猫が母になつきません 第337話「どこ?」
非常にめんどくさいです。亡くなった父を探すことは以前にもありましたが、これまではもう亡くなった事を伝えると「そうだったわ、私もぼけたわね」て感じだったのに、今回はどんなに説明しても受け入れないのです。「もう20年も前に死んだんだよ」「最近まで一緒に過ごしてたのよ?じゃあ、遺体はどこにあるの?」「もう焼いてお墓に入れたよ、一緒にいたじゃない?」「あの時は焼いたけど…」もう言ってることがめちゃくちゃです。父の遺影を居間に置いたてみたり、死亡届けまで持ち出して見せても全く効果なし。最後の一手でお墓参りに連れて行くと、その時は父がそこに埋葬されていることを理解しているような振る舞いでしたが、家に戻ると「何かわかったかもしれないから警察に行ってくる」とすぐにまた出かけようとする。母の中では「寒い雪の日にバイクで出て行ってそのまま帰ってこない」というストーリーが出来上がっているのです。父が亡くなったのは春で、お葬式の日も桜が満開だったのですけれど。一年前の母と今の母とでは全く状態が違います。今年もまた大きな変化があるのでしょう。それに合わせて私たちの環境を大きく変えていく年になりそうです。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。