性があり、透析療法を要したり、最悪の場合、失明や足が壊死して切断することにもなりかねません」(中村さん)
「自分でできることをしない」はNG
理学療法士の上村理絵さんは、「便利すぎる生活が、寝たきりリスクを高めることになる」と警告する。
「リハビリ施設に来られる高齢者に多いのが、自分でできるのに、家族が『お母さんは何もしなくて大丈夫よ』と、身の回りの世話を何でもしてくれるケースです。
自分でできることを人や機械任せにしてしまうと、体を動かす機会が減るため筋力が衰えて動けなくなるのです」(上村さん)
このほか高齢者と多く接してきた3人が共通して口にしたのが、次から紹介するNG事例(イラストも参考に)。当てはまる数が増えるほど寝たきりになるリスクが高くなるので要注意。