猫が母になつきません 第409話「もうしょ」
猫が人間より体感温度が2度くらい低いらしい。人間の30度は猫にとっては28度。だとしても37度だったら35度なのだからそれはやはり暑いのではないかと。家猫の祖先は砂漠に住んでいたから暑さに強いとかいう説も、もふもふの毛皮を触っているとまったく信じられない。それでも事実、さびはエアコンのない暑い納戸で1日の大半を過ごしている。冬は高い棚の上に置いた猫用のベッドで過ごすのがお気に入りだったけれど、最近は床に近いところにいる。平屋なので天井に近いところは暑いのだと思う。去年まで住んでいた実家は木造だったので屋根裏が広くて天井からの暑さを感じたことはなかったけれど、今の家は屋根裏はあまりなさそう、ほぼダイレクト屋根。先日キッチンの流し台の上の吊り戸棚を開いたとき、もわああーんと暑い空気が塊で落ちてきてあわてて閉めた。暑さが上から落ちてくるなんて初めての体験。冬もとっても寒かったけど夏もとっても暑い、築56年の平屋…あなどれぬ。それでも遠くに海がみえる風景は気に入っているし、庭に大きな木が1本あって木陰を作ってくれているのも見た目には涼しげ。朝夕ホースで水撒きをするのが日課になった。この家での初めての夏の過ごし方を、猫も私もそれぞれに見つけて過ごしています。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。