“大腸がん”女性のがん死亡率1位!“便秘”との怖い関係|コロナ禍でも検診で早期発見を【医師監修】
「なんだか最近、便秘気味で…」こんなありふれた悩みが大きな病気の入り口かもしれない。実は乳がんよりも女性の死亡率が高い大腸がん。なぜ女性に多いのだろうか。その理由と、早期発見に導くための方法を医師に聞いた。
ためらわず検診で早期発見
日本対がん協会が試算したがん未発見者の数は少なく見積もっても約2100人。新型コロナウイルスが猛威を振るい、外出自粛で病院から足が遠のく人が増える中、気がつかぬうちに体をがんが蝕(むしば)んでいる可能性がある。
内視鏡専門医で藤井隆広クリニック院長の藤井隆広さんが指摘する。
「実際、がん検診を受ける人の数は激減しており、2020年の受診率は前年と比べて約3割低下しています。とりわけ大腸がんは、女性の死因としてがんの中で最も割合が高いにもかかわらず、前年比68.8%と大きく落ち込んでいます。大腸がんはほかのがんに比べて進行が遅いため早期に治療すればほぼ100%治る病気です。また、検診で発見される大腸がんの6割は無症状の早期がんであるのに対して、症状があって病院で発見される大腸がんは8割が進行がんで、発見の遅れが懸念されます。したがって無症状の大腸がんを検診で見つけることが大切なのです。いまの“検診控え”の風潮は大きな問題だと感じます」
■女性のがん死亡数は大腸がんが最も多い
<女性のがん死亡者数>
1位 大腸(直腸・結腸)…2万4070人
2位 肺…2万2338人
3位 すい臓…1万8797人
4位 乳房…1万4650人
5位 胃…1万4548人
6位 肝臓…8568人
7位 胆のう…8416人
8位 子宮…6808人
9位 卵巣…4876人
出典:厚生労働省「2020年人口動態統計」より
便秘が“がん”を引き起こす要因に
大腸がんはがんの中で最も女性の死亡率が高いうえ、その数は年々増えており、国立がん研究センターの統計によれば、ここ20年で2倍になっている。そもそも、なぜ女性に大腸がん罹患者が多いのか。
便秘外来を開設し、『健康の9割は腸内環境で決まる』(PHP新書)などの著書がある松生クリニック院長の松生恒夫さんが解説する。
「女性ホルモンとの関連など諸説ありますが、まだはっきりとした原因は解明されていません。しかし、腸の冷えや便秘と無関係ではないと推察される。腸が冷えればその働きは停滞し、便秘になる。便に含まれる二次胆汁酸には発がん性があるともいわれているうえ、大腸がんが発生しやすい部分は、便が長時間たまる場所と同じです。便秘をして便が長時間腸の中で滞留すればそれだけがんになる可能性は高くなると考えられます」
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
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