輪ゴム健康法|1回1分手にかけるだけ!腰痛、肩こり、物忘れに即効簡単セルフケア
足裏のみならず、実は手のひらや指にも、内臓や骨格に対応する経絡(全身をめぐる気血水の通り道のこと)やツボが集まっている。そしてその経絡やツボを一定の圧で刺激するには、身の回りにある「輪ゴム」が効果を発揮するという。
更年期障害、物忘れ、冷え症、高血圧、肩こり、腰痛、不眠症に悩む方にぜひ試してほしい、いわば0円でできるこの健康法。知っておくと医者いらずになれるかも!?
輪ゴムひとつで体が変わる
手は、体全体の縮図であり、適度に刺激することで全身の痛みや不調を改善できる―そう話すのは、鍼灸師でアジアン・ハンドセラピー協会理事の松岡佳余子さん。
「全身の血管はすべて1本でつながっています。心臓から流れ出た血液は、23秒かけて全身をめぐり、心臓に戻ります。したがって、指の毛細血管に与えた刺激は、23秒で全身の血流に好影響を与えると考えられます」(松岡さん・以下同)
松岡さんは、経絡とツボにアプローチする東洋医学に則った一般的な鍼灸治療に加え、手や指のツボを刺激する「手指鍼」による施術を20年以上前から取り入れてきた。なかでも、指先に集中している毛細血管への刺激が重要と考え、手を指で押したりもんだりするだけでなく、家庭にある輪ゴムをかけて刺激を与える健康法を思いつく。
「不調に呼応する手の部分に輪ゴムをかければ、指でもんだ時のような、力の入れ方にばらつきが出ることはなく、一定の圧で経絡やツボを刺激することができます。また、誰かに押してもらう必要も、自分で押す必要もなく、両手同時に輪ゴムを施すこともできます」
以下は、左手の対応図。右手のひらの内臓は、左手と同位置にある。右手の甲の骨格は左右が逆になり、親指が左足、人差し指が左手、薬指が右手、小指が右足になる。
巻きっぱなしにせず1回1分が目安
いくら輪ゴムで刺激を与えられるといっても、巻きっぱなしは禁物だと松岡さん。
「きつく巻いたり、長時間巻きっぱなしにしても効果は高まりません。むしろ、うっ血して血流が停滞し、場合によっては手指が壊死する恐れもあります。手に輪ゴムをかけたり巻いたりするのは、連続して1回1分程度にすること。巻いた部分に痛みを感じたり、手が冷たくなったり、暗紫色に変わったらすぐに外して」
1回1分程度を守れば、1日に何度もかけたり外したりしてもよい。
また、輪ゴムをかけて5~6秒ほどでうっ血した場合は、動脈硬化を患っていたり、心機能が低下している可能性があるため、すぐに医師の診断を受けた方がいい。
手指にやけどや皮膚病がある場合は、輪ゴムで皮膚を傷つけてしまう恐れも。
アレルギーで生ゴムが使えない人は、髪結い用の、生ゴムがむき出しになっていないタイプのものを使うとよい。
「髪結い用ゴムは弾力が弱いため、効果は少し減りますが、うっ血しにくいのが利点。慢性疾患を改善するために、数分なら巻いたままにしてもよいでしょう」
効果を早めるには、2本取りで輪ゴムをかけてもよいが、いずれの場合も、圧迫が気持ちよく感じられる強さで輪ゴムを巻き、長時間にならないよう注意が必要だ。
以下で紹介する解消法の中でも、肩こりや頭痛には即効性があり、すぐに症状の緩和を実感する人も多いそう。まずは輪ゴム1本を使って、基本の巻き方から始めてみて。
基本の“3ステップ” 全身のバランスを整える「グーパー指輪ゴム」
即効性がみられるのが「指輪ゴム健康法」。輪ゴムを巻きつけた状態で手を開閉すると、指もみ・手もみと同様の刺激が得られる。実施前後で首や肩を回して、効果の確認をして。
使うのは、一般的な輪ゴム。女性なら16号(内径38mm)、男性なら18号(内径44.5mm)を目安にし、長時間巻いても違和感がない強さのものを選ぶこと。
●ステップ1 “爪もみ巻き” 血流を改善して免疫力を高める
血流が滞りやすい指先に輪ゴムをかけて手を握ったり開いたりすることで、毛細血管を刺激して全身の血流を改善。自律神経失調症、慢性疲労、高血圧、頭痛などに効果が。
【1】親指の爪の生え際あたりに輪ゴムをかける。
【2】1回ずつねじりながら人差し指から順に、小指まで巻きつける。
【3】輪ゴムが爪の生え際にあることを確認する。もう片方の手も同様に。
【4】手を、じゃんけんの「グー」「パー」をするようにゆっくり握ったり開いたりする。1秒かけて握り、1秒かけて開くのが速さの目安。これを10回繰り返したら輪ゴムを外す。
●ステップ2 “指の股巻き”で関節のゆがみを調節する
普段動かすことがほとんどない指の股を一度に刺激し、全身の関節の動きをなめらかにする。こり固まりやすい首や肩の状態を確認してから行うと、即効性を実感できる。
【1】親指の付け根に輪ゴムをかけ、1回ずつねじりながら人差し指から順に、小指の付け根までしっかり巻きつける。
【2】手を10回握ったり開いたりする。
【3】輪ゴムを外す。
●ステップ3 “手のひら交差巻き”骨盤を引き締め、腰痛を改善する
骨盤を支えるベルトのような役割が期待できる巻き方。骨盤のゆがみが整い、腰痛に加えて、下腹部やお尻の引き締め効果も。輪ゴムの交差部分を親指で押圧すれば、内臓不調の改善に。
【1】輪ゴムに手を入れ、親指の付け根の高さに置き、手のひら側で2回ほどねじって輪を作り、親指以外の4本を通す。
【2】手の甲側の輪ゴムが平行になるように調整したら、手を10回握ったり開いたりする。
【3】輪ゴムを外す。
不調を感じたら“症状別”にピンポイントで刺激する
肩こりなどの慢性的な症状だけでなく、頭痛など突然の痛みにも効果を発揮。痛みを和らげ、悪化も防ぐことができる。
前述の「基本編の3ステップ」は、毎日行うことで全身の体調を整えるのに役立つが、症状別にピンポイントで効果を発揮するものもある。
「症状が出ている部位と、原因になっている部位に対応した手のポイントに輪ゴムを巻くのが基本です。この場合、手を開閉させるのではなく、指にはめた指輪をクルクルと回すような感覚で巻きつけた輪ゴムをもう片方の手の指でしごくと、適度な刺激がポイント全体に加わり、効果が高まります」
症状が強くて繰り返し行いたい場合でも、やはり長時間巻きっぱなしにするのはNG。1回1~2分刺激した後、必ず輪ゴムを外して指を解放させること。
巻き痕の残っている部分を軽く1分ほどマッサージし、5分ほど間を空けてから、再度行うといい。
「慢性的な症状に対応する場合、リラックスした状態で行う方がいいでしょう。
ただし、入浴直後は体が温まっているので、30分以上間を空けてクールダウンしてから行ってください」
1日に数回も行えば充分というから、何ともお手軽な健康法。輪ゴムがなければ、髪を結わくゴムでもOK。とにかく巻いて、体の変化を確かめるべし!
※輪ゴムの使用数は、片手で使用した本数を記載。
●“肩こり”【3本使用】 首から肩にかけての血流を改善※輪ゴムの使用数は、片手で使用した本数を記載
肩甲骨に対応する中指の第二関節に交差部分を作り、肩関節に対応する中指の両付け根とともに刺激。
【1】人差し指の付け根に3回巻きつける。
【2】薬指の付け根に3回巻きつける。
【3】中指の第二関節の少し下に輪ゴムをかけ、手の甲側、手のひら側、手の甲側の順でねじり、第一関節と第二関節の間で巻く。【4】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“四十肩・五十肩”【3本使用】 肩関節を刺激して痛みを緩和
独特の激しい痛みをポイント刺激で即効緩和。強度を高めたい場合は2本取りでも〇。
【1】人差し指の付け根に3回巻きつける。【2】薬指の付け根に3回巻きつける。【3】中指の第二関節に3回巻きつける。【4】指輪をクルクル回すイメージで、輪ゴムをもう片方の手の指でしごく。【5】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“頭痛”【2本使用】 頭に対応する部位とツボを刺激
頭部への直接刺激で痛みを緩和。親指には、頭や肩など上半身の自律神経の乱れを抑えるツボがある。
【1】中指の爪の中間部に4回(ややきつめに)巻きつける。
【2】親指の爪の中間部に4回(ややきつめに)巻きつける。
【3】指輪をクルクル回すイメージで、輪ゴムをもう片方の手の指でしごく。
【4】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対の手も同様に行うか、痛みが強い方の手の指のみでもよい。
●“眼精疲労”【2本使用】 ドライアイやかすみ目にも
頭部にあたる中指の先端と、目の疲れにかかわる肝臓につながる小指全体を刺激。視界がクリアになる。
【1】中指の爪の生え際の下に輪ゴムを3回巻きつける。
【2】小指の付け根から、手のひら、手の甲側でそれぞれねじりながら上に向かって3回交差させて巻きつける。
【3】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対側も同様に。
●“高血圧”【3本使用】 根気よく巻き、血流を改善
3本の指を刺激して血流改善につなげる方法。基本の「爪もみ巻き」にも、高血圧の改善効果が。
【1】薬指の第二関節に3回巻きつける。
【2】小指の第二関節に3回巻きつける。
【3】中指の第二関節に輪ゴムをかけ、手のひら側、手の甲側、手のひら側の順に交差させて巻きつける。
【4】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“不眠症”【2本使用】 リラックス効果を高める
交感神経を抑えて寝つきをよくする。刺激が強すぎないようややゆるめに巻き、就寝前に外すことを忘れずに。
【1】中指の爪の生え際と、第一関節の間に輪ゴムを3回巻きつける。
【2】薬指の第二関節に輪ゴムをかけ、第一・第二関節に交差部分がくるようにして巻きつける。
【3】手の甲側のポイントを押圧する。
【4】1分ほどおいて輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“物忘れ”【3本使用】 脳と自律神経を整える
頭部に対応する中指の先を集中的に刺激して、脳と自律神経を整え、疲れによる物忘れを改善する。
【1】中指の爪の中間に輪ゴムを3回巻きつける。
【2】爪の生え際と第一関節の間に輪ゴムを3回巻きつける。
【3】第一関節に輪ゴムを3回巻きつける。
【4】【1】~【3】とも、指輪をクルクル回すイメージで、輪ゴムをもう片方の手の指でしごく。
【5】1分ほどで輪ゴムを外す。反対の手も同様に。両手を同時に巻いてもよい。
●“便秘”【3本使用】、“下痢”【2本使用】 腸にアプローチして腸内環境改善
便秘も下痢も、腸内環境の悪化が原因。便秘の場合は手のひら、下痢の場合は薬指と小指を刺激して。
・便秘の場合(図は○でかこんだ数字を参照)
【1】親指と人差し指の股、小指の付け根に輪ゴムをかけて2回巻きつける。
【2】親指の付け根と小指側に2回巻きつける。
【3】【1】、【2】と平行になるように手首の少し上に輪ゴムを2回巻きつける。
【4】1分ほどで輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
・下痢の場合(図は□でかこんだ数字を参照)
【1】薬指の第二関節に輪ゴムを3回巻きつける。
【2】小指の付け根に輪ゴムを3回巻きつける。
【3】1分ほどで輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“冷え症”【6本使用】 全身に血流を行きわたらせる
「手のひら交差巻き」で骨盤のゆがみを整え、5本の指すべてを刺激し、全身の血流をスムーズにして体を温める。「爪もみ巻き」も効果◎。
【1】先述の“ステップ3”の基本の「手のひら交差巻き」をする。
【2】薬指と小指の第一関節に、それぞれ輪ゴムを3回ほど巻きつける。
【3】【1】の交差部分を押圧し、【2】は指輪をクルクル回すイメージで、輪ゴムをもう片方の手の指でしごく。
【4】1分ほどで輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
●“更年期障害”【3本使用】 内臓を刺激し、ホルモンの乱れを調整
手のひらの下部を刺激して内臓全体を刺激し、薬指と小指の第一関節の刺激でホルモンバランスを整える。
【1】先述の“ステップ3”の基本の「手のひら交差巻き」をし、上下の輪ゴムの位置が親指の幅になるよう、下の輪ゴムの位置を上げる。
【2】5本とも爪の生え際に輪ゴムを3回巻きつける。
【3】1分ほどで輪ゴムを外す。反対の手も同様に。
イラスト/いばさえみ
※女性セブン2019年7月11日号