部分入れ歯時代の口腔ケア 80代で20本以上歯がある人が過去20年で4倍へ【医師監修】
歯の健康が推進され、80代でも自分の歯を維持している人が過去20年で約4倍に増えている。それに伴い「総入れ歯」ではなく「部分入れ歯」を使う人の割合も増えている。そこで、「部分入れ歯」利用時の口腔ケアや、お手入れの基本アイテムなどについて歯科医師に取材した。
部分入れ歯を使う人が増えている
「近年、口腔ケア意識が高まったことから高齢者の歯の残存率が増えています」
こう話すのは、高齢者の口腔ケアの指導もしている歯科医師の相澤明江さんだ。
実際、厚生労働省の調査によると、80~84才の人で20本以上の歯を維持している人の割合は、平成5年には11.7%だったが、平成28年には44.2%と、過去23年で4倍近くに増えている。
■80~84才で 20本以上の歯がある人の割合
平成5年(1993年)…11.7%
平成11年(1999年)…13.0%
平成17年(2005年)…21.1%
平成23年(2011年)…28.9%
平成28年(2016年)…44.2%
「かつてお年寄りは総入れ歯をしているというイメージがありましたが、それも過去の話。歯の残存率が高まったことで、総入れ歯の方よりも部分入れ歯の方が増えています。
また、入れ歯と聞くと敬遠される方も多くいますが、昔に比べて入れ歯の種類も豊富になっています。
残っている自分の歯を活かしながら作るのが部分入れ歯ですが、入れ歯をしていることを気づかれにくい、目立たないものが主流になってきています。
部分入れ歯のほか、インプラント(人工歯根)治療など選択肢も増えています」(相澤さん、以下同)
■「部分入れ歯」と「総入れ歯」装着者の割合
年齢|部分入れ歯|総入れ歯
50~54才|6.3% |0.9%
55~59才|10.6%|1.6%
60~64才|18.8%|4.0%
65~69才|31.0%|8.9%
70~74才|38.2%|14.7%
75~79才|41.7%|20.1%
80~84才|42.4%|31.3%
85才~|46.3%|46.3%
※厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-01.pdf