長寿番組「3分クッキング」講師・田口成子さんが魚レシピを積極的に紹介してきた理由
誰もが一度はレシピを参考にしたことがある「キューピー3分クッキング」が今年1月に60周年を迎えた。そんな長寿番組の講師を務めたうちのひとり、田口成子さんは、これまで積極的に魚料理を紹介している。それはなぜなのか? 番組の思い出や魚レシピも合わせてご紹介します。
田口成子さん「3分クッキングで魚料理を積極的に発信」
「番組に出演する前年に、東日本大震災が起きたんです。ボランティアに参加した経験から、少しでも東北の漁業の力になりたいという思いで、若い人にも調理しやすく、食べやすい魚料理を紹介しています」と、田口成子さん。
今回の魚料理2品も、そんな思いで考案したレシピだという。
「『3分クッキング』には、本当に食が好きで知識もすごいスタッフが集まっています。『いいものを作ろう』という熱い気持ちを持った仲間と一緒に仕事をできるのは、うれしいですね」
田口成子さんのベスト3
1. チャプチェ
2. エリンギの豚肉巻き
3. なすと玉ねぎの酢鶏
※2014年4月~2017年6月の番組ホームページのアクセスランキングより。(以下同)
ぶりのスパイス揚げ
ぶりは豚肉のように考えると 調理の幅が広がりますよ。(2013年2月19日放送)
材料(4人分)
ぶり…3~4切れ
A[おろしにんにく…1片分 オイスターソース・しょうゆ…各大さじ1/2 酒…大さじ2 ガラムマサラ…小さじ2/3]
小麦粉…大さじ2
片栗粉…大さじ1~2
キャベツ…1/4個
塩…少量
ごま油…大さじ1/2
レモン…1/2個
【作り方】
【1】ぶりは1切れを4~5つに切り、塩小さじ1/2(分量外)をふって5~6分おく。
【2】【1】の表面の水気をペーパータオルで拭き取り、ボウルに入れる。Aを加えて混ぜ込み、10分ほどおく。
【3】キャベツは5~6mm幅に切り、塩少量(分量外)を加えた熱湯(分量外)でさっとゆで、ざるに上げてゆで汁を切り、塩、ごま油で味をつける。
【4】揚げ油適量(分量外)を170℃に熱する。【2】に小麦粉と片栗粉を混ぜ込み、1切れずつ衣をたっぷりまぶしつけながら揚げ油に入れ、3~4分かけてこんがりと揚げる。
【5】【4】とキャベツを器に盛り、レモンのくし形切りを添える。
★思い出エピソード
ぶりは脂と旨味が豊富なので、スパイスを加えて揚げると、お肉みたいに食べられるんです。魚だからと難しく考えず作ってみてください。
さわらのムニエルレモンソース
さわらは和洋中どんな料理にも合うんです。(2017年4月6日放送)
材料(4人分)
さわら…4切れ
塩・粗びき黒こしょう…各少量
小麦粉…適量
油…大さじ11/2
レモン…1個
バター…大さじ21/2
水…大さじ2
砂糖…ひとつまみ
しょうゆ…大さじ1/2
じゃがいも…3個
【作り方】
【1】じゃがいもは皮をむき、4~6つに切り、さっと洗って鍋に入れ、かぶるくらいの水(分量外)を注ぎ、7~8分ゆでる。竹串がスッと通るくらいにやわらかくなったら湯を捨て、再び火にかけ、水分を飛ばして粉吹きいもにする。
【2】レモンは白いわたとともに皮をむき、7~8mm角に切る。
【3】さわらは半分に切り、塩、粗びき黒こしょうをふり、小麦粉を薄くまぶす。
【4】フライパンに油を熱し、さわらの皮目を下にして並べ、2~3分焼く。こんがり焼けたら返し、5~6分焼いて火を通し、器に盛って、【1】を添える。
【5】【4】のフライパンをきれいにし、【2】、バター、水を入れて火にかけ、煮立ったら砂糖、しょうゆを加えて混ぜ合わせ、【4】のさわらにかける。
★思い出エピソード
さわらは一年中手に入りやすく、くせがないので食べやすい魚。和洋中どんな料理にも使えるので、もっと食べて欲しくて紹介しました。
3分クッキングの歴史
■1963年 日本テレビで「3分クッキング」が放送開始
■1969年 放送時間が5分から10分になる
■1983年 レシピにエネルギー、たんぱく質、塩分量の栄養表記が加わる
■1995年 放送が1万回を超える
■1996年 WEBサイトを開設
■2014年 番組HPをリニューアルし、スマートフォン対応に
■2022年 紹介するレシピの材料の基本が2人分に。12月から毎週水曜日が「プラスエコの日」に
7つの番組トリビア!
知ればもっと番組が楽しめる7つのトリビアを紹介!
1. “3分”は簡単・便利の代名詞
「3分以内で作れる料理の紹介」と誤解していた人も多いのでは? もちろんそんなことはなく、番組開始当初は5分番組で、放送時間が正味3分だったことが由来。現在の放送時間は10分だが、簡単・便利の代名詞として“3分”を継続。
2. お馴染みのオープニングが60周年を機にリニューアル!
番組名を聞いて誰もが思い浮かべるのが、『おもちゃの兵隊のマーチ』に合わせて踊る、キユーピーとヤサイな仲間たち。60周年の節目にオープニングとエンディングの映像がリニューアルされ、キユーピーたちが新たなダンスを披露している。
3. 忙しくても作れるレンチンやワンパンレシピが増加
「簡単・便利・毎日の献立作りに役立つレシピ」というコンセプトは60年間変わらない。近年はフライパン一つでできる「ワンパンレシピ」や電子レンジを使った時短レシピなど、忙しくても手軽に作れる料理も数多く提案している。
4. 週前半はなるべく簡単に後半は手の込んだ料理も!
週の前半は忙しくてもパパッと作れるレシピ、後半は少し手間をかけて楽しんでもらえるレシピと、作る人の気持ちに寄り添って番組を構成。節分やこどもの日などの行事食も現代風にアレンジして、料理が楽しくなる工夫もしている。
5.登場回数がいちばん多い講師は藤井恵さん
60年の歴史の中では数多くの講師が登場しているが、その中でもっとも登場回数が多いのは藤井恵さん。2003年から2021年まで18年間レギュラーとして出演し、約1400のレシピを紹介している。
6. 毎週水曜日はエコなレシピが登場
エコに対する意識の高まりから、2022年12月7日の放送から毎週水曜日に。『プラスエコの日』に。食材を無駄なく活用する工夫や、省エネにつながるアイデアを加えたレシピを紹介している。
7. アナウンサーも試作してから収録に
味やポイントを自分の言葉で伝えるため、アシスタントのアナウンサーも自宅で試作し収録に臨むそう。特に川畑一志さんは、すべての料理を作っているとか。
教えてくれた人
田口成子さん/料理研究家
「キューピー3分クッキング」では2012年10月15日以来、約10年にわたり講師を務める。魚と野菜のレシピに力を入れる一方、イタリアでの料理修業で培ったイタリアンも好評。食育の講習会講師としても活動する。
撮影/榎本修 取材・文/青山貴子
※女性セブン2023年2月2日号
https://josei7.com/
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