高木ブー、「ドリフのメンバーと家族も一緒に社員旅行」…思い出深い旅の話
なかなか外出しづらい状況が続く中、高木ブーさんは日々をどう過ごしているのか。趣味に没頭してステイホーム生活を充実させつつ、「家にばっかりいると、遠くに出かけたいと思っちゃうよね。ハワイも行きたいし、温泉もいいな」と旅に思いを馳せる。たくさんある旅の記憶の中から、とくに思い出深い旅について語ってもらった。(聞き手・石原壮一郎)
ドリフのみんなとあらゆるところに行った
外にはなかなか出かけられないけど、家の中にいてもけっこう忙しいんだよね。最近、しばらくぶりにまた絵を描いてます。このあいだ2ヵ月ぶりにアップしたYouTubeの「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう Part12」でも、雷様の絵を描いている様子を撮られちゃった。
そこでもチラッと触れてるけど、6月に僕の絵に関係した何かがあります。もう少ししたら詳しく発表できるはずなので、楽しみに待っていてください。
夏に向けての計画もいろいろあるんだけど、まずはコロナが落ち着いてくれないとね。ウクレレもハワイアンも、やっぱり夏が似合うから、暑いうちにまたお客さんの前で弾けるといいな。
ないものねだりってわけじゃないけど、ずっと家にいると「遠くに行きたいなあ」っていう気持ちが、どんどん強くなってくる。ドリフのみんなとも、仕事でありとあらゆるところに行った。だけど『8時だョ!全員集合』の公開生放送とか営業でどこかに行っても、ホテルと会場を往復するだけだったから、ぜんぜん記憶に残ってないんだよね。
娘と出かけた旅の思い出
家族ともいろんなところに旅行に行ったな。このあいだ父娘対談をしたときに話が出て思い出したけど、娘のかおるが中学生の頃、ふたりで長崎を旅行したことがあった。かおるが中三だったかな。当時、さだまさしさんのファンだったらしくて、彼の生まれ故郷で歌にもよく出てくる長崎に行きたいって言い出したんだよね。
「じゃあ、行こうか」って話になって、忙しい時期だったけど、スケジュールをどうにか調整した。どうしてママは行かなかったんだろう。忘れちゃった。僕も父と娘の初めてのふたり旅をしてみたかったのかな。旅行に行くのは嬉しかったけど、切符の手配をしたりプランを立てたり、準備がとにかくたいへんだった。
仕事だったら誰かがやってくれるし、今はかおるが全部やってくれるけど、そのときは僕がやるしかないからね。オランダ坂に行ったら「さださんの歌の『絵はがき坂』だ!」って、かおるがやたら感激してた。島原鉄道に乗って寝ているお釈迦様の像を拝みに行って、その前で写真を撮ったのも覚えてる。
ドリフのメンバーと初めてハワイに行ったのは、かおるが8歳のときだった。「全員集合」が始まってすぐの頃だね。フジテレビの「スター千一夜」という番組で、ドリフターズファミリーがハワイに全員集合した。グアムにみんなで行ったのは、かおるが20歳のとき。一時期は毎年のように「社員旅行」に行ってた。あれは楽しかったな。僕たちメンバーもリフレッシュできたけど、いつも苦労をかけている家族やスタッフへの罪滅ぼしもあったと思う。
かおるが大人になってからは、ふたりで何度か旅番組に出たことがある。20年ぐらい前に、九州の黒川温泉と湯布院を一週間ぐらいめぐったんだけど、温泉三昧ですごくいい旅だったな。その数年前には、亡きママと行った思い出の山寺を訪ねるっていう番組があったんだけど、あれはきつかった。雪が残って凍ってる山道を延々と歩くの。
当時、かおるは独身だったけど、山寺に向かう道のりで、ママの思い出とか子どもの頃の話とか、かおるの結婚のことや親子のこれからのことをいろいろ話した気がする。そんなやり取りも番組で流れてた。仕事とはいえ、そうやって旅に出ると普段はできない話ができるのがいいよね。
ただ、いつも仲良く旅行できるとは限らない。何年か前の話だけど、フェスに出るためにふたりで小豆島に行ったときは、けっこう大きなケンカをしちゃった。ある楽曲の歌詞が違ってた、いや違ってないって話になって。今考えると、笑っちゃうような原因だよね。
お互いに意地っ張りだから、翌日になってからもすんなり仲直りするわけじゃない。しかも、翌日は取材で小豆島をまわることになってたんだよね。もちろん、仕事はちゃんとやったつもりだけど、もしかしたら取材してくれている人たちに、ふたりが何となくギクシャクしている雰囲気が伝わってたかもしれない。だとしたら、親子ゲンカに巻き込んで申し訳ないことしちゃったな。
あらためて思い出すと、いろいろ出てくるもんだね。たくさんの旅の思い出は、僕にとって宝物です。早くまた、娘や家族みんなと旅行がしたい。ハワイも行きたいし、温泉にゆっくりつかるのもいいな。そのためにも、今は健康に気をつけて体力を維持しなきゃね。
ブーさんからのひと言
「ドリフのメンバーと家族、スタッフでの旅行は楽しかったな。早く、また旅行がしたい。そのときのために、健康に気をつけて過ごさなきゃね」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【ダイジェスト】高木ブー88歳だョ!全員集合」( イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評!
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。3月25日に最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が発売。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。