「どうせ私なんて」落ち込み・不安・怒り”3大ネガティブ”感情の対処法を医師が指南
2019年の山形大学医学部の調査によると、ほとんど笑わない人は、よく笑う人に比べて死亡率が約2倍高く、脳卒中など心血管疾患の発症率も高かったという。笑顔は健康も呼び込むのだ。と言っても、毎日ご機嫌でいることは難しい。そこで、怒りや不安、落ち込みといったネガティブな感情を立て直し、機嫌をよくする方法を、精神科医の大野裕さんに教えてもらった。
つらい感情は生きていくうえで必要なこと
誰しも怒りや不安、落ち込みといったネガティブな感情を抱えることはある。それは生きていくうえで必要だと、精神科医の大野裕さん(「」内以下同)は話す。
「命が危ないと感じたときは、不安になることで、そこから逃げたり対処したりできます。こうしたネガティブな感情を生かして、人は生き抜いてきたのです」
ただし、ネガティブな感情を長く抱き続けると、本来の自分の力が出せなくなる。それが問題なのだという。酒や買い物などで気を晴らそうとする人もいるが、それは一時しのぎに過ぎず、根本的な解決にはならないという。
「ネガティブな気持ちになったら、これから自分がどうしていきたいか、未来について考えることがおすすめです」
つらい出来事を反芻(はんすう)してしまう場合、“動く”ことで考えを止めるのもいい。外に出る、安心できる人と話す、スポーツをするなどだ。行動する元気もないときは、楽しかったこと、うれしかったことを思い出し、その場にいるような想像をするのも効果的だという。さまざま試すことで、気持ちは少しずつ立て直せ、機嫌がよくなっていくはずだ。
3大ネガティブ感情とその対処法
ネガティブな感情は主に3つ考えられる。精神科医の大野さんがそれぞれの対処法を教えてくれた。
ネガティブ1:落ち込み
【対処法】「もうダメだ」と思わず「何が問題だったか」を考える
「“自分なんてどうせダメだ”などと考えると、可能性を自らつぶしてしまい、本来の力を発揮できず、よりうまくいかなくなるものです。“何が問題だったのか” “自分は本当はどうしたいのか”に目を向けて、気持ちの立て直しを図りましょう」
ネガティブ2:不安
【対処法】事前準備をして失敗する確率を下げよう!
不安を感じている人は失敗する可能性ばかり考えがちだが…。
「可能性が高い=失敗する確率が高い、とは限りません。確率が低いならチャレンジする価値がありますし、高いなら経験がある別の分野に挑んだり、事前準備をすることで、不安は紛れるでしょう」。
ネガティブ3:怒り
【対処法】一呼吸おいて、怒りの理由や対応の仕方を考える
「怒りのままに行動するとトラブルになりやすいので、まずは一呼吸を。そして相手にどうしてほしかったのか、自分はどう働きかければよいかを考えて。その思いを伝え、互いの意見の相違をどう埋めるか話し合うことで怒りは軽減します」(大野さん・以下同)
教えてくれた人
大野裕さん/精神科医
取材・文/桜田容子 イラスト/なとみみわ
※女性セブン2023年2月23日号
https://josei7.com/
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