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健康

女性にも多い【いびき】にご用心!原因と怖い健康リスク、対策を解説「口を閉じて寝る、枕にこだわる、鼻の診察も大事」

 寝ている間のことだから自分ではなかなか気づきにくい「いびき」。生理現象とはいえ、放っておけば健康や美、人間関係すら危うくなるかも?いますぐ実践できる「いびき」の対処法を専門家に聞いた。

教えてくれた人

都筑俊寛さん/コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、大場俊彦さん/慶友銀座クリニック、宮本日出(ひずる)さん/幸町歯科口腔外科医院院長

「いびき」が原因で離婚するケースも

「たまに別の部屋で寝る」が20%、「常に別の部屋で寝る」が15%。合わせて3分の1以上の人がパートナーと寝室と分けている―

 昨年7月、アメリカの睡眠医学会が2005人を対象にした調査を行い、前述のような結果を公表した。寝室が一緒の場合でも「耳栓を使う」(15%)、「静音アラーム時計を使う」(16%)などの対策を取っているという。

 同学会ではパートナーと寝室を分けて寝る現象を「Sleep Divorce(睡眠離婚)」と呼んでいるが、その大きな要因とみられているのが「いびき」だ。

 コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長の都筑俊寛さんが解説する。

いびきは睡眠の質の低下につながり、熟睡できないために精神的な不安に陥るなど、心身への影響は非常に大きい。女性の場合、うつ病の原因になることもあります。人間関係のトラブルにもつながりやすく、友人と旅行に行って指摘されてダメージを受けたり、夫婦では家庭内別居や離婚に発展することも少なくありません」

女性は更年期以降「いびき」をかきやすくなる

 都筑さんによれば、いびきをかきやすいのは「太っている人」、「あごが極端に小さい人」、「首が太くて短い人」。男性に多いイメージがあるが、女性も更年期以降は悩む人が増えるという。

「いびきの仕組みは口蓋垂(こうがいすい/別名:のどちんこ)とその周辺が振動することです。更年期を迎え女性ホルモンが減少してくると、相対的に男性ホルモンが増え、筋肉が発達するため口蓋垂が伸びて振動しやすくなるのです。また、太ると首の周りの脂肪によって喉が狭くなるので、いびきをかきやすい。特に女性は更年期に太ってしまう人が多いので、その点からも要注意です」(都筑さん・以下同)

 いびきによる健康への影響は想像以上に甚大で、「もっとも危険なのは、睡眠時無呼吸症候群に伴ういびきです」と都筑さんは指摘する。

 睡眠時無呼吸症候群とは、空気の通り道である気道が塞がり、呼吸が止まってしまう状態をさす。狭くなった気道を空気が通るたびに大きないびきが起こり、完全に気道が塞がった状態が続いて低酸素状態になると、脳が防衛的に目覚めて呼吸が再開するため、呼吸がいったん止まり、しばらくしてから「グググ、ガガー」といびきをかき始める。その場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑う必要がある。

無呼吸が続くと心臓に負担がかかり、高血圧の原因になるほか、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険もある。ただし“いびき=無呼吸症候群”ではありません。例えば疲れているときは舌が普段よりもだらんと落ちるため、気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。お酒を飲んだとき、鼻が詰まっているときなどもいびきをかきやすい」

 いびきによる睡眠障害は大きく、睡眠不足の人が肥満やメタボになるリスクは、そうでない人の1.8倍。高血圧になるリスクは2倍、糖尿病になるリスクも2倍から3倍、さらにアルツハイマー型認知症やうつ病の発症率が上がることもわかっている

 こうしたリスクから身を守るためには、何をすればいいのか。

いびき対策としては、まず口を閉じて寝ること。鼻呼吸をすると口蓋垂に空気が直接触れないので、振動しにくくなります。また、横を向いて寝ると仰向けよりも気道が広くなるのでいびきの予防につながります。仰向けで寝たい人は、枕にこだわってほしいですね。枕は低すぎても高すぎてもダメ。気道が確保できる、ちょうどいい高さの枕を使うことを心がけましょう」(都筑さん)

 口を閉じて寝るためには、普段から鼻呼吸を意識したり口や舌の体操を行い筋肉を鍛える、市販されている矯正用のテープを使用するなど自分に合う方法を試してみよう。

 専門医による治療も視野に入れたい。慶友銀座クリニックの大場俊彦さんは、耳鼻咽喉科を受診し、「まず鼻を診てもらうこと」を推奨する。

「実はいびきのファーストゲートは鼻づまりなのです。耳鼻咽喉科では、鼻から喉への通り道が狭くなっていないか、蓄膿症(ちくのうしょう)がないかなどを確認し、同時に喉の状態も診ます。扁桃腺(へんとうせん)や舌の大きさ、口腔底(こうくうてい)、あごなどをチェックし、内視鏡を使って上咽頭に腫瘍がないかを調べることもあり、それに応じた治療を行っていきます」(大場さん)

 もし睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、睡眠中に鼻から圧をかけた空気(陽圧)を送り続けて気道を確保する、CPAP(シーパップ)が選択肢の柱になる。いびきが軽減してしっかり眠れるようになるため、昼間の眠気が劇的に改善するなど効果は大きいが、毎晩マスクを装着して寝ることに抵抗感を持つ人も少なくない。

「女性の場合は、まず鼻の治療やマウスピースを使うことを優先し、軽減されなければCPAPへ、ということが多い」(大場さん)

やせるだけで「いびき」の症状は軽減される

 大場さんが推奨するのは、舌と口の周りの筋肉を鍛えることで、いびき軽減や睡眠時無呼吸症候群の予防につなげる「いびき体操」だ。

「舌を出す、回転させる、上あごにつける、反り返らす。口をすぼめる、引き上げる。これを1日3回、口や舌やあごを痛めない程度に行ってください」(大場さん)

 そして何より大切なのが、体重を減らすこと。

「昔から太っている人はいびきをかきやすいといわれてきましたが、最近になってようやくエビデンスがとれ、6kgやせれば気道が1mm広がることがわかりました。気道にとって1mmはかなり大きい」(幸町歯科口腔外科医院院長の宮本日出さん)

 都筑さんも続ける。

「実際、やせるだけでいびきの症状が軽減される人は少なくありません。女性の場合、目安として体重が“身長マイナス90”を超えているようなら、ダイエットもひとつの手。もちろんやせすぎは禁物なので、ほどほどが大事です」

 夫婦関係や自分の健康悪化にもつながりかねない、いびき。まずは睡眠中の自分をしっかり見つめ直すことから始めよう。

写真/時事通信社、PIXTA

※女性セブン2024年2月1日号
https://josei7.com/

●高齢者のための安眠8か条を医師が指南!短時間でも睡眠の質を上げる行動とは?

●「寝不足脳」が健康を脅かす|睡眠時間6時間未満は認知症や糖尿病リスクが激増。正しい睡眠とは

●女性も要注意「いびき」の原因と対策「睡眠時無呼吸症候群かも?」いびき解消枕の作り方をプロが解説

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