「銀座 小十」三つ星料理人が伝授!濃口しょうゆ・薄口しょうゆの使い分けレシピ
毎日の料理に欠かせない「しょうゆ」。なかでも幅広い料理に使える「濃口」は、大活躍の調味料です。さらに「薄口」を常備して、食材や料理に合わせて使い分ければ、いつもの料理が見違えるほどおいしく、美しく仕上がります。
そこで、初年度のミシュランガイドで三つ星を獲得した、『銀座 小十(こじゅう)』の主人・奥田透さんが使い分け方とレシピを教えてくれました。素材によって合うしょうゆの種類や基本のだしも紹介。おなじみの使い方を見直す、プロならではの技を伝授します。
※材料はすべて2人分です。
しょうゆは素材に合わせて使い分ける
「濃口しょうゆは、色は濃くても塩分は低め。みりんや砂糖と合わせると手軽に甘じょっぱい味付けになるので、家庭でも使いやすいのが特徴です。一方、薄口しょうゆは、色は薄いものの塩分は高め。だしなどと合わせて塩分を和らげて使うため、だしで煮る料理に最適。冬瓜や大根など色の淡い食材も、繊細で美しい色に仕上がります。それぞれ調理する食材に合わせて選ぶと、使い分けしやすいですよ」(奥田透さん)
たとえば、根菜類や青魚は、濃口しょうゆを使うとアクやくさみにも負けないしっかりした味に仕上がる。牛肉や豚肉も甘辛い味と好相性だ。逆に、かれいや鯛などの白身魚や、淡白な鶏肉は薄口しょうゆを使って上品に仕上げるとよい。素材の色も鮮やかに活かせる。
■濃口しょうゆ
簡単にコクが増し、砂糖やみりんと好相性。
●色が濃い
●塩分が低め(約16%)
●味、香り、旨味のバランスがよい
■薄口しょうゆ
色は薄いけど塩分高め素材の色を美しく表現。
● 色が薄い
● 塩分が高め(約18~19%)
● 素材の色を活かしたい料理に最適
<基本のだし>
鍋に水4L、だし昆布40g、かつおぶし140gを入れて火にかける。沸騰したら火を弱め、アクを取りながら25分ほどゆっくり煮出す。火を止めて15分ほど置き、濾したら完成。冷蔵で2~3日保存可能。今回の特集はこのだしを使用。
かぼちゃと根菜の煮物【濃口しょうゆ使用】
かぼちゃやアクの強い根菜は甘辛く煮付けて深い味わいに。
<材料>
かぼちゃ…1/16個
ごぼう…1/4本
れんこん…1/3節
いんげん…6本
サラダ油…大さじ1
<A>
だし…1カップ弱
濃口しょうゆ・みりん…各大さじ2
砂糖…大さじ1
<作り方>
【1】かぼちゃは種とわたを取り除き、ひと口大に切る。ごぼうは5mm幅の斜め切りに、れんこんは5mm幅の半月切りにし、水にさっとさらして水気を切る。いんげんは半分に切り、塩適量(分量外)を入れた湯でゆでる。
【2】鍋にサラダ油を熱し、かぼちゃ、ごぼう、れんこんを入れて中火で3~4分炒める。
【3】野菜の表面がしんなりしたら<A>を入れ、弱めの中火で10分ほど煮て、いんげんを加える。野菜に火が通ったら火を止める。
●『濃口しょうゆ』に合う野菜…かぼちゃ、ごぼう、にんじん、じゃがいもなど
冬瓜と里いもの煮物【薄口しょうゆ使用】
冷やして食べても美味!だしが効いた繊細な味わい。
<材料>
冬瓜…1/6個
里いも…2個
絹さや…6枚
だし…2 1/2カップ
<A>
塩…小さじ1/3
薄口しょうゆ…小さじ1
だし昆布…10cm
<作り方>
【1】冬瓜はひと口大に切り、里いもは六方むきにする。絹さやは筋を取り、塩適量(分量外)を入れた湯でゆでる。
【2】冬瓜と里いもは別々に水からゆで、竹串を刺してスッと通るまで加熱する。火が通ったら水にさらして、水気を切る。
【3】鍋に【2】とだしを入れ、中火で煮る。沸騰したら<A>を入れ、弱火で10分ほど煮る。
【4】野菜に味が染みたら火を止め、器に盛り、絹さやを添える。
●『薄口しょうゆ』に合う野菜…冬瓜、里いも、大根、かぶ など
さばの煮付け【濃口しょうゆ使用】
しっかり甘めの味付けでさばの旨味を引き出す。
<材料>
さば…2切れ
白髪ねぎ…適量
<A>
水…1 1/2カップ
酒…1カップ
濃口しょうゆ…大さじ6
砂糖…大さじ4
しょうが(薄切り)…2枚
<作り方>
【1】さばは皮目を下にして熱湯をかけ、霜降りにする。
【2】鍋に【1】と<A>を入れ、落としぶたをして弱火で15分ほど煮る。
【3】さばを器に盛り、煮汁をかけ、白髪ねぎをのせる。
●『濃口しょうゆ』に合う魚…さば、ぶりなど
かれいの煮付け【薄口しょうゆ使用】
淡白な白身魚は、ほんのり甘く上品に仕上げて。
<材料>
かれい…2切れ
木の芽…適量
<A>
水…1 1/2カップ
酒…1カップ
薄口しょうゆ…大さじ5
砂糖…大さじ2
みりん…大さじ1
しょうが(薄切り)…2枚
<作り方>
【1】かれいは熱湯をかけ、霜降りにする。
【2】鍋に【1】と<A>を入れ、落としぶたをして弱火で15分ほど煮る。
【3】かれいを器に盛り、煮汁をかけ、木の芽をのせる。
●『薄口しょうゆ』に合う魚…かれい、鯛、金目鯛 など
和風ローストビーフ【濃口しょうゆ使用】
口の中でとろける牛肉にたれをたっぷり絡めて。
<材料>
牛ロースかたまり肉…250g
サラダ油…小さじ1
<A>
濃口しょうゆ…大さじ6
酒…大さじ4
みりん…1カップ弱
<作り方>
【1】フライパンにサラダ油を熱し、牛肉を入れ、両面を10秒ずつさっと焼いて取り出す。ペーパーで表面の脂を拭く。
【2】鍋に<A>を入れ、沸騰したら【1】を入れる。再度沸騰したら火を止め、そのまま15分ほど置き、余熱で火を通す。
【3】薄切りにして器に盛り、煮汁をかける。
●『濃口しょうゆ』に合う肉…牛肉、豚肉 など
鶏団子のスープ【薄口しょうゆ使用】
鶏のだしが染みたスープも余すところなく味わえる。
<材料>
鶏ひき肉(胸肉)…150g
はるさめ…10g
わかめ(乾燥)・すだち…各適量
<A>
薄口しょうゆ・片栗粉…各小さじ1/2
溶き卵…1/2個分
塩…小さじ1/3
<B>
だし…21/4カップ
薄口しょうゆ…小さじ1
塩…小さじ1/2
<作り方>
【1】ボウルに鶏ひき肉を入れ、<A>を加えて粘りが出るまでよく混ぜる。
【2】はるさめはゆでて水気を切る。わかめは水で戻し、食べやすく切る。
【3】鍋に<B>を入れ、沸騰したら【1】をひと口大に丸めて入れる。アクを取り、火が通って鶏団子が浮いてくるまで煮る。
【4】仕上げに【2】を加えてひと煮する。器に盛り、薄切りにしたすだちをのせる。
●『薄口しょうゆ』に合う肉…鶏肉 など
教えてくれた人
『銀座 小十』主人 奥田透さん
2003年に東京・銀座に『小十(こじゅう)』を開店。2008年、初年度のミシュランガイドで三つ星を獲得。以来、星付きを守り続けている。
■銀座 小十
住所:東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル4階
電話:03-6215-9544 HP:http://www.kojyu.jp/
撮影/玉井幹郎
※女性セブン2021年9月9日号
https://josei7.com/
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