猫が母になつきません 第270話「スマホにする_その1」
ついに母のガラケーをスマホに変えました。「まわりの高齢者の方たちもスマホにしてるし、みんなとLINEしたい」と母はずっと言っていました。「覚えられるかな」という不安はあったものの、最近はずっと使っていたガラケーの操作も怪しくなってきたし、小さい画面は見えにくいだろうと思い切って変えることにしたのです。しかし、使い方を覚える以前に大きな問題があることにすぐに気がつきました。スマホは電源ボタン以外はタッチパネルで画面にさわって操作するもの、ホーム画面を開くボタンも出っぱってはいません。この「タッチする」という動作が母にとってはとても難しいということが私には想像できていなかったのです。ボタンではなく文字やマークをタッチするという感覚がまずわからない。押すときに「トンっ」とタッチをするところをちょっとでも長押ししてしまうと違う操作になってしまう。文字を打つ時にもゆっくり押しすぎて「あ」がすぐに「あああああ」に。母の手を取って繰り返し練習しましたが、なかなかうまくいかず「おそいっ!」「もう一回!」とまるで運動部の特訓です。ホームボタンは力加減がタッチパネルとはまた違うし、電源ボタンはしっかりと押しこまなければいけない…そんな違いも母を戸惑わせているようです。前途多難…という言葉だけが浮かびます(泣)。つづく
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。