「介護サービス事業者の経営情報」報告を1月から義務化 給与費や役員報酬などの内訳も
厚生労働省は2025年1月から、すべての介護事業者に対して毎年の経営情報を都道府県に報告することを義務付ける新制度を開始する。この制度は、各事業所の経営状況を「見える化」し、介護報酬の改定や職員の処遇改善をより正確に行うためのベースとなるものだ。既に全国の都道府県に通知が発出され、事業者は迅速な対応を求められる。
介護事業者に課される報告義務と内容
新制度では、介護事業者は毎年、事業所ごとの経営情報を都道府県に報告する義務を負う。報告対象は原則すべての事業者だが、例外として、前年の介護報酬が100万円以下の事業者のみが免除される。報告内容には、事業所の基本情報や収益、介護事業費用、職種別の職員数、給与や役員報酬などの人件費、介護サービス事業以外の事業費が含まれる。報告の期限は、毎年の会計年度終了後3カ月以内であり、初年度である2024年度のみ報告期限は今年度末となる。
この報告は、新しく導入される「介護事業財務情報データベースシステム」を通じて行う。介護ソフトから出力したcsvファイルをアップロードするか、Webフォームに直接入力する方法があり、このシステムの使用には事前にGビズIDアカウントの取得が必要だ。
新制度の影響
この制度の導入により、厚生労働省は介護事業者の経営状況を正確に把握し、介護報酬の改定や職員の処遇改善に反映させる基盤が整う。これにより、業界全体の透明性が高まり、介護報酬の公平な配分が期待される。 一方、事業者にとっては、新しい報告システムの導入に伴う負担も懸念されている。これに対応するため、厚労省は2024年秋頃にシステムの運用マニュアルを公表する予定であり、事業者はこのマニュアルに従い、スムーズな対応が求められる。
新制度によって業界の透明性が向上し、公平な競争環境が整う一方で、現場の負担増加も懸念されている。負担だけを課されることのないよう、今後の制度運用と、それに伴う介護サービスの改善に成果を求めたい。
構成・文/介護ポストセブン編集部