デヴィ夫人(82才)美の秘訣 朝一番の「フルーツとコーヒー、ときどきゲッタマン体操」
いつまでも健康で美しくいたいと思ったとき、まず考えるのは食事のこと。とりわけ一日の最初に体に入れる朝食は大切にしたいもの。デヴィ・スカルノ夫人(82)は年齢を重ねても美しく、はつらつとしている。どんな朝食を食べ、どのように過ごしてているのだろうか、特別に教えてもらった。
デヴィ夫人の美とパワーの秘訣「シャンパンは毎晩ですが…」
「私は毎日、美容と健康に悪いことばかりしています。シャンパンは毎晩飲んでいますし、卵やキャビア、数の子も大好き。そして、ここ何十年も睡眠不足です」(デヴィ夫人・以下同)
取材が始まるやいなや、デヴィ夫人はこう切り出した。
「昨日の夕方イタリアから帰国したんですけれど、その足でファッションショーを見に行き、夜はお友達とディナーに出かけて、深夜の2時頃までシャンパンを飲んだかしら。でも、今朝7時には起き、午前中からバリバリ仕事しましたよ」
ヨーロッパの時差は昼夜逆転するため、時差ボケに悩む人も多いが…。
「機内では、映画を観たりしてくつろぎながら8時間はしっかり寝ましたので、日本に着いたときは生まれたての赤ちゃんのように元気にリセットされました。若い頃から世界中を飛び回っているので、飛行機はもうバスに乗るような感覚ね」
年齢とともに、だんだんお酒の量が減ったということはないのだろうか?
「それどころか、年々増えているかもしれないわね(笑い)。その代わり、毎日2Lは水を飲んでいるので、二日酔いにはなりません。先日も、病院で健康診断を受けたところ、どこも悪いところがなかったんです。『そんなはずはない、もう一回調べてみて!』って病院に押しかけたけれど、やっぱり悪いところはなかったわ(笑い)」
朝一番に摂るのは「フルーツとコーヒー」
そんな夫人が、朝一番に摂るのはどんな食べ物なのか。
「朝は、ほぼコーヒーとフルーツのみですね。フルーツは朝がもっともいいんです。糖分は多いけれど、脳の働きを活性化させるのに必要ですから。フルーツはまた、乾いた体の水分補給になります。朝食以外のフルーツは絶対に食べません」
フルーツは消化に時間がかかるため、ほかの食べ物が残っていると体内で発酵や腐敗を促進するとされ、空腹時の摂取をすすめる説もある。友人とのディナーやパーティーも多いという夫人、ごちそうを食べながら、どうやって体形維持に努めているのか。
「会食があるときはお昼を軽くするか、スキップしますね。昼食でよく食べるのは、南仏の名物メニュー『サラダニソワーズ(ニース風サラダ)』です。トマト、レタス、にんじん、パプリカにツナ缶を合わせ、オリーブと塩こしょうで味付けしたシンプルなものですが、これが大好物です。よくマヨネーズを添えたものもありますが、私はマヨネーズを絶対に食べません。マヨネーズの成分はほとんど油ですからね」
そのほかにも、霜降り肉やこってりソース、洋菓子も苦手で、ほとんど口にしない。
「ステーキは赤身を塩こしょうで食べるのがいちばん好きだし、洋菓子より和菓子派です。脂や砂糖がたっぷり入ったものは、レストランでも、シェフに出さないようにお願いしています。基本的に、自分の好きなものはがまんしませんが、ご飯やパンは別。特にご飯は大好きなのですが、体形維持のために、夜はなるべく控えています」
華やかなディナーの席でも自分の体に合う食材バランスを重視し、会食のないときは「まごわやさしい」(豆、ごま、海藻類、野菜、魚、きのこ類、いも類)をメインにしたヘルシーな食事を楽しみ、健康を維持しているそうだ。
夫人の朝のルーチン「ゲッタマン体操」
夫人には、朝のルーチンがあるのだろうか。
「まず、すべての窓を開け放して外の空気を入れます。その間に、『ゲッタマン体操』のなかから、肩まわりや肩甲骨をほぐすストレッチをしますね。ちょっといまはサボり気味ですが。でも、おかげで体は柔らかいんですよ、ほら」
と、腕を後ろに回し、背中で手のひらを合わせるポーズと、前屈して手のひらを床にぴったりとつけるポーズを見せてくれた。ほ、本当に柔らかい。バラエティー番組でのバンジージャンプやスキューバダイビングなど、若い人でもハードルの高いチャレンジを、難なくこなせるのは日々の鍛錬のなせる業なのだ。
「いまもタンゴが踊れるのは、ストレッチの賜物ですね。また、外出時にはハイヒールしか履きません。最近の若者は履けない人が多いそうですが、ハイヒールを履くと闘争本能が刺激され、やる気になります。若い頃から、私はそうしてずっと闘ってきましたから」
1日10回は感動する
365日ほぼ休みなし・睡眠不足の夫人の、美とパワーの秘訣はどこに?
「やはり、いつも美しいものを観て、美しいものに囲まれ、毎日楽しく過ごすことに勝るものはありません。何事にも好奇心や興味を持って、わからないことをわからないままにしておかない。
そして、1日10回は感動する。感動って大げさなことではなく、『わんちゃんがかわいい』とか、『花がきれい』とかということでもいいんです。日々の小さなことに感動できれば、体中のリンパやホルモンが活性化し、お肌にもいい影響が及びますから。
同様に、好きなものを食べると幸せホルモンが分泌され、消化もよくなる。どんなに体にいいものを食べても、そこに喜びがなければ逆効果です。
お肌のためにはどんなに面倒でも必ずW洗顔で汚れを落とすこと。お化粧をするより、汚れを落とす方が大切です。カーペットだって、汚れたまま掃除機をかけても効果がないでしょう? 私は、どんなに遅く帰ってきても、肌を清潔に保つことは欠かしません。特別なことをしなくても、自分の心の持ちようで美しくなれるんです」
少しの節制と、ポジティブに人生を謳歌する努力。
「えっ、そんなラクでいいの?」と思いがちだが、謳歌が苦手な私たちには、かえって難しいことなのかもしれない。
教えてくれた人
デヴィ・スカルノ夫人
1940年東京都生まれ。1962年インドネシアのスカルノ大統領と結婚。政変後1967年にパリに亡命し、社交界で「東洋の真珠」と称される。1991年ニューヨークに移住。現在は日本を拠点に、「デヴィ夫人」の愛称で親しまれる。『選ばれる女がやっていること デヴィ夫人のマナー論』(Clover出版)が11月1日に出版予定。オフィシャルブログも人気 https://ameblo.jp/dewisukarno/
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年11月10・17日号
https://josei7.com/
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