天才子役と呼ばれた斉藤こず恵さん、甲状腺がん4度の再発の経緯や治療費を明かす「検診を怠らないで」
がんによる死亡者数は年間38万人を超える。これは全死亡者数の約3割にあたり、日本人の死亡原因の第1位であるため、がんを「死の病」と思う人はいまだに多いだろう。しかし、がん治療を乗り越えた人に話を聞くと、検診によって早期発見できたことでいまここにいるという。がんサバイバーの女優・声優の斉藤こず恵さんや音楽家・文筆家の笛田さおりさんに、早期発見の大切さを語ってもらった。
教えてくれた人
斉藤こず恵さん(56)/女優・声優
1967年東京都出身。子役としてデビューした後、アメリカに留学しブルース歌手としても活躍。2004年に米ニューヨークの病院で甲状腺がんが見つかり、再発と対峙しながら治療を続ける。2024年3月、結婚していたことも話題に。
笛田さおりさん(42)/音楽家・文筆家・アクセサリー作家
1982年神奈川県出身。音楽家として2012年にソロプロジェクト「さめざめ」でメジャーデビュー。その後、文筆や芸術などあらゆる分野で活躍中だった2013年1月に子宮頸がんが見つかる。現在は1年に1回の定期検診を続けている。
斉藤こず恵さん アメリカ生活中に判明した甲状腺がん
1974年から放送されたNHK連続テレビ小説『鳩子の海』に6才で主役に抜擢され、天才子役と呼ばれた斉藤こず恵さん。高校卒業後は日本での芸能活動を中断し、米ニューヨークに渡って歌手や舞台俳優として活躍していた。
日米を往復する忙しい日々が続いていた2003年末、突然ファルセット(裏声の一種)が発声できなくなった。ニューヨークで頻繁に声帯チェックを受けていたホームドクターにかかると、「のどの甲状腺にごく小さな腫瘍がある」と診断された。
「結果、初期の甲状腺がんだった。とにかくショックでした。甲状腺がんの一般的な治療は切除手術ですが、もし後遺症で声が出なくなったら死活問題です。なんとか切らずに治したくて抗がん剤治療を受けることになりました。だけどこれが本当に大変で、吐き気や体のむくみがすごいうえに生理が止まり、髪の毛が抜け、お風呂に入っても温度を感じない。精神的にも不安定になりました」
病気は家族にも大きな負担がかかる。自分ひとりの健康ではない
ピンポイントでがんを照射するレーザー治療も受けたが、ネックとなったのは高額の医療費だ。
「アメリカには国民皆保険制度がなく、がん治療の総額は2000万円ほど。医療ローンを組むことで何とか支払うことができましたが、治療のために仕事もセーブしなければならず苦しい毎日でした」
7年にわたって治療を続け、その間3度の再発を乗り越え、現在に至る。2021年2月、4度目の再発が見つかったものの、いまや甲状腺がんは治療法も進歩して予後もよく、治療も比較的楽だったと話す一方で、過信は禁物だと強調する。
「のどがかれたり声が出にくくなったりしたら市販薬や自己診断で済まさず、すぐに受診してほしい。1か月経っても症状が治まらなかったら大きな病気の兆候の可能性があります」
今年3月には、22才年下の“溝端淳平似”のイケメンと3年前に結婚していたことも話題となった。生涯の伴侶を得た彼女は、いま改めて検診の大切さを痛感している。
「病気をしたら家族にも大きな負担がかかって大変です。自分が健康であるかどうかはひとりの問題ではないことを自覚し、検診を怠らないでほしい」
笛田さおりさんは念のために受けた検査で子宮頸がんが発覚した!
音楽家、文筆家、アクセサリー作家―幅広く活躍する笛田サオリさんにがんがわかったのは、31才の誕生日を迎えた2013年1月だった。
「生理は順調なのに不正出血が続き婦人科を受診した際、念のために受けた子宮頸がんの検査でステージ0のがんが見つかりました。自分には縁のない病気と思っていたので“まさか”と信じられませんでした」
早期発見のため子宮の全摘出は必要なく、同年3月に子宮頸部を円錐切除する手術を受けた。
「手術のみで放射線治療や抗がん剤の服用もなかったので治療に伴う負担はほとんどなく、4月下旬のフェスですぐに仕事に復帰できました。術後2年の経過観察後も、かかりつけ医のもとで年1回の定期検診を続けています。
自分を守るためにも検診は早いうちに受けた方がいい
2年ほど前にその検査で子宮筋腫が見つかり、がん検診とは別に経過観察をしています。子宮筋腫を放置して子宮を全摘出した知人もいるので、定期検診で見つけられて本当によかった。
女性であれば婦人科系のがんや病気になるリスクは誰しもありますが、若いうちは足が向かず、妊娠して初めて婦人科に足を踏み入れるという人も多い。だけど私はがんを早期発見できたことでスムーズに日常に戻れました。年齢に関係なく婦人科検診を受ける習慣をつけることをおすすめします」
それまでは恋愛の歌が多かったが、がんを経験して「生と死」を意識した曲も手がけるようになった。
「私生活においても自分を守るのは自分自身との思いを強くしました。5年前に父ががんの治療と転移を繰り返した末に亡くなり、一度かかったら、がんは消えてなくならないのだと思い知った経験もあります。
それでもがんは早く見つければ治療できます。だから、自分を守るためにできることとして検診の重要性を多くの人に知ってもらいたいです」
写真/PIXTA
※女性セブン2024年6月27日号
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