高木ブー「まだ終わってないけど今年の年末はハードだった」
「物心ついてから80回以上のお正月を迎えてるけど、考えてみたら、半分以上は仕事が入ってた」と語る高木ブーさん。バンドマン時代もドリフターズに入ってからも、お正月からステージや舞台に立っていた。ここ最近のお正月は、家族でのんびり過ごしているという。大晦日までの盛りだくさんな予定と、お正月の思い出を聞いた。(聞き手・石原壮一郎)
「志村けんとドリフの大爆笑物語」はどうでしたか?
この年末はあわただしすぎて、何がどの順番であったのかよくわからなくなっちゃった。この記事の公開は28日だっけ? テレビで「志村けんとドリフの大爆笑物語」のドラマが放映された翌日だね。話している今の時点では僕はまだ見てないけど、どんなドラマになったのか楽しみです。登場人物は自分も含めておなじみの人たちばっかりだから、面白いに決まってる。
ドリフのことがドラマになると、『8時だョ!全員集合』や『ドリフ大爆笑』をリアルタイムで見ていた人だけじゃなくて、子どもや若い人も「そんなグループがあったのか」「そういうコントをしてたのか」って知ってくれる。襷がつながれていくみたいで嬉しいよね。
ちょっと前に、加藤(茶)と仲本(工事)と僕のドリフ3人と、ドラマでそれぞれの役を演じてくれた3人(勝地涼、松本岳、加治将樹)で対談をやった。3人とも役に真剣に取り組んでくれたから、質問も鋭くて、かなり深い話になった気がする。YouTubeのイザワオフィスとフォスターの公式チャンネルで25日に公開されて、たぶんまだ見られるんじゃないかな。とくにドラマを見てくれた人は、ぜひ合わせて楽しんでください。
今年はクリスマスの前後には、何度もサンタクロースになったな。16日の「1933ウクレレオールスターズ」のクリスマスライブではサンタ姿で演奏したし、24日も仲本といっしょにサンタになった。仲本が自分のYouTube「仲本工事の ありがと〜ね〜 チャンネル」に呼んでくれて、ももクロの高城れにちゃんといっしょに出たんだよね。れにちゃんはトナカイの服を着てた。とっても似合ってたな。
武道館ライブのときは、その3人で雷様になってコントをやった。
昔はコスプレっていう言葉はなかったけど、雷様のコスプレをすると、なんだか別の自分になれる気がするんだよね。だから怖い長さんに向かって、口ごたえしたり文句言ったりできた。サンタクロースの服も、着るとやさしくて幸せな気持ちになるんだよね。
2021年最後の大仕事は、31日に日本武道館で行われる「第5回 ももいろ歌合戦」(17時からABEMAで配信)に出場すること。それと、もう収録は終わってるんだけど、同じ日に放送される「第54回年忘れにっぽんの歌」(テレビ東京、16時~)に、加藤と仲本と3人で出ます。加藤は前にひとりで出たことがあるけど、グループとしては初出演なんだよね。ドリフのおなじみの曲をメドレーで歌ってる。
「ドリフの早口ことば」のコーナーもあった。かつて「全員集合」に出てくれてた人たちもいて、久しぶりにまたいっしょに「生麦、生米~」って歌えて嬉しかったな。
「ももいろ歌合戦」と「にっぽんの歌」と、どっちの出番が先なのかはよくわからないけど、両方とも楽しんでください。
そんな調子で、まだ終わってないけど今年の年末はハードだった。お正月は家族と少しのんびり過ごせるかな。物心ついてから80回以上のお正月を迎えてるけど、考えてみたら、半分以上は仕事が入ってた。20代はバンドマンとしてどこかのお店で演奏してたし、ドリフの人気が出てからは、テレビの仕事や日劇の新春公演でバタバタだったからね。
子どもの頃のお正月は、どう過ごしてたのかな。あんまり覚えてないけど、戦争中だったからそんなに派手なことはしてないと思う。小さい頃は、獅子舞のお獅子が怖かった記憶はある。生まれ育った巣鴨の家は空襲で焼けちゃったから、その頃の写真は残ってないんだよね。お正月とかに家族写真を撮った気もするけど。
ウチは、亡くなった妻の喜代子さんが1月1日生まれで、娘のかおるが1月2日生まれ。喜代子さんが元気だった頃のお正月はドリフの新春公演で忙しくて、いつも劇場の差し入れのおにぎりやお味噌汁を作ってくれてた。喜代子さんはひと言も文句を言ったことはないけど、お正月と誕生日をゆっくりお祝いした回数が少なかったのは残念だったな。悪いことしちゃった。
娘も結局、お正月は食事作りとかで忙しく動き回ってるから、誕生日らしいことをしてあげてないかもしれない。来年の1月2日は「誕生日だから今日は何もしなくていいよ」って言ってあげようかな。だけど、今はこう思ってても、すぐ忘れちゃうんだよね。かおるさん、もし忘れてたらこの記事を僕に見せてください。
ブーさんからのひと言
「今年はいろんなチャレンジがありました。ちょっと忙しかったけど、楽しい一年だったなあ。みなさんもどうぞ良いお年をお迎えください」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』が放送中。
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。