逆流性食道炎に苦しんだ経験を持つ鍼灸師が考案する3つのメソッド<呼吸法・座り方・エクササイズ>
胃液の逆流によって食道に炎症が生じる「逆流性食道炎」は、自己診断が難しく見過ごされがちな病気だ。食後に胸焼けがしたり、ゲップが出る人は要注意。今回は実際に逆流性食道炎に苦しみ、克服した鍼灸師の小林龍司さんが考案した腹式呼吸やエクササイズを紹介。習慣化して予防につなげよう!
教えてくれた人
小林龍司さん/コバヤシ接骨院・鍼灸院代表。柔道整復師、鍼灸師。明治東洋医学院専門学校鍼灸科卒業後、同専門学校の柔道整復科を卒業。国家資格取得後、接骨院、鍼灸接骨院、介護施設などで臨床経験を積み、2010年、コバヤシ接骨院・鍼灸院を開業。
長年逆流性食道炎に苦しんだ経験から予防法を考案
「私も逆流性食道炎に罹患して実感したのですが、ただの胸やけや胃もたれだと軽く見ていたら症状は長引きます。私は中学生の頃に発症し、20代後半まで苦しみ続けました」
とは、鍼灸師の小林龍司さんだ(「」内以下同)。
食事のたびに吐き気があり、気持ち悪さで夜も眠れない日々が続いたという。そこで何とか症状を緩和できないかと考案したのが、呼吸法やエクサイズ。
「横隔膜の衰えが逆流性食道炎の要因になると聞き、呼吸法によって横隔膜を鍛えることにしました。横隔膜が鍛えられると、そこに付随する下部食道括約筋が胃の入り口をしっかり締められるようになり、逆流しづらくなります。また、症状が出ているときは、のどや胸の筋肉が硬くなるので、セルフケアによってほぐすのもおすすめです」
なぜ、のどや胸の筋肉が硬くなるのか。
「胃酸が逆流し、食道の粘膜がただれると、体はその部分を守ろうと硬くなります。マッサージやストレッチでほぐせば緊張がとれ、症状の改善につながります」
逆流性食道炎は、不調に神経質になりすぎることやストレスも原因になるので、リラックスすることが大切なのだ。
病院で処方される薬だけではなかなかよくならず、食事もいろいろ試したという小林さん。
「消化のよいものということで、おかゆやうどんをよく食べていました。つまり炭水化物中心の食事です。しかし、それではたんぱく質が不足して、食道の粘膜の炎症がなかなか回復しません。そこで、たんぱく質を積極的に摂ったところ、改善されていきました」
逆流性食道炎の予防に「呼吸法」
5秒間、鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、さらに5秒間、口から息を吐いてお腹をへこませる。
「弱った横隔膜を鍛える呼吸法です。1日10回は行いましょう」(小林さん・以下同)。
姿勢にも注意が必要「座り方」
猫背はお腹を圧迫し、逆流性食道炎を悪化させる。そのため、姿勢にも注意が必要。特に背中が丸まりやすい座り方には気をつけたい。
「机はひじが90度になる高さにし、背もたれにはもたれないこと。腰骨を立てる感じで座り、足はしっかり床につけましょう」。
「マッサージ」でのどの違和感を軽減
「顔のマッサージ、胸鎖乳突筋のマッサージ、首の前側のストレッチは、3つでワンセットで、所要時間は全部で1分ほど。毎日行うことで、硬くなったのどや胸の筋肉がほぐされ、症状が軽減します」(小林さん)
【1】顔のマッサージ
まずは顔のマッサージから。親指以外の4本の指を揃え、中指と薬指で顔の横の部分(あごのあたり)をこする感じでマッサージする。左右10秒ずつ行うのがおすすめだが、時間がないときは、左右どちらかだけでもOK。
【2】胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)のマッサージ
胸鎖乳突筋という耳から鎖骨に伸びる筋肉を刺激する。親指と人差し指で胸鎖乳突筋の中央をつまむようにしたら、顔はつかんでいる方向と反対を向く。これも、左右10秒ずつ行うのがおすすめだが、どちらかだけでもOK。
【3】首の前側のストレッチ
最後に首の前側のストレッチ。図のように、片方のひじを反対の手で支えたら、支えられている方の手のひらであごを押しつつ、背中を後方へとそらせる。そのまま10秒間キープ。左右行う場合は10秒ずつ。片側だけの場合は、10秒を2回繰り返す。
取材・文/上村久留美 イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2024年4月4日号
https://josei7.com/
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