親に作ってあげたい料理|親世代に人気の豆料理を圧力鍋で簡単調理
介護はある日突然やってくるという。今は元気でも親に、いつ介護が必要になるかはわからない…。特に高齢の親を持つ人にとっては気になることのはず。親孝行したいが、ついつい素直になれず、衝突してしまうこともあるかもしれない。そんな親の介護が気になるすべての人に。
離れて暮らす一人暮らしの母と一人娘の記者の日常をさまざまな視点で切り取り、シリーズお伝えする。
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去年、父が亡くなって、母は85才で初めての一人暮らしを始めることになった。できの悪い一人娘の私に、世話を焼かれたり文句を言われたりするのが腹立たしいらしく、会うと毎回喧嘩になる日々が続いている。
老親に料理を作って持って行くのに便利だという電気圧力鍋を使って煮魚を作ったら、あまりに簡単においしくできるので、今度は母も私も好きな豆料理にトライしてみることにした。
→親に届ける料理|頑固で料理好きの母も満足!圧力鍋で骨まで食べられる煮魚
ちょうどよい量で作れて余ってうんざりしない金時豆
今回も調理に使用したのは、『パナソニック 電気圧力なべ』だ。付属のレシピブックを参考に、味つけは自分なりに工夫してみた。
【1】金時豆100gを一晩水につける。
【2】圧力鍋に金時豆と水200ml、砂糖60g、しょうゆ大さじ1を入れる。
【3】「圧力調理/7~10分」で調理する。
圧力鍋のレシピをみて驚いたのは、分量がたった100gであること。今まで豆を煮るときは、1袋300gをいっぺんに煮ていた。普通の鍋だと、差し水を数回しながら1時間煮て、砂糖を3回に分けて加えてから1時間煮て…。こんなに手間をかけるのに、100gずつに分けてなんてやっていられないから一度に300g煮る。しかし300gも作ると、半分ぐらい食べたら飽きてうんざりしてしまう。
圧力鍋なら「10分」とボタンを押すだけですむから、食べたい量だけ作ればいいわけだ。
お昼前に実家に持っていったところ、「え、これをけさ煮てきたの?」と少し動揺する母。「あなたは覚えてないかもしれないけど、私は毎年、暮れには黒豆を28日からお水に浸して、3日かかって煮てたのよ。確かにおいしくできてるけど、今の人は、こんなにラクをするようになっちゃっていいのかしらね」と社会を憂いたコメントまで添えられた。
「困るんなら持って帰る」と言われる五目豆
【1】大豆250gを水に一晩つける。
【2】圧力鍋に、大豆、こんにゃく、ごぼう、にんじん、昆布を入れる。大豆のつけ汁300ml、砂糖・しょうゆ・酒・みりん各大さじ2を加える。
【3】「圧力調理/8分」で調理する。
金時豆で100gで作れることを喜んだと思ったら、今回のレシピは大豆250gなのか…とちょっとがっかりする。しかし他の材料をみると、こんにゃくが1枚、にんじんが1本、ごぼうが1本。確かに作りやすい量だ。そして、仕上がったところで2度納得。大豆に、ごぼうとにんじんと昆布の滋味がしっかり染みている。感動の混然一体味だ。
母が家に来たので、ちょっと食べてもらうと、「煮物はちょっとだけ作ってもおいしくないの。たくさん煮ないと出ないお味っていうものがあるのよ。困るんだったら私、持って帰るからたくさん入れてちょうだい」つまり、気に入ったらしい。
誕生日祝いがいらなくなる赤飯
【1】鍋で、小豆50gを強火でかために煮る。
【2】もち米3カップを洗ってざるに上げておく。
【3】圧力鍋に小豆を敷き、その上にもち米を入れて、小豆の煮汁に水を足したもの450mlと塩小さじ1を入れる。
【4】「圧力調理/5分」で調理する。
「えーこれ和菓子屋さんの赤飯みたいだよ。家でこんなふうにできるなんてすごいねえ」と夫。
ところが、翌日、実家に持って行こうとするとちょっとべちゃっとしてしまっていたので、母を家に呼んで、炊きたてを食べてもらおうということになった。
次の土曜日、整形外科に連れていった帰りに、雨が降りそうだからやっぱり帰るという母を説得して、家に来てもらう。また少し喧嘩をしながら小豆を煮て、圧力鍋にもち米をセット。
私は初かつおのお刺身を並べ、夫は山口出張で買ってきたかまぼことたこわさびを出して日本酒も勧めていた。そのあとが、煮いかとお赤飯。母は「私はひとくちでいいから」と言っていたのに「このお赤飯はすごいわね。お赤飯なんて何年ぶりかしら。あなたもこんなものを作れるようになったのね」とおかわりした。
案の定、夜になって雨が降ってしまった中、バス停まで送った。バスの窓から、仏頂面のままの母が、身を乗り出すようにしてこちらに手を振って帰って行くのが可哀そうになった。
家に着いた母から電話がかかってきて「今日は帰ろうと思ったけど行ってよかったわ。久しぶりに楽しかった。あ、今日お赤飯も食べさせてもらったから、再来週の私のお誕生日には、もうなんにもしなくていいからね」とのことだった。
豆料理をしてみてわかったこと
いまさらながら、圧力鍋が豆料理に向いているのがよくわかった。
●豆1種類を煮るとき、少量だけ作れるのが便利。
●一緒に煮た他の食材のうまみがびっくりするほど混然一体になる。
なにしろ簡単にできるので、豆料理をしょっちゅう作りたくなりそうだ。
野菜料理もこれならまた作りたい
しかし、簡単にできるのは豆料理だけではない。野菜料理もなかなかよかった。
「ラタトゥイユ」はなす・ズッキーニ・たまねぎ・パプリカ・トマトに塩こしょうとオリーブオイルを加えて「無水調理/5分」で調理するだけ。ただし、やわらかくてくずれそうなので、母に持って行くのはやめにした。
「蒸しなす」は、夫に「こんなに簡単においしくできるなら、おれも作りたい」と言われた。
つまようじで皮に数か所穴をあけて酒をかけ「無水調理/5分」だけ。ねぎとごま油としょうゆをかけて食べた。電子レンジでチンするより、なすの組織が残り、旬のなすの風味もしっかりと味わえる。
「シュー!シュー!」言わない圧力鍋
今まで、圧力鍋はほとんど使うことなく、棚の奥にしまっていた。今回、新しい電気圧力鍋を使うことになったのだが、作る前は「ラタトゥイユなんて、なにも普通にお鍋でできるのに、わざわざ圧力鍋で作らなくてもいいんだけど」と思っていた。
ところがやってみたら「また作ろう」と変わった。圧力鍋が威嚇するように「シュー!シュー!」言わないし、熱くならないし、後始末もラクで、ストレスがなくなっているからだ。シチューやカレーも簡単にできそうなので、母に作って持って行ってみようかと思っている。
【データ】
商品名:電気圧力なべ SR-MP300(パナソニック)
タイプ:マイコンあり
容量:
・満水容量3.0L
・調理容量2.0L
・炊飯容量 白米0.36~0.9L、玄米0.36~0.72L
寸法(約)幅×奥行×高さ:29.2×27.8×27.0cm
質量(約):3.6kg
価格:27600円(編集部調べ)
撮影・文/播磨吉子
●親に届ける料理|頑固で料理好きの母も満足!圧力鍋で骨まで食べられる煮魚